日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2016年04月 -2020年03月
代表者 : 今井 重男; 内田 彩; 松本 大吾; 石井 裕明; MILLER KEVIN
ブライダル市場の顧客の多様化が進み、新たなサービス管理や開発が求められるなか、「リゾートウエディング」「旅婚」など、「楽しみのための旅」を伴う新たなブライダルビジネスが登場し始めた。本研究の学術的な特色は、日本におけるブライダルビジネスの変遷と特徴を理解した上で、企業調査・現地調査を通じて、挙式するカップルと列席者を旅行対象とする「ブライダルツーリズム」という新しいツーリズムの概念を生み出し、今後の展開について明らかにするものである。
4年間に計17回の研究会を行い、得られた知見のまとめ作業として学会5回(国内4回、国際1回)と論文7本を発表公表した。これらはいずれも研究者の専門分野をメインにしながら、共同研究者の専門も織り込んだ内容となっており、これらの研究業績は1冊の報告書として製本した。
研究を通じて、たとえばリゾートウエディングの場合、地域に限定されやすいのに対して、ブライダルツーリズムは、リゾート地のイメージの無い地域も候補地となる。また、前者は挙式のために旅行するのであって主:従が挙式:旅行となるが、後者は地域に潜む多様な魅力に触れ、その地ならではの歴史や文化を体感する中で挙式もするという「旅行が主」「挙式が従」の旅の企画となる。しかもブライダル産業は裾野が広い上、ブライダルツーリズムであれば、宿泊産業、旅行業、地場産業も含めた土産物産業も関係する。さらに近年訪日外国人が増加するなか、新たなインバウンド向けの魅力になることも期待できることが分かった。
このように、ブライダルツーリズムについて定義の確立と「結婚式を旅行のオプションととらえる」という一側面からの結論は得られたものの、それをもって産業へ提案するまでは行きつかなかった。引き続き研究を継続し、提案を実現させたいと考えている。