研究者総覧

藤島 喜嗣 (フジシマ ヨシツグ)

  • 社会学部社会心理学科 教授
Last Updated :2025/04/19

研究者情報

学位

  • 学士(1995年03月 一橋大学)
  • 修士(1997年03月 一橋大学大学院)

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科研費研究者番号

  • 80349125

ORCID ID

Researcher ID

  • CQU-8908-2022

J-Global ID

研究分野

  • 人文・社会 / 社会心理学

経歴

  • 2025年04月 - 現在  東洋大学社会学部 社会心理学科教授
  • 2022年04月 - 2025年03月  昭和女子大学全学共通教育センターセンター長
  • 2017年04月 - 2025年03月  昭和女子大学大学院生活機構研究科 心理学専攻教授
  • 2017年04月 - 2025年03月  昭和女子大学人間社会学部 心理学科教授
  • 2002年04月 - 2025年03月  昭和女子大学大学院生活心理研究所所員
  • 2013年04月 - 2022年03月  昭和女子大学アドミッション部部長(学部長含む)
  • 2013年04月 - 2017年03月  昭和女子大学アドミッションセンター
  • 2006年04月 - 2017年03月  昭和女子大学人間社会学部心理学科助教授・准教授
  • 2009年04月 - 2013年03月  昭和女子大学 アドミッション部 次長
  • 2003年04月 - 2006年03月  昭和女子大学人間社会学部心理学科専任講師
  • 2002年04月 - 2003年03月  昭和女子大学 文学部心理学科 専任講師

学歴

  • 1997年04月 - 2002年03月   一橋大学大学院   社会学研究科   社会問題・政策専攻
  • 1995年04月 - 1997年03月   一橋大学大学院   社会学研究科   社会問題・政策専攻
  • 1990年04月 - 1995年03月   一橋大学   社会学部

所属学協会

  • The Asian Association of Social Psychology   日本認知心理学会   Society for Personality and Social Psychology   日本心理学会   日本グループ・ダイナミックス学会   日本社会心理学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 山下, 玲子; 有馬, 明恵; 藤島, 喜嗣; 埴田, 健司; 田中, 知恵; 森下, 雄輔; 小山, 健太; 横山, 智哉; 石橋, 真帆 (担当:共著範囲:第1章自己, 第8章社会的影響)八千代出版 2025年01月 ISBN: 9784842918815 vi, 278p
  • 社会的認知:現状と展望
    唐沢かおり他全14名 (担当:共著範囲:第13章「結果の再現性問題」(Pp. 197-212))ナカニシヤ出版 2020年11月 ISBN: 9784779515071 241 
    社会心理学における社会的認知領域における研究の現状と展望について概観した。担当章では、近年、社会的認知領域で問題視されている再現性について、社会的認知研究の科学性に関わる到達点と問題点を指摘し、直接的追試を軽視する風潮の存在を指摘した。また、再現性の低さに対し、p-hackingなどの問題ある研究実践の存在、事後的仮説生成の存在をそれぞれ指摘した。これらを解消する試みとして、研究の事前登録、事前審査制度、大規模追試の有効性を指摘した。
  • 現代の認知心理学6 社会と感情
    村田光二他全12名 (担当:共著範囲:)北大路書房 2010年05月 ISBN: 9784762827174 
    認知心理学の最新知見を大学専門科目を受講する学部生、大学院生向けに紹介した。対人場面など社会的文脈における認知の問題を取り扱った。あわせて、認知と一見対立するように思われる感情の問題を、社会的認知アプローチから検討した。自尊感情と自己関連動機について最新の知見を紹介した(再掲)。
  • 社会心理学―社会で生きる人のいとなみを探る―
    遠藤由美ほか全12名 (担当:共著範囲:)ミネルヴァ書房 2009年03月 ISBN: 9784623053391 
    大学生対象に、社会心理学を学んでいく上で、最低限必要な知識や概念、考え方、構えをみにつけるためのテキストを作成した。特に、人は他者との関係の中で生きていることを強調したテキストとなっている。社会的影響に関する章を担当し、集団内における多数派および少数派の影響、権威に対する服従の問題、応諾のための方略とそれへの対処方法について概説した。
  • よくわかる社会心理学
    山田一成; 北村英哉; 結城雅樹ほか 全17名 (担当:共著範囲:)ミネルヴァ書房全230頁 2007年03月 18頁~29頁、60頁~63頁 
    (全体概要) はじめて社会心理学を学ぶ大学生を対象に、基本的なトピックから最新のトピックまで50のトピックを見開き4ページをかけ、具体的事例と研究知見を交えて紹介した。 (担当部分概況) 社会的認知と社会的影響に関するトピックを担当し、「素朴な現実主義」「自己中心性バイアス」「対人認知における期待の確証」「社会的スティグマ」について詳細な説明と最新知見の紹介を行った。
  • 最新・こころの科学
    古川真人; 島谷まき子; 山崎洋史; 松澤正子; 清水裕; 藤島喜嗣 (担当:共著範囲:)尚学社全184頁 2005年04月 3-24 
    (全体概要) 初めて心理学を学ぶ大学生を対象に、基本的な知識を中心に、最新の動向も随所に加味しながら心理学を概説した。 (担当部分概要) 第Ⅰ章 3頁~24頁動機づけと情動について概説した。動機づけに関しては、その定義と種類、さらには内発的動機づけについて解説した。情動については、情動の構成要素とその生起プロセス、情動の機能について解説した。
  • 社会的認知ハンドブック
    山本真理子; 外山みどり; 池上知子; 遠藤由美; 北村英哉; 宮本聡介ほか 全59名 (担当:共著範囲:)北大路書房全323頁 2001年10月 198-199 
    (全体概要) 社会心理学の研究領域である「社会的認知(social cognition)」の代表的な理論や概念をハンドブック形式で解説した。また、社会的認知研究の基礎となっている認知心理学の概念や用語、社会的認知研究を理解するために必要と思われる心理学一般の用語説明も行った。 (担当部分概要) 198頁~199頁 課題成績などの原因帰属において認められるセルフ・サービング・バイアス(self-serving bias)に関して概説した。バイアスの定義を行った上で、その基底過程を認知的要因、動機的要因から説明し、自己呈示的な側面の存在を指摘した。

講演・口頭発表等

  • 肯定事象の生起確率判断に無関連な肯定的行動が及ぼす影響(2) 徳積みと罰当たりの区分と公正世界信念の影響  [通常講演]
    藤島喜嗣・猪飼こゆき・今尾春香・尾前里々花・藤原鞠花・村山美樹・恵結希乃
    日本グループ・ダイナミックス学会第69回大会 2023年09月 ポスター発表 高知市 高知工科大学
     
