日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 与那覇 信恵; 高橋 秀夫; 竹蓋 順子; 土肥 充; 阿佐 宏一郎; 森川 セーラ; ハリントン ルーク
本研究の目的は、高い効果が実証されている英語聴解力養成のための指導理論「三ラウンド・システム」(竹蓋, 1997)に基づき、人文科学および社会科学分野の英語CALL教材を開発することである。同指導理論に基づいた専門英語教材として既に開発されている科学・医療・園芸・芸術分野の教材がカバーしていない文系分野の専門英語教材の開発により、より多くの大学生に英語による専門授業の受講や留学を実現できる英語力を養成することを目指している。
本研究で開発する社会科学と人文科学、計2種の教材は、それぞれ30~50時間の学習を必要とする独学が可能なWeb教材とする。英語聴解力養成用教材の開発は大きく分けて2段階に分けられる。第一段階は教材の素材となる動画素材の作成であり、2021年度に2つの教材について終了している。
2022年度には、第二段階の教材開発を行い、2種の教材のうちの1つである社会科学分野の教材を完成させた。具体的には、4月から9月にかけて、独学用の教材とするために必要なタスク、ヒント、学習をサポートするための各種情報からなるコースウェアを分担者、代表者協力して作成した。この教材は、経営学、経済学、メディア、法定翻訳の4つの講義を素材とするものであるが、それぞれ5万字程度、合計約20万字からなるコースウェアが完成した。次に、10月から12月にかけて、教材の内容理解を補助するための静止画素材の収集・編集作業を前年の作業に加えて行い、必要な数(約500枚)を揃えた。さらに、辞書や例文の音声を録音して作成した。最後に、これらの文字、動画、静止画、音声すべての部品を教材プログラムに組み込んだ。その後、分担者と協力者によるデバグ、学生によるデバグといった数回にわたる確認と修正作業を繰り返し、社会科学分野の聴解力養成用教材であるEnglish for Social Sciences が完成した。