研究者総覧

伊藤 政博 (イトウ マサヒロ)

  • 生命科学部生物資源学科 教授
  • バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター 研究員
  • 生命科学研究科生命科学専攻 教授
Last Updated :2025/04/19

研究者情報

学位

  • 博士(工学)(東京工業大学)
  • 修士(工学)(東京工業大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 80297738

ORCID ID

Researcher ID

  • H-1960-2013

J-Global ID

プロフィール

  • 伊藤政博氏は、立教大学理学部化学科で学部課程を修了した後、1994年に東京工業大学大学院理工学研究科化学工学専攻で博士号を取得した。1994年から1997年まで、ニューヨークのマウントサイナイ医科大学の生化学科で研究員(ポストドクター)を務めた。1997年、伊藤教授は東洋大学生命科学部に常勤講師として着任した。 2002年国際極限環境微生物学会賞(若手ポスター賞)、2005年日本極限環境微生物学会奨励賞、2011年日本学術振興会賞(若手研究者研究貢献賞)受賞。2008年から2010年まで文部科学省プログラムオフィサー。2020年4月より「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた極限環境微生物の先端科学の社会実装」をテーマに立ち上げられたバイオレジリエンス研究プロジェクトのプログラムディレクターに就任。本プロジェクトは東洋大学2021年度重点研究プログラムに採択されている。また、本プロジェクトは、東洋大学2024年度重点研究プログラムに採択されて、現在、第2期のプロジェクト「極限環境微生物で循環型社会を実現し、生活環境を豊かに!~TOYO SDGsGlobal2024-2030-2037~」が進行している。彼は、Frontiers in Microbiology誌(Extremophiles, and Microbial Physiology and Metabolism sections)のAssociate Editor、Applied and Environmental Microbiology誌(ASM)とEngineering Microbiology誌(Elsevier)とExtremophiles誌(Springer)のEditorial Board member、Journal of Biochemistry誌の advisory board member を務めています。2023年より内閣府食品安全委員会専門委員に就任し、現在に至る。彼の研究プログラムは、極限環境微生物の基礎と応用に焦点を当てており、特に好アルカリ性微生物と好塩性微生物に重点を置いている。詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。 http://www2.toyo.ac.jp/~ito1107/research_en.html

研究キーワード

  • デイノコッカス・ラディオデュランス   放射線抵抗性細菌   バイオマスリファイナリー   バイオエタノール生産   Na^+/H^+アンチポーター   好アルカリ性細菌   アルカリハロバチルス・シュードファーマス   極限環境微生物   アルカリ性適応機構   pH ホメオスタシス   Na^+サイクル   イオンチャネル   プロトン駆動力   べん毛モーター   イオンチャンネル   ナトリウム駆動力   アルカリカチオン   

研究分野

  • 環境・農学 / 環境負荷低減技術、保全修復技術 / 高機能放射性抵抗性細菌
  • ライフサイエンス / 応用微生物学 / バイオリファイナリー
  • ライフサイエンス / 分子生物学 / 遺伝子工学
  • ライフサイエンス / 応用微生物学 / 極限環境微生物学
  • ライフサイエンス / 生物物理学 / 生体ナノマシン

経歴

  • 2021年04月 - 現在  東洋大学 バイオレジリエンス研究プロジェクト
  • 2009年04月 - 現在  東洋大学生命科学部教授
  • 2001年04月 - 2009年03月  東洋大学生命科学部生命科学科助教授(准教授)
  • 1997年04月 - 2001年03月  東洋大学生命科学部生命科学科講師
  • 1994年04月 - 1997年03月  マウントサイナイ医科大学生化学部博士研究員

学歴

  • 1989年04月 - 1994年03月   東京工業大学   大学院理工学研究科   化学工学専攻

所属学協会

  • 日本ゲノム微生物学会   日本農芸化学会   極限環境生物学会   国際極限環境微生物学会   アメリカ微生物学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • Arora, Naveen Kumar; Agnihotri, Shekhar; Mishra, Jitendra; 伊藤, 政博; 鳴海, 一成; 道久, 則之 エヌ・ティー・エス 2024年06月 ISBN: 9784860439026 4, 8, 419, 8p
  • 伊藤, 政博; 鳴海, 一成; 道久, 則之 エヌ・ティー・エス 2023年12月 ISBN: 9784860438487 3, 12, 469, 12p
  • 中村, 聡; 中島, 春紫; 伊藤, 政博; 道久, 則之; 八波, 利恵 講談社 2019年 ISBN: 9784065135990 x, 213p
  • CSJカレントレビュー26 分子マシンの科学
    伊藤 政博 (担当:共著範囲:第6章 従来とは異なる駆動力で回転するバクテリアべん毛モーター)化学同人 2017年08月
  • 伊藤, 政博; 道久, 則之; 鳴海, 一成; 東端, 啓貴; 為我井, 秀行; 國枝, 武和; 伊藤, 隆; 佐藤, 孝子(理学博士); 中村, 聡 (担当:共著範囲:1章、4章、5章)コロナ社 2014年11月 ISBN: 9784339067477 vii, 220p 
    極限環境生命(Extremophiles)は,近年,その産業への応用が注目を集めている。本書は,好熱性,好冷性,好アルカリ性,好酸性,好塩性,好圧性,乾燥耐性など,極限環境に生息する,おもに微生物について解説した。
  • 掘越 弘毅; 井上 明 オーム社 2006年12月 ISBN: 4274203212 328