    本研究の目的は、行動の肯定性の効果ならびに自我関与による調整効果を検討し、藤島ら(2020)の結果を統制条件を設定した上で再現することであった。さらに、公正世界信念の影響を検討した。東京都内の女子大学生 203 名が実験に参加したオンライン実験の結果、肯定事象であるチケット当選の確率判断に無関連事象である自己の行動の影響が見られたが、自己の肯定的行動の影響は見られず、否定的行動の影響のみがみられた。つまり、徳積みではなく罰当たりの効果が認められた。また、藤島ら(2020)の結果と異なり、自我関与の効果は見られなかった。公正世界信念のうち、究極的公正世界信念と内在的公正世界信念がチケット当選確率の判断に影響を及ぼしていた。特に、負の投入に対し負の結末を期待する内在的 公正世界信念の持ち主には、結果発表前の自堕落な生活からの因果を想像しやすかったと考えられ、村山・三浦(2015)の尺度の構成概念妥当性を示していた。
  • 社会化に伴う社会的アイデンティティの共有と外集団成員の印象変容  [通常講演]
    岩田奈々・藤島喜嗣
    日本社会心理学会第64回大会 2023年09月 ポスター発表 東京 上智大学
     
    上位カテゴリー化を⾏うと外集団成員を社会的アイデンティティを共有する対象とみなし、評価が肯定的になることを検討した。都内⼤学⼈間社会学部に所属する⼼理学科以外の学⽣ 88 名が参加した。参加者を2 条件に無作為配置し、下位→上位条件では外集団成員として、上位→下位条件では内集団成員として⼼理学科の学⽣を想起させた。肯定、否定同数の14 の形容詞に、その⼼理学科の学⽣がどの程度当てはまると思うかを5 件法で尋ねた。次に、先程の学⽣を下位→上位条件では内集団成員として、上位→下位条件では外集団成員として捉えなおさせた。そのうえで、再び同じ形容詞を提⽰し、当該学⽣の印象を尋ねた。その結果、温かさ評定において、上位カテゴリー化による元外集団成員に対する印象が好転した。上位カテゴリー化によってかつての外集団が内集団に包含され、社会的アイデンティティが共有されたのだろう。このような過程は社会化過程の基底の⼀部と考えられ、差別対象の社会的包摂の基底をなすとも考えられる。
  • 協働の役割分化による共感性の低下と否定的評価の過大推測の抑制  [通常講演]
    田丸有生・藤島喜嗣
    日本社会心理学会第64回大会 2023年09月 ポスター発表 東京 上智大学
     
    役割分化した協働における共感性の低下が否定的評価の過⼤推測を阻害する可能性を検討した。大学生79名に対し、2⼈1組で実験を実施した。最初に相⼿から⾒た⾃分の評判推測と相⼿の評価を回答させた。次に、数理課題を遂⾏させた。その際、困難課題と容易課題に役割分担をする共感なし条件と、分担せず同じ困難課題を遂⾏させる共感あり条件を⽤意した。課題終了後、⾏為者役のみに課題についての難易度を⼝頭で尋ね、⾏為者役には課題遂⾏が困難であったことが 2 者間で共通認識できるようにした。最後に、参加者に事前評定と同じ内容のものに加えて課題の難易度について訊ねた。その結果、否定的評価の過⼤推測が強く起きていたが、課題成績に対する焦点化による過⼤推測は⽣じておらず、デフォルトとしての否定的評価の過⼤推測が⽣じていた。この結果は仮説を支持しなかった。これらの結果から、⼈間は対⼈関係を構築する上で、相⼿を悪く評価せず、⾃分を悪く評価するという⽅法を徹底している可能性がある。
  • サンプルサイズ・ヒューリスティックと推測の保守性:Krueger & Clement (1994)の直接的追試  [通常講演]
    藤島喜嗣
    日本社会心理学会第63回大会 2022年09月 ポスター発表 京都 京都橘大学
     
    Krueger & Clement(1994, 実験3)の直接的追試を行い、知見の再現性を一般化可能性を検証した。当該研修は、機能推論におけるバイアスを推論過程に固有のバイアスと自己中心性バイアスとに分割した点で重要であり、日本国内での再現性と一般化可能性の検証が必要であった。事前登録を行い実施し、300名分のデータを対象に分析を行った。その結果、サンプルサイズ・ヒューリスティックと推測の保守性が認めら得る一方、他者情報を適切に利用できない可能性を示唆した。
  • 結末情報の付加が人生幸福度評価に及ぼす影響 (2)公募型 Web 調査を用いた追試  [通常講演]
    藤島喜嗣
    日本心理学会第86回大会 2022年09月 ポスター発表 東京 日本大学文理学部
     
    本研究は、Diener et al. (2001)および藤島他(2021, 研究2)の知見が公募型Web調査を用いた一般サンプルでも再現されるか検証し、知見の頑健性と一般化可能性を確認した。ターゲット研究は、幸福度判断におけるピーク・エンドの法則ならびに持続の無視を示した重要研究であるが、要因配置によって異なる結果が得られることが見出されている。参加者内要因配置で実施した場合には仮説通りの結果が得られるのだが、279名のデータを使用した本研究においても同様の結果となった。このことから、効果の頑健性と一般性を確認するとともに、追加情報の比較対照が心的過程として必要である可能性を示した。
  • 向社会的行動の自発性が幸福感に及ぼす影響―対人的満足感・対人的自己効力感を媒介としたモデルに向けて―  [通常講演]
    増井朋花; 藤島喜嗣; 平野真理
    日本パーソナリティ心理学会第30回大会 2021年09月 ポスター発表 
    自発的な向社会行動が、対人関係における満足感や効力感を通して幸福感をもたらす可能性を検討した。関係は良好だが経済的に困窮している友人がいる場面を設定し、自発的寄付条件、強制的寄付条件、自発的自己投資条件、強制的自己投資条件の4条件に無作為配置した。次に場面想定時の友人満足感、対人自己効力感、感情的幸福感を回答させた。その結果、向社会的行動を取る場合よりも取らない場合の方が対人満足感および対人的自己効力感が高く、先行研究に反する結果となった。寄付というよりも金銭搾取と捉えられた可能性がある。しかし、対人満足感は、自発的な寄付をした場合に高く保たれることが示された。したがって、自発的な向社会的行動は対人的満足感を媒介として幸福感を上昇させる可能性が示唆された。
  • 感染可能性判断に対する同一結果観測の影響  [通常講演]
    藤島喜嗣; 石井萌波; 白石まどか; 宮本祐里
    日本グループ・ダイナミックス学会第67回大会 2021年09月 ポスター発表 奈良県 帝塚山大学
     
