日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 北 和之; 保坂 健太郎; 石塚 正秀; 森野 悠; 反町 篤行; 牧 輝弥; 渡辺 幸一; 五十嵐 康人
本研究では、以下の5つの達成目標を掲げている。各目標についての実績を示す。
1)バイオエアロゾル捕集フィルタの蛍光分析により濃度・構成を測定する手法開発:実験室でバイオエアロゾルを捕集したフィルタに複数の波長の紫外光を照射し、バクテリア、真菌、花粉など種類ごとに特有の蛍光スペクトル強度分布をもつこと、真菌胞子についてスペクトル強度と胞子量が比例関係にあることが確認できた。
2)林床及び樹冠部におけるバイオエアロゾルの種類ごとの放出量の季節及び短期変化の理解、3)森林内およびその上方へのバイオエアロゾル放出フラックスの定量的理解、4)福島帰還困難地区内森林からのバイオエアロゾルによる放射性セシウム放出の定量的理解:この3目標の研究実施のため帰還困難地区内の林地に観測サイトを新たに立ち上げし、観測装置を設置し定期的な大気放射能およびバイオエアロゾルサンプリングを開始した。また既存サンプルおよびデータをもとに、バイオエアロゾルと放射性セシウムの定量的関係の解析を進めている。特に森林からのバイオエアロゾル放出フラックスについては、林床および樹冠上でのバイオエアロゾル濃度とREAサンプリングの試験的な観測結果をもとに、林床からの放出フラックスを推定するとともに、樹冠を通じ森林上へと放出される割合は約5%であると推定を行い論文にまとめた。
5)森林からのバイオエアロゾル・放射性セシウム放出のモデル化の検討:モデル化に加え、モデルの検証のためにどのような観測を行うべきかの検討を行った。