講演・口頭発表等

  • 二重管ノズルを用いた高濃度セシウム耐性大腸菌反転膜包埋アルギン酸ゲルを用いたセシウム回収技術の構築  [通常講演]
    小嶋 大喜; 石田 義基; 伊藤 政博
    第24回極限環境生物学会年会 2024年08月 ポスター発表
  • 「 SDGsに貢献する極限環境微生物の先端科学」シンポジウム開催にあたって  [招待講演]
    伊藤 政博
    日本農芸化学会2024年度大会シンポジウム 2024年03月 シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
  • リボソーム安定性によるセシウム耐性:大腸菌ZX-1株のケーススタディ  [通常講演]
    小嶋 大喜; 黒崎綾音; 伊藤政博
    日本農芸化学会2024年度大会 2024年03月 口頭発表(一般)
  • Mg2+ 添加による細菌のセシウム耐性を改善する生理学的重要性とその役割の解明  [通常講演]
    伊藤 政博; 石田 義基; Chongkai Zhang; 佐藤 勝也
    第24回極限環境生物学会年会 2023年08月 口頭発表(一般)
  • Microbacterium sp. TS-1由来のCs+/H+アンチポーターCshAを発現させた大腸菌から取得した高濃度Cs+耐性菌の機能解明  [通常講演]
    伊藤政博; XIONG ZHIYU; 石田義基
    第48回日本生体エネルギー研究会 2022年12月 口頭発表(一般)
  • 極限環境微生物の先端科学をSDGs達成のために社会実装する研究  [招待講演]
    伊藤 政博
    第23回極限環境生物学会年会 2022年11月 口頭発表(招待・特別)
  • 極限環境微生物の先端科学(向上門)をSDGs達成のために社会実装(向下門)する研究  [招待講演]
    伊藤 政博
    第70回日本放線菌学会学術講演会 2022年11月 口頭発表(招待・特別)
  • 極限環境微生物の先端科学をSDGs達成のために社会実装する研究  [招待講演]
    伊藤 政博
    第20回微生物研究会 2022年10月 口頭発表(招待・特別)
  • Cs+ tolerance mechanisms of high-concentration Cs+ tolerance bacterium alkaliphilic Microbacterium sp. TS-1  [通常講演]
    Ito M; Ishida Y; Koretsune T; Sato K
    第13回国際極限環境微生物会議 2022年09月 口頭発表(一般)
  • Alkaline pH adaptation mechanism and current applied research of alkaliphilic bacteria  [招待講演]
    Masahiro Ito
    Seminar at Rensselaer Polytechnic Institute 2021年12月 その他
  • 好アルカリ性細菌研究から派生した創薬研究と環境浄化研究への取り組み  [招待講演]
    伊藤政博
    創発セミナー、大隅基礎科学創成財団 2019年10月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • Purification and functional reconstitution of the multi-subunit type Na+/H+ antiporter Mrp from thermophilic Anoxybacillus flavithermus WK1.  [通常講演]
    Masahiro Ito
    Thermophiles2019 2019年09月 ポスター発表
  • Up-motility phenotype of Methylobacterium sp. ME121 in co-cultivation with Kaistia sp. 32K  [通常講演]
    Y. Usui; Y. Wakabayashi; 〇M. Ito
    The 16th international symposium on Bioscience and Nanotechnology 2018年12月 ポスター発表
  • サーマス・サーモフィルス発見・ 好アルカリ性細菌再発見50周年記念セッション「極限環境生物の未来に向けて ~故・掘越弘毅先生による 好アルカリ性細菌再発見から50周年を記念して~」  [招待講演]
    伊藤政博
    第19回極限環境生物学会年会 2018年12月 口頭発表(招待・特別)
  • 好アルカリ性Bacillus属細菌の細胞表層の重要な役割と従来とは異なるカチオン駆動力を利用するべん毛モーターについて  [招待講演]
    伊藤政博
    金沢大学理工研究域公開セミナー/NanoLSI異分野融合研究会 2017年12月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等
  • The Mrp-type cation/proton antiporter with major functions is broadly distributed in bacteria and archaea  [招待講演]
    Masahiro Ito
    Seminar at The Institute of Science and Technology Austria (IST Austria) 2017年11月
  • Nonconventional cation-coupled flagellar motors derived from the alkaliphilic Bacillus and Paenibacillus species.  [招待講演]
    伊藤政博
    International Symposium on "Harmonized supramolecular motility machinery and its diversity 2017年09月
  • Elucidation of ion selectivity and identification of ion transport subunits in the multi-subunit Mrp-type Na+/H+ antiporter.  [招待講演]
    Masahiro Ito
    9th ASME (Asian Symposium on Microbial Ecology) 2017年04月 口頭発表(招待・特別)
  • Characterization of SLH-type cell surface layer proteins and its application in alkaliphilic Bacillus pseudofirmus OF4  [招待講演]
    Masahiro Ito
    1st International Conference on Applied Microbiology in Vietnam 2016年12月 口頭発表(招待・特別)
  • In memoriam: Prof. Koki Horikoshi (1932-2016)  [招待講演]
    Masahiro Ito
    The 14th international symposium on Bioscience and Nanotechnology 2016年11月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • The elucidation of the mechanisms of coupling ion selectivity of alkaliphilic bacterial flagellar motors  [招待講演]
    Masahiro Ito
    Extremophiles 2016 2016年09月 口頭発表(招待・特別)
  • Motility in Neutralophilic and alkaliphilic Bacillus  [招待講演]
    Masahiro Ito
    第89回日本細菌学会総会、シンポジウムS3「細菌の運動」 2016年03月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • The discovery of a novel divalent cation-driven bacterial flagellar motor  [招待講演]
    Masahiro Ito
    Gordon Research Conference on Sensory Transduction in Microorganisms 2016年01月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • Physiology and motility of alkaliphilic Bacillus  [招待講演]
    Masahiro Ito
    The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem) 2015 2015年12月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • 細菌べん毛モーターのイオン選択透過機構を探る  [招待講演]
    伊藤政博
    分子研研究会「膜タンパク質内部のプロトン透過を考える」 2015年04月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)