    本研究は、Krueger & Clement (1994)を感染症感染率の推測課題に適用し、サンプルサイズ・ヒューリスティックと推測の保守性が、感染症検査の陽性、陰性結果に基づく推測に対しても同様に生じるか検討した。その結果、総じて損失回避から感染可能性を見積もる傾向が見られた。陽性条件においてサンプルサイズ・ヒューリスティックが見られた。これは、同一内容の検査結果を適切に利用できた可能性があるが、感染可能性を高く見積もるために確証的な情報利用をした可能性も考えられた。ただし、検査結果がない場面においては、都合の良い結果を求める動機づけられた推論や、素朴信念の影響が考えられた。陰性条件では推測の保守性が認められた。感染可能性が低くても感染したら重大なので、感染可能性を高く見積もっておくよう補正した可能性があり、損失回避傾向を示した結果と考えられる。
  • 結末情報の付加が人生幸福度評価に及ぼす影響:異なる要因配置によるDiener, Wirtz, & Oishi (2001)の追試  [通常講演]
    藤島喜嗣; 石井萌波; 白石まどか; 宮本祐里
    日本心理学会第85回大会 2021年09月 ポスター発表 東京都 明星大学
     
    Diener, Wirtz, & Oishi (2001)は、実験参加者に肯定シナリオもしくは否定シナリオに、ほどほどに幸せな人生数年を情報として追加するかどうかを操作して提示し、登場人物の人生を評価させた。その結果、素晴らしい人生が突然終わる場合、その後程々に幸せな人生が数年続くよりも好ましく評定し、悲惨な人生の後に数年少しだけましな年月が続く場合、悲惨な人生が突然終わるよりも好ましく評定した。本研究は、このDiener et al. (2001)の追試を行った。研究1(n=237)では、元研究では参加者内要因であった追加情報の有無を参加者間要因とした。研究2(n=188)では、元研究と同様に追加情報の有無を参加者内要因とした。その結果、研究1では支持的証拠を得られなかったが、研究2では支持的証拠を得た。要因配置の違いで追試の成否が異なったことから、ピーク・エンドの法則が成り立つためには、シナリオの対照が必要である可能性が示唆された。
  • 日本心理学会と日本社会心理学会における大会発表論文の系統的レビュー:2013年と2018年の社会心理学系の発表を対象に  [通常講演]
    平石界; 三浦麻子; 樋口匡貴; 藤島喜嗣; 中村大輝; 須山 巨基
    日本心理学会第85回大会 2021年09月 ポスター発表 東京都 明星大学
     
    心理学研究の低い再現性が指摘されてから約10年が経過した。その原因の1つとして、斬新で有意な研究を好むジャーナルによる出版バイアスが指摘されてきた。しかし、そもそも心理学界には斬新で意外性のある有意な結果を重視する文化があり、編集者や査読者もそれに倣ってきたという理由もありうる。この問題を検討するために、日本心理学会ならびに日本社会心理学会の年次大会における発表論文のメタ分析を実施した。大会発表論文で報告されたp値の分布を見ることで、査読が存在しない状況下で、研究者による自発的な出版バイアスが生じてきたか検討した。対象は2013年と2018年の社会心理学系の実験研究とした。総じて出版バイアスを明示的に示す証拠は得られず、学会発表レベルにおいては比較的誠実に研究報告がなされてきたことを示唆していた。
  • 公募型Web調査における特性的自己効力感尺度の妥当性(2) 人生満足感ならびにビッグファイブ特性との関連.  [通常講演]
    藤島喜嗣; 山田一成
    日本社会心理学会第62回大会 2021年08月 ポスター発表 東京都 帝京大学
     
    公募型Web調査において特性的自己効力感尺度が回避傾向、対人効力感、負荷耐性の3因子構造をなすことを受け、人生満足感およびビッグファイブとの関連を検討することで、特性的自己効力感尺度下位3因子の妥当性を検討した。下位3因子のうち回避傾向と対人効力感は人生満足度と正の相関関係を示したが、負荷耐性は無相関だった。ビッグファイブについては先行研究から特性的自己効力感と神経症傾向が負相関、他の4因子が正相関することがわかっているが、整合する関連を示したのは回避傾向のみであった。これらのことから、特性的自己効力感尺度の下位3因子はそれぞれ独立した特性であり、特性的自己効力感を反映しているといえるのは回避傾向因子のみであることが示唆された。
  • 公募型Web調査における特性的自己効力感尺度の妥当性(1) 成人対象調査を用いた構造的側面の検討  [通常講演]
    山田一成; 藤島喜嗣
    日本社会心理学会第62回大会 2021年08月 ポスター発表 東京都 帝京大学
     
    公募型Web調査における特性的自己効力感尺度の因子構造を検討した。不良回答および不正回答を除いた492人分の回答に探索的因子分析を行った結果、23項目中5項目が尺度構成上問題のある項目として除外され、回避傾向、対人効力感、負荷耐性の3因子解を得た。肯定項目群は二つの因子に分かれ、肯定項目と否定項目が混在する因子も存在した。さらに、男女別、年代別に同様の分析を行ったが、全体における結果とほぼ同様の3因子構造を得た。このことは、特性的自己効力感尺度が、方法因子によらない多因子構造をなすことを示唆した。
  • 肯定事象の生起確率判断に無関連な肯定的行動が及ぼす影響  [通常講演]
    藤島喜嗣; 安達澄乃; 井上萌恵美; 尾田遥; 川嵜郁奈; 久保里奈; 佐々木愛花梨; 杉下亜弥香; 林朝子; 本沢みのり; 渡邉悠莉香
    日本社会心理学会第61回大会 2020年11月 ポスター発表 学習院大学 学習院大学
     
    確率的事象に対する個人的影響力の過大視について検討した。チケット抽選は確率的事象であるが、抽選参加者は抽選に直接関与しない肯定的行為を行うことで確率に影響すると考えることがある。この現象を徳積み効果知覚と呼び、内観幻想が関与すると考えた。そこで、チケット抽選を題材に、抽選参加者が自分もしくは他者と想定させ、抽選までに善行もしくは悪行をすると考えさせた。その結果、他者視点では善行か悪行かが当選確率知覚に影響しなかったが、自己視点では悪行を積む場合よりも善行を積む場合に当選確率が上昇すると考えていた。この知見は、抽選行為の評価に自らの意図を含めて考慮したからだと解釈できる。確率判断に関する素朴理論と内観幻想の影響について考察した。
  • 行動再解釈による潜在態度および顕在態度の変容  [通常講演]
    藤島喜嗣; 外赤友美恵; 花田紗織里
    日本心理学会第84回大会 2020年09月 ポスター発表 東洋大学白山キャンパス 日本心理学会
     
