日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2002年 -2005年
代表者 : 村上 勝三; 山口 一郎; 長島 隆; 河本 英夫; 中里 巧; 相楽 勉
4年間の目標は以下の4点にあった。1.哲学教育の授業内容の開発、2.哲学専門教育のシステム構築とその実践、3.哲学教育における評価基準及びそのアウトカムの研究、4.研究分担者が行う個別研究と哲学教育の理念との関係について明らかにすること。
1.については(1)学部における哲学教育において習得されるべき用語の確立、(2)それに基づいた哲学検定試験の実施、(3)講義記録の検討として展開された。これらの研究を通して現状における哲学教育の貧困化を如何にして克服すべきかという方向性を明らかにすることができた。
2.については大学院教育において(1)哲学綜合語学教育の推進し、(2)「身体の哲学」のもとに精神医学と認知運動療法についての実践的研究の導入した。哲学研究者の二方向的養成、つまり、専門的哲学研究者として外国語で討論可能な能力を獲得すること、および他分野における実践知探究のコーディネーターとして応用可能な知識と能力を身につけること、この二方向にむけた専門教育の基礎を得た。
3.については本研究においてもっとも困難の多い点であることが明らかになった。哲学教育の評価基準は上記1.および2.の確立と大学における哲学教育のおかれている社会的状況への依存度が大きく、この依存性は個々の教員の哲学教育の具体層にも浸透しており、今後の課題となる。
4.については、(1)独、仏、米の哲学者へのインタビューをとおして日本における哲学教育の歪みとともに、研究分担者の研究態度の見直しと再確認をとおして哲学教育理念の再評価を行った。(2)その結果は各研究分担者の業績に表れている。教師が変わらなければ教育は変わらないのである。(3)「身体の哲学」は独自な展開を見せ、認知運動療法が大きな哲学的意義をもつことを明らかにした。