MISC

産業財産権

  • 特願2024-155447:好アルカリ性細菌による醤油諸味粕の培地利用および減量化  2024年09月10日
    伊藤政博  学校法人東洋大学
  • 特許7593608:Na+/H+アンチポーターの特異的阻害剤スクリーニング方法  
    伊藤政博  学校法人東洋大学
  • 特開2021-036860:微生物のイオン耐性を向上させるための添加剤組成物および方法  2021年03月11日
    伊藤政博  学校法人東洋大学
  • 特開2020-83809(P2020-83809A):セシウム輸送膜タンパク質を含む組成物  2020年06月04日
    伊藤政博  学校法人東洋大学

受賞

  • 2023年08月 日本農芸化学会関東支部 日本農芸化学会関東支部2023年度大会優秀ポスター賞
     大腸菌のCs耐性株ZX-1株のCs耐性機構の解析 
    受賞者: 小嶋 大喜;田中 俊輔;伊藤 政博
  • 2019年09月 日本農芸化学会関東支部 優秀発表賞(ポスター発表部門)
     高濃度セシウム耐性菌Microbacterium sp. TS-1株の新規セシウム耐性機構の同定 
    受賞者: 是恒貴宏;石内絵梨;手島美結;石田義基;伊藤政博
  • 2018年12月 極限環境生物学会 極限環境生物学会年会・優秀ポスター賞
     好アルカリ性細菌Microbacterium sp. TS-1株の高濃度セシウム耐性機構の解明 
    受賞者: 是恒 貴宏;伊藤 政博
  • 2016年12月 第1回応用微生物学国際会議 in ベトナム 優秀ポスター賞(1位)
     Elucidation ion selectivity and identification of ion transport subunits in the Mrp type antiporter 
    受賞者: 松井 光恵;伊藤 政博
  • 2015年11月 第16回極限環境微生物学会大会 年会ポスター賞
     Bacillus trypoxylicolaが持つ新規べん毛モーター固定子遺伝子の同定と機能解析 
    受賞者: 今澤 陸;長縄 俊;伊藤 政博
  • 2014年12月 第15回極限環境微生物学会大会 年会ポスター賞
     枯草菌と好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmus OF4のNa+駆動型固定子MotPSの中性環境におけるNa+親和性の差異の解明 
    受賞者: 高橋 優嘉;野口 有希奈;伊藤 政博
  • 2014年11月 第15回極限環境微生物学会年会 年会ポスター賞
     Methylobacterium sp. 121株の運動性に影響を与える因子の探求 
    受賞者: 若林 佑;清水 哲;中村 顕;伊藤 政博
  • 2014年09月 国際極限環境微生物会議 2014 ISE Young Scientist Poster Award
     The clarification of the differences between alkaliphilic and neutralophilic Bacillus influx control of Na+ near neutral pH in the Na+-driven flagellar motor stator MotPS 
    受賞者: 高橋 優嘉;野口 有希奈;伊藤 政博
  • 2013年03月 ブルーアース 2013 (海洋研究開発機構) 若手奨励賞(ポスター発表)
     東北地方太平洋沖地震発生から 3 ヶ 月後と 17 ヶ 月後の 震源域( 日本海溝) 底泥における微生物学的多様性の解析結果 
    受賞者: 木下 紗弓;伊藤 政博;関口 峻允;座間 千夏;榎 牧子;宮本 教生;渡部 裕美;藤倉 克則;加藤 千明
  • 2012年11月 日本農芸化学会関東支部2012年度大会 年会ポスター賞
     2種類の共役イオンが利用できるハイブリット型生物モーターの回転機構の解明 
    受賞者: 高橋 優嘉;伊藤 政博
  • 2012年06月 東洋大学 井上円了賞
     ハイブリッド型細菌べん毛モータに関する研究 
    受賞者: 伊藤 政博
  • 2011年11月 第12回極限環境微生物学会年会 年会ポスター賞
     好アルカリ性細菌Bacillus alcalophilusのべん毛は、カリウムイオンを利用できる新奇なハイブリッドモーターである 
    受賞者: 佐野 元彦;寺原 直矢;伊藤 政博
  • 2011年10月 日本農芸化学会関東支部2011年度大会 ポスター賞
     好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmus OF4株の中性環境での運動性低下に関与するべん毛モーター固定子中のアミノ酸残基の同定 
    受賞者: 野口 有希奈;伊藤 政博
  • 2011年03月 日本学術振興会 第7回日本学術振興会賞 (生物系)
     Properties of Bacterial Flagellar Motor Powered by Hybrid Stators 
    受賞者: 伊藤 政博
  • 2009年11月 第10回極限環境微生物学会大会 年会ポスター賞
     好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmus OF4株がもつマルチサブユニット型Na+/H+ アンチポーターMrpの網羅的な機能アミノ酸残基の同定 
    受賞者: 守野正人;夏井信介;小野友裕;Talia H. Swrtz;Terry A.Krulwich;伊藤政博
  • 2009年10月 第10回極限環境微生物学会大会 年会ポスター賞
     枯草菌が持つべん毛モーター固定子 MotAB, MotPS の 回転機構に重要なアミノ酸残基の同定と解析 
    受賞者: 高橋 優嘉;寺原 直矢;小泉 幸代;伊藤 政博
  • 2008年11月 第9回極限環境微生物学会年会 年会ポスター賞
     好アルカリ性細菌Bacillus clausiiのMotABから見えてきた べん毛モーター固定子のイオン選択性に重要なアミノ酸残基 
    受賞者: 寺原 直矢;Terry Ann Krulwich;伊藤 政博
  • 2008年06月 第3回トランスポーター研究会 優秀演題賞(口頭発表)
     好アルカリ性細菌Bacillus clausiiのべん毛モーター固定子MotABは共役イオンとして2種類のイオンを利用することができる 
    受賞者: 寺原 直矢;伊藤 政博
  • 2007年11月 日本農芸化学会関東支部2007年度大会 若手奨励賞(口頭発表部門)
     枯草菌のべん毛モーターは2種類のエネルギーを利用できるハイブリッドモーター 
    受賞者: 寺原 直矢;伊藤 政博
  • 2007年11月 第8回極限環境微生物学会年会 年会ポスター賞
     蛍光タンパク質を用いた好アルカリ性細菌 Bacillus pseudofirmus OF4 株の電位駆動型Naチャネルの可視化 
    受賞者: 藤浪 俊;伊藤 政博
  • 2005年11月 極限環境微生物学会 極限環境微生物学会研究奨励賞
     
    受賞者: 伊藤 政博
  • 2004年11月 第5回極限環境微生物学会年会 年会ポスター賞
     好アルカリ性細菌Bacillus halodurans C-125株の細胞形態形に関する研究 
    受賞者: 藤浪 俊;伊藤 政博
  • 2002年09月 国際極限環境微生物学会 ISE Award
     
    受賞者: 伊藤 政博

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • アルギン酸ゲル包埋反転膜小胞によるセシウム・ストロンチウム除去技術の開発
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2025年04月 -2028年03月 
    代表者 : 伊藤 政博
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    MrpタイプのNa+/H+対向輸送体は、多くの細菌や古細菌に遍在している。 黄色ブドウ球菌由来のMrpのNa+輸送経路に特異的な阻害剤を探すために、約11,000の小分子化合物ライブラリーを利用した。 目的は阻害剤を探し、その作用機序を解明することでした。 阻害剤候補化合物の再現性実験を行い、阻害化合物の候補を幾つか確認しました。 次に、Mrpを発現する大腸菌から反転膜を作製し、候補化合物の存在又は非存在下でのNa+/H+対向輸送活性を蛍光消光法で測定した。 問題点は、候補化合物の自家蛍光が色素の蛍光測定に干渉することがあった。 今後の課題は、二次スクリーニングの測定系を改善することです。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    本研究ではMrp型Na+/H+アンチポーターのイオン輸送経路を解明することを目的とした。近年、この酵素の相同タンパク質の中にNa+やK+以外にもCa2+を輸送するものが報告された。そこで、輸送するイオンの異なる3種類のMrpホモログを利用することにより、本研究の目的の解明を試みた。成果として、本酵素の共役カチオン輸送経路が2つのサブユニット間の境界面であるMrpAの5番目の膜貫通領域とMrpDの12番目の膜貫通領域で形成されていることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2012年06月 -2017年03月 
    代表者 : 宮田 真人; 本間 道夫; 加藤 貴之; 伊藤 政博; 中山 浩次; 西坂 崇之; 福森 義宏; 森 博幸; 上田 太郎; 小嶋 誠司; 片山 栄作; 古寺 哲幸; 田岡 東; 川上 勝; 神山 勉; 石渡 信一; 北 潔; 笹川 千尋; 難波 啓一
     
