日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
Date (from‐to) : 2018/04 -2022/03
Author : 内山 有子; 衞藤 隆; 佐々木 司
本研究では、全国の幼稚園における健康診断の実施状況や養護教諭の配置状況、保健室の設置設備などの実態調査を行う。そして、わが国の幼稚園における幼児の保健管理の実態を明らかにし、幼稚園から小学校へのスムーズな保健管理の連携や幼児期から行うべき生涯を通じた健康づくりについて検討することを目的としている。
学校保健安全法および同施行規則より定められている健康診断は、児童生徒の発育状態や健康状態を把握し、疾病や異常を早期に発見できる機会となっている。しかし、2019年度に幼稚園養護教諭を対象として実施した小規模調査より、健康診断の検査項目のうち「ほぼ全員に実施される項目」が未実施の園があることが分かった。
そこで、2020年度は全国から無作為抽出した1,000幼稚園で「幼稚園における健康診断の実態調査」を実施する予定であった。
調査は2020年2月に予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け一時延期とした。その後、2020年4月以降に適切な調査時期を模索したが、幼稚園の休園および幼稚園教職員の休職などコロナウイルス感染症拡大防止対策、健康診断時期の延期、保護者対応などで多忙である幼稚園の実情を考え、調査時期を再び延期した。
同時に計画していた幼稚園の保健室に勤務している養護教諭に幼稚園における保健管理の現状と問題点に関するインタビュー調査、幼稚園の保健室視察なども、可能な限り幼稚園に外部者を招きたくないという幼稚園の状況を考え、同様に延期した。
幼稚園における保健管理の実態は文部科学省においても十分に把握できていないため、全国の幼稚園を対象とした本研究により幼稚園の保健管理の実状を把握することができ、わが国の今後の幼児教育の質の保証と生涯を通じた健康づくりの基礎を形成するデータを提供することができる。2021年度に上記研究を遂行できるよう、感染症対策に十分な配慮を行いながら準備を行っている。