    再解釈とは、行動記述から導かれた解釈で、後続情報により既存意味が消失し、新しい意味に置き換わることを指す。Mann & Ferguson (2015, 研究1a)は、最初に人物の否定的行動記述を見せ、感情誤帰属手続き(AMP: Payne et al., 2005)を用いて態度測定した。その後、付加情報を提示して再解釈操作を行い、再びAMPと質問紙で態度測定した。その結果、再解釈を促した場合、AMP、質問紙いずれにおいても評価が好転した。本研究は、研究1として、この研究1aの直接的追試を実施した。その結果、質問紙では再解釈効果が見られたが、AMPでは見られなかった。この理由としてネガティビティバイアスの関与が考えられた。そこで研究2では、手続きを変更し、肯定的な印象が後続の否定的な追加情報によって覆るかを検討した。その結果、研究1と同様、質問紙では再解釈の効果が見られたが、AMPでは見られなかった。再解釈の過程とその限界について考察した。
  • 類似性知覚が他社の意図推測表略に及ぼす影響: Ames(2004, Study 1)の追試  [通常講演]
    藤島喜嗣・新井美紗希
    日本社会心理学会第60回大会 2019年11月 ポスター発表 立正大学 日本社会心理学会
     
    Ames(2004, Study 1)の概念的追試を行い、他社の意図を推測する際に直感的な類似性をもとに方略が決定されるとする類似性随伴モデルに支持的な証拠が得られるか確認した。Ames(2004, Study 1)の手続きを踏襲し、内外集団の設定と典型的行動例を改変した実験を行った。先行研究と同様の分析から先行研究に整合する結果を得た。先行研究と異なるのは、ステレオタイプの影響が強い点のみであり、使用したステレオタイプの相違に起因すると考えられる。本研究の結果は、類似性随伴モデルを支持していた。
  • 協働状況が成績報告不正に及ぼす影響  [通常講演]
    藤島喜嗣・松本舞奈
    日本グループ・ダイナミックス学会第65回大会 2018年09月 ポスター発表 神戸大学 日本グループ・ダイナミックス学会
     
    Mazer, Amir, and Ariely (2008)の枠組みを利用して、協働状況が成績不正報告を促進するか検討した。人は不正を行うとき、自我動機と功利動機の相反する動機づけに基づくため、利他的な要素が含まれる協働状況においては不正が促進される可能性がある。不正に自己利益がない交換条件、協働利益を平等分配する山分け条件、単独で不正の機会がある破棄条件と不正の余地のない統制条件を設け、実験室実験を行った。その結果、交換条件、山分け条件のいずれも履き条件よりも不正を強く示す傾向にあった。この結果は、自己正当化の機会が不正を促進するという考えでは説明ができず、互恵性規範や利他性を想定した不正の可能性を示唆した。
  • 偶然に存在する数値の係留効果と認知欲求による調整: Critcher & Gilovich (2008, 研究2)の直接的追試  [通常講演]
    藤島喜嗣・渡邊寛・平石界・三浦麻子
    日本社会心理学会第59回大会 2018年08月 ポスター発表 追手門学院大学 日本社会心理学会
     
    偶然存在する無意味な数字がもたらす係留効果に関するCritcher and Gilovich (2008, Study 2)の直接的追試を行った。また、この効果を調整する個人差として認知欲求を測定し、その影響を併せて検討した。2研究の結果、偶然存在する数値が主効果的に係留点として働くことはなく、Critcher & Gilovich(2008)の結果は再現されなかった。認知欲求の個人差による係留効果の調整も一部で支持的な結果が得られたのみであった。認知欲求の調整効果も大きいとはいえず、判断の幅を大きく設定できる場合に限定されるのかもしれない。
  • 解釈レベル操作がハンドグリップ制御に及ぼす影響:Fujita, Trope, Liberman, & Levi-Sage (2006, Study 2)の追試研究  [通常講演]
    藤島喜嗣・三浦麻子・鈴木伸子・渡邊寛
    日本社会心理学会第58回大会 2017年10月 ポスター発表 広島大学東広島キャンパス, 広島県 広島大学
     
    Fujita et al. (2006)は、目標を抽象的に解釈するほど目標から判断対象を捉えやすいと主張した。本研究は、Fujita et al. (2006, Study 2)の追試を3度行った。ハンドグリップ課題でベースライン測定をしたのち、解釈レベル操作を行った。その後、あらためてハンドグリップ課題を行い、課題成績の変化量を測定した。その結果、3つの追試において、1つでは仮説方向の結果が認められたものの有意ではなかった。残り2つの追試では仮説と反対方向の結果が認められたが有意ではなかった。すべての追試を合わせて検討した場合には、仮説と反対方向であったが、有意ではなかった。これらのことは、Fujita et al. (2006)の主張に疑義を示すものであった。
  • 不正な成績報告が能力の自己査定に及ぼす影響:能力の肯定評価による自己正当化  [通常講演]
    足立若葉・荒木美音・本多永実・伊藤可那子・那須野敦子・須浦早紀・宇野羽衣奈・藤島喜嗣
    日本グループ・ダイナミックス学会第64回大会 2017年09月 ポスター発表 東京 東京大学
     
    Mazer, Amir, Ariery (2008)を参考に、好成績報告の誘因がある場合に課題成績の不正報告がなされるか、成績報告の不正がその後の自己正当化を招くか、を検討した。先行研究によれば、人は誘因がある場合には不正を行いうるし、そのことを正当化し自己欺瞞を行うこともある。本研究では、Mazer et al. (2008)の手続きをできるだけ忠実に再現し、不正報告の機会がある実験条件とそのような機会がない統制条件とを設定した上で、好成績に誘因のある課題を行った。その結果、これまでの知見通りに統制条件よりも実験条件の方で不正報告が認められた。他方で、自己正当化の証拠は認められなかった。人の不正のあり方と正当化の必要性について考察を行った。
  • 深い呼吸と情動との関連:経験サンプリングを用いた検討  [通常講演]
    島田知佳・藤島喜嗣
    日本心理学会第81回大会 2017年09月 ポスター発表 久留米シティプラザ, 福岡県 久留米大学
     
    日常生活において深い呼気および吸気がどのような場面・感情状態でなされるのかを検討した。深い呼気、吸気は肯定情動生起時的感情状態であれ、否定情動生起時でも的感情状態であれ生じ、非言語手がかりとしては多義的である、と考え、経験サンプリング法を用い、深い呼気、吸気を行った際の様相を記録し集約した。769件の経験サンプリングの結果、時間帯や行動などにより生起頻度に違いはみられたものの、日常のあらゆる場面において深い呼吸が生起していた。ただ、対人関係性のある場面において生起していたものは、全体の20%未満に留まっていた。また、深い呼吸は否定情動下でも生じることもあるが、主に肯定情動下で行われていた。控えめに言っても、深い呼吸は感情価によらず生起することが確認された。
  • Effects of gender-stereotypical stimuli with different degrees of abstraction on the performance of mathematics task  [通常講演]
    Yoshitsugu Fujishima and Mai Iwakura
    2017 Annual Conference of the Korean Psychological Association 2017年08月 ポスター発表 Sejong University Convention Center, Seoul the Korean Psychological Association
     
