Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research
Date (from‐to) : 2006 -2008
Author : TANAKA Soko; KUSUNOKI Sadayoshi; IWATA Kenji; HOSOYA Hiroshi; HONDA Masako; SAITO Tomomi; KAWANO Yuji; HOSHINO Kaoru; TAKAYA Sadayoshi; YAMAGUCHI Masaki; YASODA Hirohito
EUの共通通貨ユーロは単一の政策金利をもつため、域内の高成長・高物価上昇国では実質金利が低くなり、低成長・低物価上昇国では高くなる。したがって単一金利は高成長と低成長とを強化し、悪循環となることから、ユーロの持続性に疑問が生じる。
本研究では、実質為替相場を考慮に入れることにより、そうした悪循環には抑制作用が働くことを明らかにした。また高成長・高物価上昇はユーロ域の経済発展の低い国に生じることから、キャッチアップを加速するプラスの面があることを実証的に示した。また悪循環が協調された21世紀初頭にはドイツがバランスシート不況という特殊な状況に陥っており、その影響が大きかったことも明らかにした。三年間の研究によってユーロ域の分裂は生じ得ないこと、ユーロの持続性には問題がないこと、また総合的な評価の必要性が明らかとなった。