日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年09月 -2023年03月
代表者 : 芝 正太郎
研究次年度となる本年度は,引き続きコロナ禍の状況を見て実験実施の可否を図りながら,並行して他の研究者との相談などを通じて実験デザインの向上を図った.
デザインについては被験者のトリートメント割振方法や謝金支払いの方法など技術的な面で大きな改善をすることができた.特に,検討の結果非金銭報酬として努力タスク(e.g., Augenblick et al., 2015)を採用することで,以前は検討の結果採用しなかったオンライン実験に研究上の大きなメリットを与えることができるとわかった(機会費用の最小化・均一化).オンライン実験であれば昨年度に直面した(コロナによる)実験中止要因を最小化することもできる.従って努力タスクを採用するとともに改めて実験をオンライン実施に変更し,Qualtricsのプログラムを書き直した.
また本年度はプレ実験も実施した.プレ実験では本実験で観測されるだろうと期待するデータが見られることを小規模ながら確認できた.また事後の聞き取りをもとにインストラクションや謝金額の設定を改善した.
以上の準備をしながら,しかし昨年度に期待したような大学環境の改善は結局実現しなかった.それどころか本年末まで昨年度にもましてコロナによる社会情勢の時間変化は大きく(第5,6波),ある時点と別の時点の意思決定を比較するという本研究には全く適さない環境であった.そのため苦渋の決断として実験実施をもう1年延長することとした.