    Previous studies found that women performed worse on mathematics when their gender identity was activated. But if female participant is primed with women exemplars, the reverse pattern should emerge because exemplar priming can elicit judgmental contrast by evoking social comparisons. Thirty-one female undergraduates saw picture stimuli and classified them into animal or scenery categories. We used the pictures of faces of ordinary women in the prototype condition, the pictures of female talents in the exemplar condition, and the animals in control condition. They all solved moderately difficult mathematics tasks. Participants in the prototype condition and the exemplar condition performed worse compared to participants in the control condition. Participants might see exemplars as competent and contrasted themselves with exemplars. Or we might not have primed an exemplar but a category about women because we showed plural exemplars.
  • 解釈レベルがステレオタイプ反証刺激の潜在的評価に及ぼす影響:ジェンダーステレオタイプ反証事例を用いた検討  [通常講演]
    日本社会心理学会第57回大会 2016年09月 ポスター発表 兵庫県 関西学院大学
     
    解釈レベルによってステレオタイプ集団の反証事例に対する反応が異なるかを検討した。典型例刺激の単一カテゴリーIATを実施した後、解釈レベルを操作し、その後、反証事例刺激の単一カテゴリーIATを実施した。典型例刺激として一般女性の顔8名分を用いる一方、反証事例刺激としてジェンダーステレオタイプに一致しない有名なキャリア女性8名の顔写真を用いた。その結果、反証事例刺激の潜在的評価に解釈レベル操作は影響せず、典型例ステレオタイプが一定の影響を及ぼしていた。反証事例IAT自体は顕在評価に影響を及ぼしており、反証事例がある程度情報処理に利用されている証拠も得た。反証事例ではなく反証事例集団カテゴリを活性化もしくは測定した可能性と、具体思考によって事例に重きを置いた評価に移行しない可能性を考察した。
  • Effects of moderately positive life extension on perceived desirability of gain or loss stories  [通常講演]
    The 31st International Congress of Psychology 2016年07月 ポスター発表 Pacifico Yokohama, Yokohama Japan 
    Previous research found that a happy story that ended abruptly was rated more positively than a happy story that extended a period with medium degree of happiness (Diener, Wirtz, & Oishi, 2001). The present study divided happy stories into economically gain and loss stories and investigated the effects of moderately happy life extension on the perceived desirability of these stories. One hundred seventy six undergraduates were given an income graph describing the life of a fictitious baseball player. The total incomes were equivalent between gain and loss stories. Previous finding was replicated in the gain condition. However, in the loss condition, the story that ended abruptly was rated less positively than the story with extension. Moreover, the loss story with extension was rated more positively than the gain story with the same extension. The possibility that the plot of a story might moderate the extended end effects were discussed.
  • 自我消耗するとズルしやすいのか?―自我消耗が不正行為に及ぼす影響の検討―  [通常講演]
    小林麻衣・藤島喜嗣・樋口収
    日本社会心理学会第56回大会 2015年10月 ポスター発表 東京都杉並区:東京女子大学 日本社会心理学会・東京女子大学
     
    本研究は、Mead et al. (2009, study 1)の追試を通して、自我消耗が不正行為に及ぼす影響を検討した。女子大学生40名が個別実験に参加した。色認識課題を利用し自我消耗を操作した。統制条件では識別する単語と色が一致していたが、自我消耗条件では不一致でありストループ課題として認知資源を消費するようになっていた。課題後、気分測定を行った後に、数字探索課題を行った。数字探索課題の正答数によって謝礼を受け取ることができると教示した。数字探索課題の採点方法は、実験者が採点する場合と、参加者自身が採点し不正の機会がある場合の二乗件に分かれていた。実験の結果、統制条件では実践者が採点した場合よりも自己採点の方が成績が良く、不正が見られた。これに対し、自我消耗条件ではこのような差異は見られなかった。これは先行研究と正反対の結果であった。自我消耗がどの段階で機能するかについて議論した。
  • 類似性の基盤と推測対象との対応が透明性の錯覚に及ぼす影響  [通常講演]
    日本グループ・ダイナミックス学会第62回大会 2015年10月 ポスター発表 奈良県奈良市:奈良大学 日本グループ・ダイナミックス学会・奈良大学
     
    好みに基づく類似性知覚が、好み推測における虚偽推測ならびに好みとは無関連な虚偽推測におよぼす影響について検討した。好みに基づく類似性知覚は好み推測における透明性錯覚を促進するが、無関連な虚偽推測ではそれが弱まると予測した。研究1では女子大学生58名29組、研究2では女子大学生46名23組が実験に参加した。好みに関する二択問題の回答について虚偽のフィードバックをすることで、二者間の類似性知覚を操作した。その後、全ての質問に関して「はい」で回答する質問を実施し、虚偽報告者には見抜かれるかどうか、観察者には真実を告げているかどうかを推測させた。研究1では好みに関する質問を、研究2ではトランプの目撃に関する質問を行った。2研究の結果は予測を支持するものであった。素朴な科学者の視点から結果を考察した。
  • 計画立案時の知識活性化に時間的距離が及ぼす影響  [通常講演]
    日本心理学会第79回大会 2015年09月 ポスター発表 愛知県名古屋市:名古屋国際会議場 日本心理学会・名古屋大学
     
