文部科学省:科学研究費補助金(特定領域研究(C))
研究期間 : 2000年 -2000年
代表者 : 加藤 和則; 吉田 光二; 若杉 尋
本研究では難治性のヒト白血病に対する新たな免疫療法「CD40リガンドを用いた遺伝子免疫療法」の基盤開発を目的とした。以前までの研究結果によりCD40陽性であるBリンパ球性白血病細胞(B-CLL,ALL,HCL)はCD40リガンド刺激に対して感受性が高く、容易にCD80,CD86等の補助刺激分子を発現誘導し自己T細胞を活性化する事実が報告され、これを基としたCD40リガンド遺伝子治療が開発されている。本年度の本研究組織において研究代表者および分担者はCD40陰性もしくは弱陽性の慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)、前骨髄性白血病(APL)に対しても効率的にCD40リガンドを作用させることを目的として、分化誘導剤とCD40リガンドの相互作用による免疫反応増強効果を検討した。ぞの結果、急性前骨髄性白血病の分化誘導療法に用いられているレチノイン酸ATRA(all-trans retinoic acid)前処理により骨髄性白血病細胞上にCD40を発現させることを確認した。機能的な受容体CD40を発現誘導された結果、骨髄性白血病細胞はCD40リガンドによる刺激を受け、各種細胞表面抗原、特にT細胞認識に重要な補助刺激分子(CD54,CD80,CD83,CD86等)の発現が増加し、効率的に抗白血病T細胞を刺激することをT細胞増殖・サイトカイン(IFN-γ)産生から確認した。以上の結果は従来の分化誘導療法耐性白血病に対してもCD40リガンド遺伝子導入白血病療法が応用できる可能性を示している。現在、分化誘導前後の骨髄性白血病細胞へのCD40リガンド遺伝子導入効率に関して検討を行い、白血病細胞の形質変化について検討中である。