    新学術領域「運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性」は各段階にある,‘運動超分子マシナリー研究’を推進し,最終的には原子レベルで解明することを目的としている.本領域の総括班は,「新学術領域」という研究費カテゴリーの存在意義を真摯に受けとめ,他の研究費では得られないシナジー効果を領域全体に与えることを目的とし,個々の研究班では対応しにくい活動,すなわち,(1) 議論の活性化,(2) 領域の発展に必要な技術の開発と提供,(3) アウトリーチ活動,を行なった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
    研究期間 : 2012年06月 -2017年03月 
    代表者 : 伊藤 政博; 今田 勝巳; 高橋 優嘉; 曽和 義幸; 藤浪 俊; 田口 温子; 山本 まみ; 寺原 直矢; 野口 有希奈; 佐野 元彦; 今澤 陸; 若林 佑; 長縄 俊; 薄井 祥明
     
    多くの細菌は、運動器官であるべん毛を利用して環境中を移動する。これまで、べん毛運動はH+やNa+などのイオン駆動力によって駆動することが知られていた。 本研究で、世界で初めてCa2+やMg2+などの二価陽イオンで駆動するべん毛モーターの単離に成功した。 この他に、好アルカリ性バチルス属細菌由来の従来型とは異なるカチオンを利用するべん毛モーターの解析を行った。これらのべん毛モーターと従来のモーターとの間のイオン選択性の差異は、分子生物学的手法を用いて詳しく解明された。 本研究の結果より、駆動エネルギーを選択的に利用できる人工ナノマシンや分子スイッチの開発が期待されている。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2009年 -2012年 
    代表者 : 伊藤 政博; 寺原 直矢; 今田 勝巳
     
