交代制勤務による内的脱同調と心身の変調の因果性及びその神経行動学的基盤の解明
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 東郷 史治; 石渡 貴之; 吉崎 貴大; 小松 泰喜; 緒形 ひとみ
唾液中の時計遺伝子のmRNA抽出法と概日リズムの評価手法の妥当性を検討した。測定対象候補者を生活行動の時間的指向性から朝型、中間型、夜型に分類し、それぞれ5名を測定対象者として選択した。実験では、日常生活下での唾液採取(4時間毎に計5回の採取)、実験室内(24時間覚醒継続下)での唾液採取(1時間毎に採取)、深部体温計測、心電図計測を実施した。採取した唾液からmRNAを抽出し、時計遺伝子の発現状況について解析をした。また、実験室実験で採取した唾液からは、メラトニン濃度とコルチゾール濃度についても解析をした。動物実験では、交代制勤務動物モデルを作成するシステムを構築した。ケージに、床面の上を左右に移動するバーを設置し、そのバーを左右に常時移動させることで、動物を強制的に覚醒させることができることを確認した。そこで、日勤条件日(暗期でバーの移動有り12時間、明期でバーの移動無し12時間)、夜勤条件日(暗期でバーの移動無し12時間、明期でバーの移動有り12時間)、休日(暗期でバーの移動無し12時間、明期でバーの移動無し12時間)を設定し、Wistar系雄ラットで交代制勤務動物モデル4匹と日勤動物モデル4匹を作成した。交代制勤務動物モデルでは、日勤条件2日、夜勤条件1日、休日1日、日勤動物モデルでは日勤条件3日、休日1日のセットをどちらも4回繰り返した。ラットには、腹腔内に深部体温、活動量、心電図を計測する小型機材を埋め込み、実験期間中のそれぞれのデータを計測した。また実験期間の終了後に、抑うつ/不安行動特性を定量化するためのテスト(オープンフィールドテスト)、脳内の神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン等)をホモジネートを用いて計測した。人を対象としたシミュレーション実験等では、脳機能検査(fMRIと脳波)で使用する画像とプロトコルについて検討を進めた。