研究者総覧

角田 奈歩 (ツノダ ナオ)

  • 経営学部経営学科 准教授
  • 経営学研究科経営学・マーケティング専攻 准教授
Last Updated :2024/04/23

研究者情報

学位

  • 博士(人文科学)(2011年03月 お茶の水女子大学)
  • Master 2 (Histoire économique)(2009年12月 Université Paris 1)
  • 修士(文学)(2004年03月 東京大学)
  • 学士(文学)(2002年03月 東京大学)

科研費研究者番号

  • 10623209

J-Global ID

プロフィール

  • 大枠では「ファッション」はどのように生まれるのかに関心を持っている。
    そしてそもそも「ファッション」とは,もしくはフランス語「モード」とはなんなのかを定義したい。

    服飾を巡る「ファッション」は,衣服を作り売る者,衣服を着る者,メディアの三者のうち,歴史的に誰が主導権を握ってきたのか。それを明らかにするため,服飾と商業,わけても小売業との関係を分析している。その中で,ショッピングの娯楽化,工業製品としての衣服,万人がアクセス可能な「ファッション」といった現在は当然となっている服飾や流行を巡る概念・事物がどのように成立したかも考えていきたい。また,なぜパリという一都市が長らく「ファッション」の中心地であり続けられたのかも理解したい。
    そのため,現在は主に,19世紀後半における百貨店とオート・クチュールといういわゆる近代的ファッション産業の誕生に至るまでの,18世紀~19世紀前半パリにおける服飾品小売業について研究を進めている。
    また,「モード」の起源に関係して,コルベールの重商主義政策とヴェルサイユでの「モード」の扱いに着目し,コルベールが振興した産業のひとつであるレース業についての研究にも着手した。フランスだけでなく,西ヨーロッパ各地のレース手工業・機械工業について情報を収集中である。

    なお,フランス史,もしくはヨーロッパ史において,研究者の立ち位置や意識の上で18世紀と19世紀の扱いにやや分断が見られる上に,特に経済史・商業史では19世紀前半が手薄でアンシャン・レジーム期~フランス革命期と19世紀後半以降が断絶する傾向があることから,18世紀と19世紀の連続性を研究上あえて意識し,19世紀前半の状況を重視している。

    1. アンシャン・レジーム末期~19世紀半ばのパリの服飾品小売業の実情


    特に,18世紀に特異な位置を占めたモード商marchands de modesと,19世紀初頭パリに登場した新物店マガザン・ドゥ・ヌヴォテmagasins de nouveautésについて。彼らの活動と百貨店やオート・クチュール成立までの経緯を明らかにする。


    2. 18世紀末~19世紀前半のパリの商業都市としての様相


    地区別の業種分布,服飾品小売店が多かったパレ・ロワイヤル,グラン・ブルヴァール,パサージュなどの商業空間としての役割,オスマンの大改造前時点でのパリの変化との関連などを分析し,パリの中での「ファッション」の中心地形成の過程を理解する。


    3. 18世紀末~19世紀パリの既製服小売業の展開と,古着業や注文服製造業との関連


    仕立服・古着・既製服という軸から,ファッションの伝達構造を捉える。なお,これについては,パリ・オート・クチュールの消費・模倣・情報伝達の場になった1920年代ニューヨークと,既製服製造の工業化が本格的に始まる1960年代ニューヨークの状況も踏まえ,既製服成立とその要素の注文服への導入により生じた衣服の複製可能性とアート性についてもいずれは論じたい。


    4. 「モード都市パリ」の形成


    上記のようなパリの服飾品製造・小売業者の活動を,コルベール期フランスの産業政策や宮廷の状況を鑑みつつ,「モード都市パリ」が成立していく過程として捉え,パリが世界のファッションの中心地として確立されたのはなぜなのかを考察する。


    5. 「奢侈」そして「半奢侈」という概念と,「ファッション」の定義


    コルベール期以降,広く見れば現在に至るまで続くフランスの産業の「奢侈」路線と,18世紀以降ヨーロッパに広まり,大衆消費社会形成の土台となっていった「半奢侈」の関係について。また,そういった中で生じていったと思われるパリの「ファッション」を巡る特異性を併せて考えたい。


    6. 西ヨーロッパのレース業


    コルベール主義の下に推進されたレース業が以降フランスの「モード」とどう関わってきたかを考えるため,西ヨーロッパ全体での手工業によるニードル・レースとボビン・レース,そして種々の工業化以降のレースの展開を辿っている。レース業を経済史に位置付けると共に,レース業においても窺える奢侈と半奢侈の拮抗,もしくは前者から後者への推移についても追いたい。またそこから浮かび上がる,コスト削減・労働集約と商品の価値である「美」を両立させるための技術設計としての「デザイン」についても検討したい。


    7. デジタル・ヒストリー


    20年来,帳簿や地理情報のデータ化により研究を進めてきたことから,デジタル・ヒストリーの一環としてのデータの公開や,技術の周知なども進めていければと考えている。



    以上の課題のため,具体的には,帳簿などの商人文書,商業年鑑,古地図などを主な史料として分析を進めている。またレース業については,先行研究も文字史料も極めて乏しいため,現物や現存技術についても分析方法を検討中である。

研究キーワード

  • デザイン   レース   経済史   モード   奢侈   19世紀   18世紀   ファッション   パリ   小売業   都市史   西洋史   商業史   服飾史   