    枯草菌のべん毛モーターの一分子解析によるトルクを算出し、このモーターがH+型固定子MotABとNa+型固定子MotPSからなるハイブリッドモーターであることを明らかにした。また、枯草菌の固定子MotAB、MotPSの3番目と4番目の膜貫通領域の間にある親水性領域に存在する複数の荷電アミノ酸残基からモーターの回転と固定子複合体の安定性に重要なアミノ酸残基を同定した。更に、好アルカリ性細菌Bacillus alcalophilusのべん毛が、これまで報告例のないカリウムイオンで駆動する新規なモーターであることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2005年 -2007年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    本研究では、好アルカリ性細菌Bacillus pseudofirmus OF4株のべん毛形成と運動特性の解析、電位駆動型Naチャネル欠損によって生じる走化性異常の分子機構の解明を目的とした。この機構を解明することで、好アルカリ性細菌のNa^+サイクルと走化性の関係が明らかになるのではないかと期待された。まず、OF4株のべん毛形成と運動特性の解析を行った。同時に以前に取得した軟寒天培地上での運動性向上株と野生株とのさまざまな条件での運動性の比較を行った。次に、これらの結果を基にOF4株の電位駆動型Naチャネル欠損によって生じる走化性の異常がどのような分子機構よって起こるのか解明することを目的とした。 OF4株の中性環境での運動性が低下する理由は、べん毛の発現が抑制されるからではなく、中性環境下ではNa^+駆動型のべん毛モーターがH^+により競合阻害を受けているという可能性や、中性環境下における電気化学的ポテンシャル.の低さが影響している可能性が考えられた。一般に、pH7付近まで生育が可能な好アルカリ性細菌は、生育においてアルカリ性よりも中性環境下でより多くのNa^+を要求する性質があり、べん毛モーターにもこれが当てはまるのではないかと示唆された。運動性向上株の高粘性液体培地やアルカリ性軟寒天培地上での運動性の向上には、べん毛の本数の増加による複数のべん毛が束になった構造(バンドル構造)を形成したことが起因していると考えられた。また、Na_vBPとMcpXが細胞の極で共局在していること、Na_vBP欠損株の走化性異常はMcpXの脱局在化が寄与している可能性が示唆された。桿菌においてMCPは細胞の極に局在化することが知られているが、膜電位駆動型チャネルが極に局在しているという報告例はこれまでになく、新規性の高い発見である。微生物の電位駆動型イオンチャネルは、哺乳類のイオンチャネルの構造解析に役立っており、この結果は好アルカリ性細菌の研究だけでなく、イオンチャネルの研究においても役立つことが期待される。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2004年 -2004年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    枯草菌のホメオスタシスに関与するアルカリカチオン輸送系の研究は、全ゲノムが明らかになったことがきっかけとなり解明が進んでいる。枯草菌では、Na^+またはK^+を細胞内のpH調節、物質輸送の共役イオン、膨圧の維持などに利用する。枯草菌のホメオスタシスに関わるアルカリカチオン輸送系タンパク質の生理的機能を解明し、その制御機構を明らかにすることは、ポストゲノム研究における基軸微生物である枯草菌細胞の環境適応戦略機構の体系的な理解に貢献することが期待された。データベースを調べると枯草菌には、アルカリカチオン輸送系に関与することが推定される機能未同定タンパク質が複数存在する。本研究では、アルカリカチオン輸送系に関与する機能未同定タンパク質の機能解明から関連する他のタンパク質との発現制御や環境適応戦略としての相互関係についての解明を行い、枯草菌におけるアルカリカチオンの循環機構を体系的に解明することを目的としている。平成16年度は、各候補遺伝子の多重欠損株や各種ストレス環境での各候補遺伝子のpMutin破壊株を用い、各遺伝子の発現パターンの変化を複数の実験方法を用いて詳しく調べた。生理機能解明を始めている機能未同定遺伝子のうち以下の知見を得た。(1)YvgPが、Na^+、Li^+、K^+、Rb^+を基質とするH^+とのアンチポーター活性を持つこと。YvgPが常に発現していること。(2)YjbQは、低K^+環境ではK^+の取り込みに、高K^+環境ではK^+の排出に関与すること。(3)YfkEは、Ca^<2+>/H^+アンチポーターとして機能し、SigBとSigG依存であること。おそらく、YfkEの生理的役割は、細胞内のCa^<2+>ホメオスタシスにかかわることがわかってきた。(4)枯草菌の鞭毛モーター固定子としてNa^+チャンネルとして働くMotPSを同定し、枯草菌でもH^+駆動力以外にNa^+駆動力で鞭毛を回転させることを明らかにした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    好アルカリ性BaCillus pseudofirmus OF4の新規複合体型Na^+/H^+アンチポーターMrpの生理的機能を明らかにするため、平成16年度は、以下のような実験を行ない、有用な結果を得た。 まず、はじめにMrpシステムは二次能動輸送系のNa^+/H^+アンチポートを触媒し、さらに一次能動輸送モードを持っていると仮定されていた。この仮定は、大腸菌の呼吸鎖欠損変異株を用いた非発酵条件での生育でMrpに依存した相補が観察されたことが理由の一つであった。しかし、この相補には、大腸菌由来のリンゴ酸キノン酸化還元酵素の増加が関係し、Mrpの触媒活性ではないことを明らかにした。 また、Mrpシステムの各サブユニットそれぞれのHis-tag融合タンパク質の発現、精製およびHis-tag抗体を用いたウエスタンブロットによる検出に成功した。また、各Mrpサブユニットに対するポリクローナル抗体を作製し、その検出を試みた。その結果、MrpEとMrpGに対するポリクローナル抗体以外の抗体を用いた場合は、各His-tag融合タンパク質をHis-tag抗体と同様にウエスタンブロットで検出することができた。検出できなかったMrpGに関しては、7つのサブユニットを同時に発現させる場合、His-tagやS-tagを付加して、発現させるので、複合体精製の実験でのウエスタンブロットでの検出に問題が生じなかったが、MrpEに関しては、現在、再度新しいポリクローナル抗体を作製中である。 Mrp複合体の精製は、現在までに成功していないが、各サブユニットの一部にtagを付加し、活性に影響を与えないことを確認した発現プラスミドを構築したので、これを用いて大量精製をおこなう予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    枯草菌のホメオスタシスに関与するアルカリカチオン輸送系の研究は、全ゲノムが明らかになったことがきっかけとなり解明が進んでいる。大腸菌などのグラム陰性菌と枯草菌とでは、細胞のホメオスタシスに関わるアルカリカチオンの循環機構に関与する既知遺伝子同士に相同性は見られない。よって枯草菌においては、新規な機構の発見が期待される。