日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 秋田 美帆; 牛窪 隆太; 布施 悠子
本研究は、日本国内で日本語教師としての就業を目指す非母語話者及び国内の教育機関で就業している非母語話者教師を対象として、彼らのキャリア形成過程を明らかにするものである。本研究の目的は、以下の三点である。1)国内の教育機関で就業している非母語話者教師がどのようにしてキャリアを形成しているのかについて、その実態を明らかにする。2)養成段階の非母語話者がどのようなキャリアを望んでいるのかを明らかにする。 3)1)2)を踏まえ、養成段階の非母語話者に対するキャリア支援を行ううえでの課題や支援の在り方について検討し、提言する。
計画では目的1)を達成するためのインタビュー調査を実施する予定であったが、コロナ禍における影響を考慮し、初年度は目的2)を達成するため国内の日本語教師養成機関で学ぶ母語話者及び非母語話者を対象にアンケート調査を行った。
その結果、以下のことがわかった。養成段階の非母語話者のうち、すでに日本語教師にならないと決めている者が約1割いた。その理由として、国内で日本語教師になることの難しさが挙げられていた。一方、修了後に日本語教師になる意思のあるものは約9割いた。自国と日本では自国での就業を希望する者の方が多かった。その理由としても、国内で日本語教師になることの難しさが挙げられていた。
本調査を進める中で、「母語話者」「非母語話者」が求人票の中でどのように扱われているかを明らかにする必要があると考えた。そこで、日本語教師求人サイトに示された教師属性についての調査も行った。その結果、日本国内の求人においても少数ではあるが応募条件として母語話者を指定するものが見られることがわかった。養成段階の非母語話者が置かれている現状を把握する上で重要なデータを得ることができた。