日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2005年 -2006年
代表者 : 西関 隆夫; 周 暁; 伊藤 健洋; 浅野 泰仁
本研究では,木,直並列グラフ,部分k-木等の構造的グラフに対し,彩色問題,素な道問題,グラフ描画問題を取り上げ,個々の問題に対して効率のよいアルゴリズムを設計するばかりでなく,構造的グラフに対する効率的アルゴリズムの統一的設計法の研究開発を行った.
まず,木に対しては,需要点と供給点があるときの分割問題を解く完全近似スキームを与えることができた.
直並列グラフに対しては,リスト全彩色が存在するための十分条件を与えるとともに,その条件を満足する場合にリスト全彩色を線形時間で求めるアルゴリズムを開発した.
次に,部分k-木に対しては,全彩色問題を解く線形時間アルゴリズム,均一分割問題を解く擬多項式時間アルゴリズム,需要点と供給点のあるグラフの分割問題を解く擬多項式時間アルゴリズムの開発に成功した.
また,グラフ描画アルゴリズムでは,直並列グラフの折れ曲り数最少の直交描画を求める線形アルゴリズムを設計するとともに,グラフの凸描画問題に応用することができるグラフの分解法も与えた.
本年度は,構造的グラフに対する効率的アルゴリズムの統一的設計法の開発を目指した研究を行い,これまでさまざまな問題に対するより高速なアルゴリズムの開発に成功しており,一般の辺素部分グラフ分解問題に対する効率のよいアルゴリズムの統一的理論構築のために基盤作りに十分な成果をあげることができ,得られた成果を論文としてまとめ,論文誌では7編,国際会議では5編発表した.