枯草菌のデータベースを調べると少なくともあと6つのNa^+の排出に関わる候補と4つのK^+の取り込みに関与する候補と2つのK^+の排出に関与する候補が存在する。本研究では、これらの機能未同定タンパク質の機能を明らかにすることにより、ポストゲノム研究における基軸生物として位置づけられている枯草菌のアルカリカチオン循環機構の全貌を解明することを目的とする。2003年度の成果としては、生理機能解明を始めている機能未同定遺伝子のうち以下の知見を得た。 1.Na^+/H^+アンチポーターと相同性のあるyhaUを含むyhaSTUオペロンが、高アルカリ性pHや高塩濃度で転写が促進されること。 2.YhaUによるK^+排出は、同じオペロンにコードされたYhaSのC-末端側とYhaTによって調節されること。 3.KtrA-KtrBが高親和性のK^+取込み機構であり、KtrC-KtrDが低親和性のK^+取込み機構として働くこと。 4.これら2種類のK+取り込み系を欠損した変異株は、低K^+濃度でも生育が可能なことからこれら以外にK+取り込みを行うシステムが存在することが示唆された。 5.YvgPが、アルカリ性に至適pHを持つNa^+/H^+アンチポーターであること。 6.新たにyrvCDオペロンの遺伝子産物がK^+取り込みに関与すること。 7.YfkEは、Ca^<2+>/H^+アンチポーターとして機能し、Na^+/H^+アンチポーター活性を持たないこと。 8.yfkEDオペロンは、SigBおよびSigG依存であること。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2002年 -2002年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    枯草菌のホメオスタシスに関与するアルカリカチオン輸送系の研究は、全ゲノムが明らかになったことがきっかけとなり解明が進んでいる。大腸菌などのグラム陰性菌と枯草菌とでは、細胞のホメオスタシスに関わるアルカリカチオンの循環機構に関与する既知遺伝子同士に相同性は見られない。よって枯草菌においては、新規な機構の発見が期待される。枯草菌のデータベースを調べると少なくともあと7つのNa^+の排出に関わる候補と4つのK^+の取り込みに関与する候補と2つのK^+の排出に関与する候補が存在する。本研究では、これらの機能未同定タンパク質の機能を明らかにすることにより、枯草菌におけるアルカリカチオンの循環機構の全貌を解明することを目的としている。2002年度の成果としては、生理機能解明を始めている機能未同定遺伝子のうち以下の知見を得た。 1、Na^+/H^+アンチポーターと相同性のあるyhaUが、高アルカリ性pHや高塩濃度で転写が促進されること。 2、YhaUによるK^+輸送は、同じオペロンにコードされたYhaSとYhaTによって調節されること。 3、YuaA-YubGが高親和性のK^+取込み機構であり、YkrM-YkqBが低親和性のK^+取込み機構として働くこと。 4、YvgPが、Na^+/H^+アンチポーター活性を持つこと。 5、yjbQ欠損株は、定常期後期で溶菌すること。 6、YybF、YhcAは、Na^+とK^+の輸送に直接的には、関わらないこと。 7、YfkEは、Ca2^+/H^+アンチポーターとして機能し、Na^+/H^+アンチポーター活性を持たないこと。 8、yfkEDオペロンは、SigG依存であること。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究(C)
    研究期間 : 2001年 -2001年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    枯草菌のホメオスタシスにおけるアルカリカチオン輸送系の役割を明らかにするため、平成13年度は、以下のような実験を行ない、有用な結果を得た。まず、枯草菌のゲノムデータベース上からアルカリカチオン輸送系に関わる機能未同定タンパク質を検索し、7つのNa^+の排出に関わる候補と4つのK^+の排出に関わる候補と2つのK^+の取り込みに関わる候補が存在することを明らかにし、遺伝子のクローニングを行うこととそれらの欠損変異株の構築および取得を行った。そして、一部の遺伝子のクローニングを残してはいるが、ほぼこの目的を達成した。これらは、平成14年度以降に本格化する各遺伝子の生理的機能解明や枯草菌細胞内でのそれぞれの遺伝子産物の役割を網羅的に解析するための実験材料として利用する予定でいる。また、クローニングが完了した候補遺伝子を、塩基配列を確認後、順次、大腸菌や枯草菌のNa^+/H^+アンチポーターやK^+の取り込みと排出に関与する遺伝子を欠損した変異株への形質転換を行い、相補実験を行っている。そして、これまでに以下のような新たな知見を得た。(1)Na^+/H^+アンチポーターと相同性のあるYhaUがK^+を排出すること。(2)YhaUのK^+排出は、同じオペロンにコードされたYhaSとYhaTによって抑制されること。(3)YuaA、YubG、YkrM、YkqBが枯草菌における主要なK^+取り込み系であること。今後、クローニングした残りの遺伝子に関しても生理学的及び遺伝子工学的アプローチを行い、機能解明を進める予定でいる。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    好アルカリ性Bacillus pseudofirmus OF4の新規複合体型Na^+/H^+アンチポーターMrpの生理的機能を明らかにするため、平成13年度は、以下のような実験を行ない、有用な結果を得た。 まず、平成12年度にMrpが膜電位に依存した二次輸送系としてばかりではなく一次輸送系としても機能しうることが示唆されたことを踏まえて、次のような実験を行った。7つのサブユニットからなるMrpの各サブユニットの役割を明らかにする第一歩としてMrpAとMrpCの部位特異的変異プラスミドを構築した。これらの変異プラスミドをNa^+/H^+アンチポーターや呼吸鎖の一部を欠損した大腸菌変異株に形質転換し、相補実験を行った。実験の結果、MrpAでは一次輸送系と二次輸送系の両方の機能の同時に喪失することが明らかになった。これからMrpAは、これらの機能に必要不可欠であることが示唆された。次にMrpCでは二次輸送系で機能するNa^+/H^+アンチポーター活性は保持するが、膜電位を消失させてしまうと一次輸送系として機能する細胞内Na^+濃度の維持機能を喪失するが明らかになった。これからMrpCは、一次輸送系の機能に関わる重要なサブユニットであることが示唆された。今後、同様の実験系で他のサブユニットの役割についても明らかにする予定でいる。 次に、平成12年度にOF4株にとってmrpオペロンを欠損することが致死的であることが示唆され、今年度は、染色体上のMrpオペロンのプロモーターをP_プロモーターに改変し、条件致死変異株の構築を試みたが、成功しなかった。この理由としては、実験に使用した温度感受性プラスミドの温度感受性が喪失してプラスミドの除去がうまくいかなかったことなどが考えられる。今後、他のアプローチによりMrp変異株の構築を検討中である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 奨励研究(A)
    研究期間 : 1998年 -1999年 
    代表者 : 伊藤 政博
     
