本研究では、競争と再分配行動の関係性を検証した。先行研究であるErkal et al. (2011) は順位が1位の人より2位の人ほうが他人への所得移転が多くなるという結論を示したが、本実験ではそのような結果は見られず、単純に順位・報酬が高いほど移転が多いという結果が得られた。また,実験後のアンケートに基づいて作成した平等選好は移転に正の影響を、競争選好は負の影響を与えていた。これらの変数は、報酬移転の存在による生産性の変化には影響を与えておらず、他者に対する選好によって生産性が変化し順位を変動させるというErkalらが主張するメカニズムは日本の被験者では確認されなかった。