× Japan Society for the Promotion of Science: Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
Date (from‐to) : 2018/06 -2023/03
Author : 弥永 真生; 大野 雅人; 木村 真生子; 小野上 真也; 岡本 裕樹
法人の法主体性が認められていること(権利能力はもちろんのこと、法人自身の不法行為、法人税の課税根拠、法人に対する処罰)を念頭に置きつつ、自律的なAIに法主体性を認めないと何らかの不都合が生ずるのか、他の法律構成によってその不都合は解消できないのか、逆に、法主体性を認めるとどのような問題があるのか(AIの意思を法的に観念できるのかなど)について、昨年度までの研究の成果を前提として研究を進めた。
すなわち、本年度も、研究代表者及び研究分担者が、それぞれ、日本法の分析及び課題の発見のための外国文献の収集と分析を並行して行った。すなわち、主として、弥永が法人法との関連におけるAIの法主体性の承認可能性について、大野が租税法との関連におけるAIの法主体性の承認可能性について、岡本が民事法との関連におけるAIの法主体性の承認可能性について、木村が電子商取引法との関連におけるAIの法主体性の承認可能性について、小野上が刑事法との関連におけるAIの法主体性の承認可能性について、それぞれ、引き続き分析・調査を行った。
とりわけ、刑事法の分野において自律的人工知能(AI)の法主体性を肯定し得るか(またいかにしてか)につき、AIの刑事規制論一般、(自然人以外の刑事規制である)法人処罰論のアナロジー、刑事過失論を手がかりに、国内外の関連文献検討を中心に研究を進めたほか、租税法の分野においては、AIによる労働者との代替による租税収入の減少とAIの活用の促進とのバランスをどのように図ることが可能なのかという問題意識をもって、BEPSの議論も参考に研究を進めた。