研究分野

  • 人文・社会 / 経済史 / 商業史
  • 人文・社会 / ヨーロッパ史、アメリカ史 / フランス史
  • 人文・社会 / ヨーロッパ史、アメリカ史 / 都市史
  • 人文・社会 / ヨーロッパ史、アメリカ史 / 技術史
  • 人文・社会 / 史学一般 / 服飾史

経歴

  • 2017年04月 - 現在  東洋大学経営学部准教授
  • 2023年04月 - 2024年03月  ローヌ゠アルプ歴史学研究所客員研究員
  • 2016年09月 - 2017年03月  共立女子大学非常勤講師
  • 2016年04月 - 2017年03月  法政大学比較経済研究所兼任研究員
  • 2013年09月 - 2017年03月  立正大学文学部非常勤講師
  • 2014年04月 - 2016年09月  首都大学東京都市教養学部非常勤講師
  • 2013年04月 - 2016年03月  日本学術振興会特別研究員PD
  • 2014年09月 - 2015年03月  立教大学文学部非常勤講師
  • 2013年04月 - 2015年03月  お茶の水女子大学生活科学部非常勤講師
  • 2010年04月 - 2014年03月  東洋学園大学非常勤講師
  • 2011年10月 - 2013年03月  お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科研究院研究員
  • 2011年10月 - 2012年03月  東京国際大学経済学部非常勤講師
  • 2011年04月 - 2012年03月  お茶の水女子大学生活科学部教育研究協力員
  • 2006年04月 - 2007年09月  日本学術振興会特別研究員DC2
  • 2005年04月 - 2006年03月  お茶の水女子大学生活科学部アカデミック・アシスタント
  • 2004年05月 - 2005年02月  お茶の水女子大学大学院人間文化研究科ティーチング・アシスタント

学歴

  • 2004年04月 - 2011年03月   お茶の水女子大学大学院   人間文化研究科   比較社会文化学専攻博士後期課程
  • 2007年10月 - 2009年06月   パリ第1大学   09学部(歴史学)   経済史専攻Master 2課程
  • 2002年04月 - 2004年03月   東京大学大学院   人文社会系研究科   欧米系文化研究専攻西洋史学専門分野修士課程
  • 2000年04月 - 2002年03月   東京大学   文学部   歴史文化学科西洋史学専修課程
  • 1998年04月 - 2000年03月   東京大学   教養学部   文科III類

所属学協会

  • 糸・布・衣の循環史研究会   都市史学会   日仏歴史学会   史学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 上垣 豊 (担当:分担執筆範囲:歴史の扉10 モード)ミネルヴァ書房 2020年03月 ISBN: 9784623087785 346 212-219
  • 安城 寿子 (担当:分担執筆範囲:対談(1)「歴史を明らかにするということ」)光文社 2019年04月 ISBN: 9784334044084 283p, 図版 [16] p
  • 徳井, 淑子; 朝倉, 三枝; 内村, 理奈; 角田, 奈歩; 新實, 五穂; 原口, 碧 (担当:共著範囲:第I部第1章「流行を商う」:モード界の「ナポレオン」とオート・クチュールの起源,第II部「遺産目録」,「会計帳簿(商人文書)」,「商業年鑑」,「ファッション雑誌」)悠書館 2016年 ISBN: 9784865820102 282, xlvp, 図版 [8] p 31-70; 223-227; 238-244; 249-253; 265-271 
    第1部論文集内論文については「流行を商う:ファッション界の「ナポレオン」とオート・クチュールの起源」へ
  • 杉本 淑彦; 竹中 幸史 (担当:分担執筆範囲:第5章 「モードの国」フランス)ミネルヴァ書房 2015年06月 ISBN: 9784623072712 360 71-85
  • 内村 理奈 (担当:分担執筆範囲:第9章 ファッション産業の歴史とグローバル化)北樹出版 2014年10月 ISBN: 9784779304330 222 161-180
  • 角田 奈歩 (担当:単著範囲:)悠書館 2013年02月 ISBN: 9784903487687 251

講演・口頭発表等

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

担当経験のある科目

  • 歴史の諸問題
    東洋大学
  • 女性と社会
    共立女子大学
  • ヨーロッパ社会・経済史
    立正大学
  • フランス語圏文化史
    首都大学東京
  • 西洋史特講
    立正大学
  • 服飾史資料論
    お茶の水女子大学
  • 専門基礎・フランス語
    立教大学
  • 西洋服飾論
    お茶の水女子大学
  • ファッション文化史
    東洋学園大学
  • 服飾文化各論
    お茶の水女子大学
  • 西洋経済史
    東京国際大学

学術貢献活動

  • 期間 : 2022年05月21日 - 2022年05月22日
    役割 : 企画立案・運営等
    種別 : 学会・研究会等
    主催者・責任者 : 日本西洋史学会
    東洋大学(オンライン) 広報担当

その他

  • 2020年03月  〈Web体験授業〉「モードの国」フランスの成り立ち 
    http://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20200318_01.html
  • 2013年07月  〈取材記事・共同〉「つきまとう“色”と“模様”の禁忌:ファッションタブーに挑む「本」「映画」」(『サイゾー』2013年7月号,74-77頁)
  • 2012年10月  〈講演英訳協力〉Yoshiko TOKUI, “Historical and Comparative Research of Clothing Patterns”, 2012 International Textiles and Costume Culture Congress, Seoul, 05-07 October 2012

その他のリンク

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