    本研究は、計画立案時に用いられる解釈レベルが計画立案対象との時間的距離によって異なるかを反応時間から検討した。計画立案後に測定する特性語への反応時間は、近い将来よりも遠い将来の計画時に短くなるだろう。他方で、行動語への反応時間は遠い将来よりも近い将来の計画時に短くなるだろう。また、自己に関するプライミングを受けた場合、受けない場合よりも反応時間が短縮されると考えられる。女子大学生61名に対し、語彙判断課題を行い、特性語、行動語に関する反応時間を測定した。その後、時間的距離が異なる場面想定を行い、その後あらためて語彙判断課題を行った。その結果、時間的距離はターゲット語との交互作用効果を示さなかった。自己プライムは、特性肯定語の活性化を抑制する一方、行動肯定語の活性化を促進していた。計画立案時には、自己の特性ではなく、自己の行動を含む具体的エピソードの想起が促されるのかもしれない。また、特性肯定語は中性プライム時にこそ活性化していた。計画立案時には、目標やカギとなる特性の理想となるイメージが活性化したのかもしれない。
  • 誠実性概念の活性化が将来予測に及ぼす影響:自己との連合と時間的距離による調整効果  [通常講演]
    日本心理学会第78回大会 2014年09月 ポスター発表 同志社大学 
    誠実性概念の活性化が試験勉強に関する将来予測に影響するか、その効果が時間的距離によって調整されるか、さらには、誠実性概念と自己との連合強度によって調整されるかを検討した。解釈レベル理論に基づき、活性化した誠実性に同化した予測がなされるのは、予測対象の時間的距離が遠方で、誠実性と自己との連合がみられる場合に限定されると予測した。誠実性概念を文章構成課題で活性化操作したのち、時間的距離の異なる将来予測をさせ、その後、自己との連合強度を測定した。その結果、予測通りの結果が得られず、時間的距離感に時間的距離と自己-誠実性の連合強度と活性化の影響が認められた。対処可能性知覚の問題として考察し、よりよい検証方法について議論した。
  • 解釈レベルが典型例および事例刺激による人種IATに及ぼす影響  [通常講演]
    日本グループ・ダイナミックス学会第61回大会 2014年09月 ポスター発表 東洋大学 
    解釈レベルの相違によって否定的ステレオタイプ集団の肯定事例に対する反応が異なるかを検討した。解釈レベル理論に基づき、具体解釈の場合には、肯定事例刺激の影響が見られ、黒人が肯定的に評価されるだろうと予測した。先行研究に従って解釈レベルを操作した上で、典型例刺激および肯定事例刺激による単一カテゴリーIATを用い、黒人への評価を測定した。その結果、予測とは正反対に抽象的に解釈する場合において肯定事例の影響がみられ、黒人が肯定的に評価される傾向にあった。事例活性化には典型例の活性化が先行する可能性、典型例と事例との包含関係のあり方の観点から考察した。
  • 対人場面でのメタ知覚の正確さに解釈レベル操作が及ぼす影響  [通常講演]
    日本社会心理学会第55回大会 2014年07月 ポスター発表 北海道大学 
    先行研究から、社会的相互作用場面におけるメタ知覚の不正確さは推論時に用いる知識の抽象度の相違と考えられる。しかしながら、これまでは解釈レベルを直接的に操作せず検証していなかった。本研究は、解釈レベルを直接的に操作し、メタ知覚への影響を検証した。その結果、ターゲット人物が抽象レベルに置かれることでメタ知覚が正確になることが改めて示された。その一方で、観察者の推測は必ずしも正確にならず、その再現可能性に疑問が生じた。マインド・リーディングの対称性の問題として議論した。
  • 数量比較が課題遂行方略に及ぼす効果: Mussweiler & Mayer (2011) の追試  [通常講演]
    日本社会心理学会第54回大会 2013年11月 ポスター発表 沖縄国際大学 
    Mussweiler & Mayer(2011)は、社会的でない数量比較に於いても制御焦点と関連し、速さと正確さのトレードオフが見られると主張した。本研究は、彼らの研究の再現可能性と、従属測定を変更し知見の一般性を検証する。図形刺激の比較を用いた研究では、先行研究の正反対の結果が得られた一方、係留と調整課題を用いた研究では、数量比較の影響はいられなかった。これらの知見は、社会的比較と数量比較が同じ心的基盤にあることを支持せず、焦点化過程の必要性を指摘した。
  • メタ知覚の正確さに時間的距離が及ぼす影響  [通常講演]
    日本心理学会第77回大会 2013年09月 ポスター発表 北海道医療大学 
    メタ知覚における不正確さの要因として、ターゲット-観察者間の解釈レベルの相違とその投射過程が指摘されている。また、不正確さはターゲット人物のみならず、観察者でも同様に生じるはずである。この点を検証すべく、Eyal & Epley(2010)の手続きを変更し、実験を行った。その結果、先行研究の結果を再現すると共に、ターゲットの自己評定と評価推測との正相関を見いだした。さらに、観察者の推測が、ターゲット人物のそれと並行して正確になることを示した。
  • 計画立案時の特性概念活性化に時間的距離が及ぼす影響  [通常講演]
    日本グループ・ダイナミックス学会第60回大会 2013年07月 ポスター発表 北星学園大学 
    計画立案時に用いられる解釈レベルが計画立案対象との時間的距離によって異なるかを、概念活性化の指標となる反応時間から検討した。外見活性化を測定するために語彙判断課題を行い、その後、計画立案をする場面想定課題を行い、再び語彙判断課題を実施した。その結果、近接条件では否定語よりも肯定語で活性化の効果が見られたが、遠方条件ではこのような差は見られなかった。このことは抽象的な特性概念が遠方条件で特に利用された結果と解釈できる。
  • 特性レベルの自己概念活性化が将来の計画立案に及ぼす影響  [通常講演]
    日本社会心理学会第53回大会 2012年11月 ポスター発表 筑波大学 
    特性レベルにある自己概念の活性化が将来の課題に対する計画立案に影響するか、その効果が適用可能性、接近可能性、時間的距離によって調整されるかを検討した。自己評定の前後に架空の資格取得を目指す場面を想定させ、計画立案とその評価を求めた。特性レベルの自己概念は計画誠実英に何らかの影響を及ぼしていたが、その影響、調整要因のあり方は多様であった。
  • 排除可能性とシャイネスが他者からの評価推測に及ぼす影響  [通常講演]
    日本グループ・グループダイナミックス学会第59回大会 2012年09月 ポスター発表 京都大学 
    中性的行動に対して否定的評価の過大推測が生じる可能性と、排除可能性知覚およびシャイネスがその推測を促進する可能性について検討した。シャイネスの個人差を測定後、排除可能性を操作し、中性的行動である自己PRを行わせ、他者からの評価推測をさせた。否定的評価の過大推測はデフォルトとして存在する一方、排除可能性とシャイネスにより促進されることを示した。
  • どんな肯定的過去経験も肯定予測を導くか?  [通常講演]
    日本心理学会第76回大会 2012年09月 ポスター発表 専修大学 
    想起する自伝的記憶の将来予測への影響が、記憶内容と予測事象の内容とが対応する場合に限定されるか、対応しない場合にも拡張されるかを検討した。心理学を受講する学生に真面目さ、優しさ、統制のエピソードを想起させ、その後、試験勉強時間と成績予測をさせた。また、試験実施後に実際の勉強時間と成績予測を回答させた。その結果、想起内容と予測事象との対応に関わらず、肯定的な自伝的記憶を想起すると将来予測が楽観的になった。ただし、予測事象が時間的に近く感じられる場合、試験4週間前の得点予測の場合に限定された。
  • 将来予測に対する自己関連情報の選択的想起の影響と時間的距離感による調整効果:就職活動場面を用いた質問紙実験(2)  [通常講演]
    日本社会心理学会第52回大会 2011年09月 ポスター発表 名古屋:名古屋大学大学院教育発達科学研究科 
    時間的距離感が遠い事象の予測は、想起された抽象的な自己概念の感情価に一致するが、近い事象の予測は、想起された自伝的記憶の感情価に一致する、という仮説を就職活動場面を用いて検証した。肯定的な自己関連情報を想起した場合、予測事象を時間的に遠く感じるほど、予測は楽観的になった。しかし、その効果は予測と異なり、特性か事例かによって調整されなかった。
  • 誠実性概念の活性化が将来予測に及ぼす影響と時間的距離による調整効果  [通常講演]
    日本心理学会第75回大会 2011年09月 ポスター発表 東京:日本大学 
    誠実性概念の活性化が将来予測に影響するか、その効果が時間的距離によって調整されるか検討した。誠実性概念活性化の操作を行い、資格取得の勉強に関する予測を求めた。その結果、誠実性概念を活性化させた参加者は、時間的よりが近い場合よりも遠い場合に真面目に勉強すると回答した。この結果は予測を指示する物であった。
  • 試験成績予測に活性化した自尊心と時間的距離が及ぼす影響  [通常講演]
    日本グループ・ダイナミックス学会第58回大会 2011年08月 ポスター発表 東京:昭和女子大学 
    試験成績予測に活性化した自尊心が影響するか、その効果が時間的距離によって調整されるかを検討した。講義を受講する大学生に対して、試験5週間前に、試験までの時間的距離を尋ねた上で、特性自尊心を活性化し、試験成績を予測させた。さらに、試験直後に成績予測をさせた。その結果、5週間前の成績に、時間的距離感ならびに活性化した自尊心は影響しなかったが、試験直後の成績には、時間的距離感×活性化×自尊心の交互作用効果が認められた。5週前に試験を遠く感じ、低自尊心を活性化した人において成績の下方修正が行われていた。
  • 時間的距離と自己概念の活性化が課題遂行予測に及ぼす影響  [通常講演]
    日本心理学会第74回大会 2010年09月 ポスター発表 大阪大学 
    活性化した自己概念が抽象情報として時間的距離が遠い事象の予測の楽観性に影響を及ぼすかどうかを検討した。自己評定により顕在的に自己概念を活性化した、もしくはさせない状態でレポート課題作成時間の予測を求めた。レポート提出時に実際の作成時間についてたずねた。その結果、時間的距離が遠い場合には活性化した自己概念に対応した楽観性を示し、近い場合には影響を及ぼさなかった。ただし、予測の正確性には違いが見られなかった。
  • 試験準備時間の予測と実際に活性化した自尊心と時間的距離感が及ぼす影響  [通常講演]
    日本社会心理学会第51回大会 2010年09月 ポスター発表 広島大学大学院教育学研究科 
    試験勉強にかける時間予測と実際のズレに活性化した自尊心が影響を及ぼすか検討した。さらに、自尊心活性化の影響が試験までの時間的距離感によって調整されるかもあわせて検討した。東京都内の大学生に、自尊心尺度の回答させる前もしくは後に試験勉強にかける時間を予測させた。試験当日に実際の勉強時間もたずねた。その結果、活性化した自尊心と時間的距離は予測には影響しなかった。その一方で、誘因価×活性化×時間的距離感の交互作用効果が実際の勉強時間に認められた。自尊心の抽象度ならびに自己確証動機の影響について考察した。
  • 将来予測に対する自己関連情報の選択的想起の影響と時間的距離感による調整効果:就職活動場面を用いた質問紙実験  [通常講演]
    日本グループ・ダイナミックス学会第57回大会 2010年08月 ポスター発表 東京国際大学第一キャンパス 
    自己関連情報を選択的に想起させることが将来予測にどのような影響を及ぼすか、時間的距離感によってこの影響が調整されるかを検討した。東京都内の大学生に対し、自己に関する肯定的もしくは否定的な特性もしくは事例を想起させた後に就職亜kつどうに間sる将来予測をさせた。その結果、選択的想起は近い将来に関する予測の楽観性に影響していた。しかし、予測と異なり、特性もしくは事例といった想起情報の違いによる将来予測の影響は時間的距離感で調整されなかった。手続き上の問題について議論した。