    昨年度までにNa^+イオンの排出や細胞内pHホメオスタシスに関与する遺伝子群mrpオペロンを好アルカリ性Bacillus firmus OF4株からクローニングすることに成功した。本遺伝子群の全塩基配列は、GenBankに登録した(アクセス番号:AF097740)。本年度は、OF4株の全mrpオペロンを含む遺伝子断片をベクターpMW118に連結し、主要なNa^+/H^+アンチポーターを欠損している大腸菌Knabc株に形質転換し生理的機能解析を試みた。形質転換株は、Knabc株が生育できない0.2M-NaCl濃度以上の培地で良好に生育した。また、形質転換株から調製した反転膜小胞を用いた実験より、本遺伝子にコードされているタンパク質が、Na^+/H^+アンチポーター活性を持つことを明らかにした。遺伝子の一部をプラスミド上で欠失させるとNa^+/H^+アンチポーター活性が消失し、Knabs株の欠損を相補できなくなった。このことから、本遺伝子群のNa^+/H^+アンチポーター活性には、少なくとも7つすべての遺伝子産物が関与していることが明らかになった。しかし、7つの遺伝子産物すべてで大きな複合体を形成してNa^+/H^+アンチポーターとして機能しているのか、一部はシャペロンや複合体の安定性に関与するだけなのかは現在のところ不明である。今後、本遺伝子産物の精製を試みることによりこのことが明らかになることが期待される。別のアプローチとして相同的組み換え技術を用いて染色体上のmrpオペロンの欠失を試みた。しかし、この遺伝子群の欠失変異株を取得することは全く出来なかった。同様の実験を枯草菌で行った場合、欠失変異株が容易に取得できた。このことは、枯草菌が、Na^+とK^+どちらかのカチオンを用いて生育を維持できるのに対し、好アルカリ性細菌Bacillus firmus OF4株は、生育にNa^+を必須とし、おそらく菌のNa^+サイクルの主要な役割を果たしているため、mrpオペロンの欠損が菌にとって致死的な変異になるためと考えられた。

