研究者総覧

石川 菜央 (イシカワ ナオ)

  • 社会学部社会学科 准教授
Last Updated :2025/05/16

研究者情報

学位

  • 博士(環境学)(名古屋大学)

科研費研究者番号

  • 70456698

J-Global ID

研究分野

  • 人文・社会 / 地理学

所属学協会

  • 日本地理学会   

研究活動情報

論文

書籍

講演・口頭発表等

  • 石川 菜央; 岡橋 秀典; 陳 林
    日本地理学会発表要旨集 2016年 公益社団法人 日本地理学会
     
    発表者らは,広島大学大学院の分野融合型リーディングプログラム「たおやかで平和な共生社会創生プログラム」(以下,「たおやかプログラム」と示す)において,現地研修の企画,実施を担当してきた.発表者の3人は,ともに地理学を学問的バックグラウンドとして持っている.本発表では,地理学で培われた地域への視点や調査法が,分野融合型教育における現地研修にどのように貢献し,そして実施後にいかなる課題が見えてきたのかを指摘することを目的とする.<br> 近年,環境問題や地域の活性化など,国内外の現代社会を取り巻く課題の糸口を探る中で,様々な分野による連携の重要性が指摘されており,大学においても,学部や大学院の中に分野融合のプログラムを設ける動きが加速してきた.日本学術振興会によって採択された「博士課程教育リーディングプログラム」である「たおやかプログラム」もその一つである.<br> このプログラムの特徴は,文化創生コース,技術創生コース,社会実装コースの3つのコースの学生が分野の枠を超えて共に学ぶこと,地域の現場での学習や実践を重視していることにある.本発表では,プログラムの1年生が参加する日帰り研修とそれに関わる授業からなる「オンサイトコースローテーション」での実践をもとに議論を進める.<br> 発表者が所属する文化創生コースが担当した2015年,2016年のオンサイトコースローテーションでは,「六次産業を基盤とした地域発のイノベーション」というテーマを設定した.「六次産業」とは,一次産業,二次産業,三次産業を同じ経営主体が行うものである.農林水産業の従事者が商品を加工し,顧客に販売,提供する段階まで一貫して関わることで,商品に付加価値を付けることができ,より安定した経営が可能になる. <br> 研修では,広島県東広島市福富町において六次産業に取り組んでいる2つの事業所を訪れた.<br> 研修では,地理学的な視点や調査方法の長所と課題を鑑みながら運営を行い,以下の結果を得た.<br> 第1に,六次産業を地域と切り離して見るのではなく,地域の歴史や産業の変遷などと関連させ,総合的に捉える姿勢を身に付けるよう促した.その結果,全てのコースの学生が,地域において六次産業を成り立たせている,事業者同士のネットワークや他地域との関係など,様々な要素やそれらの関係を検討し,モデルを作ることができた.<br> 第2に,人々の暮らしと六次産業との関連を,地域における文脈で捉えさせた.研修で訪問した六次産業の事業体は,ビジネス志向型,コミュニティ志向型と異なる方向性で役割を果たしている.学生たちには,2つの事業体を比較することで,六次産業が地域内で果たす役割のバリエーションに注目させ,地域の文脈で六次産業を捉えることができた.<br> 第3に,文献だけでは得られない,地域を知るために必要な生のデータを,現地に出て自ら得る体験を与えた.本研修では時間や言語の制約のため,代表者へのインタビューや施設の見学のみを行った.学生からは,「現地に足を運んだことで深い学びがあったが,もっと様々な立場の人々に意見を聞いたり,体験できるものがあると良かった」との感想を得た.代表者から話を聞くだけではなく,様々な角度から地域を見る必要がある,ということに学生自ら気付いたことは,研究や学びを深める上で大きな一歩であった.<br> 第4に,他地域で六次産業を実施する場合の課題を指摘させ,それに対して自分たちは何ができるかを考えさせる機会を与えた.学生たちはそれぞれの専門にもとづいてユニークな提案をすることができた.しかし,提案を裏打ちできる十分な調査の機会を与えられなかったのは反省点である.また,工学をバックグラウンドとする技術創生コースの学生からは,「現地に赴いての学習という初めての体験で視野が広がったが,技術者としては何を目標にして研修に臨めばいいのか戸惑いがあった」との意見も出された.分野融合をさらに円滑に進めるために,他コースの教員やスタッフとの連携が必要である.<br> 学生へのアンケート結果からは,研修後のコースごとのプレゼンテーションや全体のディスカッションによって分野を超えた学びを得ていることが判明した.「自分たちのコースにはない視点を他コースの学生が持っていることに気付いた」,「地域への貢献を目指して,他分野の学生と連携することの重要性を感じた」などの感想を得た.<br> 近年,多くの大学院において分野融合が試みられているが,異なる分野の学生や研究者が協力し,結果を出すために確立された方法はまだない.「たおやかプログラム」のように,試行錯誤しながら実践を重ねていく必要がある.今後は,オンサイトコースローテーションに続いて実施される,より期間が長く難度の高い研修を企画し実施する中で,さらに検討を深めていきたい.
  • 石川 菜央
    地理科学 2008年 地理科学学会
  • 石川 菜央
    日本地理学会発表要旨集 = Proceedings of the General Meeting of the Association of Japanese Geographers 2006年03月

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2009年 -2010年 
    代表者 : 石川 菜央
     
    21年度は,主に岩手県久慈市および沖縄における調査を実施した。久慈市では,市内で開催された全国闘牛サミットおよび全国闘牛大会にて,来場者へのアンケート調査,牛主への聞き取り,資料収集を行った。沖縄では,闘牛がさかんなうるま市や読谷村,北谷村,今帰仁村などで,牛舎を訪れ,牛主に対する聞き取りを行った。22年度は,調査のまとめと発表,論文化を重点的に行った。研究の目的における「日本における闘牛の存続の要因を解明する」点について,現代では闘牛を通した担い手の交流が活発になっていることに着目し,成果発表を行った。

その他のリンク

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