作品等

  • 有斐閣 現代心理学辞典
    有斐閣  その他  2021年02月
  • 社会心理学・再入門:ブレイクスルーを生んだ12の研究(ジョアンヌ・R・スミス, アレクサンダー・ハスラム 編)
    新曜社  その他  樋口匡貴・藤島喜嗣(監訳)  2017年09月  "Smith, J. R. & Haslam, S. A. (2012). Social Psychology: Revisiting the Classoc Studies. Sage."の翻訳。社会心理学の古典というべき12の研究が、どのような社会背景のもと立案、実施され、学界と社会にどのような影響を及ぼし、その後どのように批判、議論、発展したかを紹介した専門書。監訳と共に9, 10, 12章の翻訳を担当した。各章のタイトルは次の通り。第9章「集団間関係と葛藤:シェリフのサマーキャンプ実験・再入門」第10章【差別:タジフェルによる最小条件集団・再入門」第12章「緊急時の援助行動:ラタネとダーリーの傍観者研究・再入門」
  • 誠信心理学辞典 新版
    誠信書房  その他  2014年09月  心理学に関心を持つ一般人から専門家までを対象に、専門資格試験や大学院受験などを視野に入れた大項目主義の辞典である。社会に関する部分で社会的推論に関する大項目、小項目を担当した。
  • 社会心理学事典
    丸善  その他  2009年06月  社会心理学に関する中項目主義で作成された事典である。「社会的証明」に関する項を担当した。
  • McGarty, C., Yzerbyt, V. Y., & Spears, R. (編著) 国広陽子 (監修) 有馬明恵・山下玲子(監訳)『ステレオタイプとは何かー「固定観念」から「世界を理解する”説明力”」へー』
    社会心理学研究  その他  2008年02月  ヨーロッパを中心に活躍するステレオタイプ研究者が刊行した本を概観し、今後のステレオタイプ研究の方向性について考察した。自己カテゴリー化理論と社会的認知アプローチとの相違点について指摘し、両アプローチの統合を目指した研究のあり方について提言した。
  • 自分を知り、自分を変える:適応的無意識の心理学
    新曜社全344頁  その他  村田光二; 森津太子; 藤島喜嗣; 及川昌典; 高木彩; 田中知恵; 高田雅美; 樋口収  2005年05月  (全体概要)T. D. Wilson (2002) Strangers to Ourselvesの翻訳。内観によってアクセスできない心理領域である適応的無意識の存在を、実証研究の知見を交えて紹介し、その特徴と機能について説明した。精神分析で唱えられる無意識との相違を強調した、社会心理学における社会的認知分野を専門とする学生対象の教科書となっている。(担当部分概要) 第4章 89頁~120頁担当章では、パーソナリティにおける適応的無意識の側面と意識的にアクセス可能な側面の存在を指摘し、それぞれが自己認識ならびに社会的行動にどのような影響をもたらすのか、両側面の相互作用も考慮しつつ解説した。