委員歴

  • 2025年03月 - 現在   Extremophiles誌   Editorial Board Member
  • 2024年04月 - 現在   極限環境生物学会   副会長
  • 2023年12月 - 現在   Engineering Microbiology誌、Editorial Board Member
  • 2023年10月 - 現在   内閣府 食品安全委員会 遺伝子組換え食品等専門調査会   専門委員
  • 2017年02月 - 現在   Frontier in Microbiology誌   Associate Editor
  • 2016年01月 - 現在   Journal of Biochemistry誌   Advisory Board Member
  • 2015年01月 - 現在   Applied and Environmental Microbiology誌   Editorial Board Member
  • 2013年04月 - 2020年03月   東洋大学   学術研究推進センター 副センター長
  • 2013年01月 - 2020年03月   極限環境生物学会   庶務担当幹事
  • 2015年04月 - 2017年03月   東洋大学大学院生命科学研究科生命科学専攻   専攻長
  • 2008年08月 - 2010年07月   文部科学省研究振興局   学術調査官(生物系・非常勤)

担当経験のある科目

  • 生命科学史
    東洋大学生命科学部
  • 極限環境生命科学
    東洋大学生命科学部
  • 極限環境微生物学
    東洋大学生命科学部
  • 分子進化学
    東洋大学生命科学部
  • 微生物生理学
    東洋大学生命科学部

その他のリンク

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