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:基盤研究(B)(一般)
    研究期間 : 2019年04月 -2024年03月 
    代表者 : 平石界
     
    社会心理学の教科書に載るような知見の頑健性が疑われると同時に、その背景に「問題のある研究慣習」のあることが指摘されている。科学としての社会心理学の進展のために、それを支える「確実な知見」を確認する作業が必要である。本研究は、国内学会大会発表において蓄積されて来た情報のメタ分析を行う。更に必要性が認められたテーマについて追試を実施し、全てのデータを国内外に公開する。日本という独自の文化的背景を持つ母集団についての、公刊バイアスの影響の小さい、日本語圏外に閉じられてきた情報を、整理・分析・追試・公開することで、社会心理学の基盤の確認と再構築に向けた国際的な動きに、独自性のある貢献を果たす。
  • 日本学術振興会:挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 三浦麻子
     
    本研究計画は,心理学,特に社会心理学領域における,実験結果の再現可能性の検証を組織的に実施する世界規模の再現可能性検証プロジェクトに参画するために,日本における拠点を構築するものである.具体的には,(1)追試研究の実施の拠点となる研究者ネットワークを形成し,(2)標準化された刺激・手続きの日本語版を作成し,(3)手続きの共有と結果の蓄積・公開をインターネット上で実現する.実験結果の再現性は,心理学が科学たりえるための必須条件でありながら,現在,十分に保証されているとは言い難い.こうした現状に鑑み,本計画の実施により,心理学の科学性を保証する試みに日本人研究者が積極的に関与し,もって科学一般における心理学のプレゼンス向上に寄与することを目指す
  • 日本学術振興会:基盤研究(c)
    研究期間 : 2012年04月 -2015年03月 
    代表者 : 藤島 喜嗣
     
    心的距離と抽象的、具体的知識の接近可能性との対応関係を8の実証研究で検証した。その結果、抽象思考時に抽象的知識だけではなく具体的知識も活性化することが示された。同様に、具体思考時にも抽象的知識が活性化しうることも示された。また、知識の利用可能性と階層構造の有無に関わらず解釈レベル操作の効果が生じうることも示した。知識の接近可能性ではなく、適用可能性が解釈レベルの効果をもたらす可能性が示唆された。
  • 文部科学省:若手研究(B)
    研究期間 : 2009年04月 -2012年03月 
    代表者 : 藤島 喜嗣
     
    将来予測に対する自己知識の影響が時間的距離で調整されるかを10の実験で検証した。自己概念は遠い将来の予測に影響する一方で、自伝的記憶は近い将来の予測に影響した。これは、解釈レベル理論の妥当性を示しただけでなく、さらに制限条件を特定した。この制限条件の存在は、(1)異なる知識利用が解釈レベルの相違をもたらすこと、(2)将来予測が意識的過程であること、(3)自尊心の情報価が低いことを示唆した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2006年 -2009年 
    代表者 : 田中 知恵; 村田 光二; 藤島 喜嗣
     
    感情制御過程が社会的情報の処理に及ぼす影響について検討するため、5つの実験と1つの調査を実施した。その結果、(1)情報の受け手は処理対象から生じる感情を予期し、情報を処理することがネガティブ感情改善の方略であるとの期待感が高い場合、対象を精緻に処理すること、(2)この過程は自動的に始発すること、(3)ただし社会的制約の存在によってその自動性が制限される場合があることが示された。感情改善の働きを組み込んだ感情と情報処理モデルの可能性について考察した。
  • 文部科学省:若手研究(B)
    研究期間 : 2005年04月 -2007年03月 
    代表者 : 藤島 喜嗣
     
    平成18年度は、昨年度に引き続き、計画錯誤の生起過程に対する影響因として、予測時の気分状態、報酬遅延、自己概念活性化の3つをとりあげ検討した。仮説は、予測時の気分が肯定的であるほど、報酬遅延により動機づけが高まるほど、肯定的自己概念が活性化しているほど、実際よりも楽観的な予測を行うというものであった。また、計画錯誤の程度と後続の感情状態との関連を探索的に検討した。 研究3では、実験室実験を行った。報酬遅延の操作と気分状態の操作を行った上で、レポート課題の遂行スケジュールと作成時間に関する予測を行わせた。併せて、実際の遂行スケジュールと作成時間について尋ねた。その結果、遂行スケジュールにおいて報酬遅延の効果が認められ、報酬遅延が行われた条件では、予測を大幅に遅れる遂行を行っていた。他方、気分状態は作成時間予測に影響しており、肯定気分下では実際よりも作成時間を長く予測していた。これらの結果は、動機づけ状態が遂行に影響を及ぼす形で計画錯誤を生じさせうること、気分状態の影響は、具体的事象の予測では認められず、抽象的事象の予測に制限されることを示していた。 研究4では、自尊心の個人差を事前測定した上で、自己の肯定的側面、否定的側面を想起させる操作を行い、試験勉強場面における予測を求めた。併せて予測時の気分状態を測定した。約1ヶ月後、実際の試験勉強時間ならびに気分状態を測定した。その結果、自尊心の個人差にかかわらず、自己の肯定的側面を想起することで計画錯誤の激化効果が認められた。この効果は、予測時の気分状態により媒介されなかった。これらの結果は、自己概念の活性化が計画錯誤の激化に独自の影響を及ぼすことを示唆していた。 すべての研究を通じ、計画錯誤の程度と後続との感情状態との間には明確な関連は見いだされなかった。

委員歴

  • 2022年09月 - 2023年09月   日本社会心理学会   第64回大会大会準備委員会委員
  • 2021年04月 - 2023年03月   日本社会心理学会   広報委員
  • 2019年04月 - 2023年03月   日本社会心理学会   理事
  • 2019年04月 - 2021年03月   日本社会心理学会   常任理事・広報担当
  • 2017年04月 - 2019年03月   日本グループ・ダイナミックス学会   理事
  • 2015年04月 - 2017年03月   日本社会心理学会   常任理事・事務局担当
  • 2013年04月 - 2017年03月   日本社会心理学会   理事
  • 2013年08月 - 2015年03月   日本社会心理学会   新規事業委員会委員
  • 2013年04月 - 2015年03月   日本グループ・ダイナミックス学会   常任理事・事務局長
  • 2007年09月 - 2011年03月   日本社会心理学会   広報委員

その他のリンク

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