日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 坂東 貴夫
第二言語の統語構造の学習におけるインプットの役割を明らかにする試みとして,語と語の語用論的な関係性(Plausibility)に焦点をあてて作成した実験文を用いて読解実験と文法性判断課題を行うことにより,統語構造に対する気づきへの影響や,学習の促進への影響を検討することを研究の目標としている。
本年度は研究初年度として,図書・実験用PCの購入等,研究の基本的な環境を整えることができた。
加えて,文献調査等により,実験文の作成に向けて検討を重ねることができた。具体的には,研究で用いる統語構造は,実験参加者にとって習得難易度が簡単過ぎることなく、また学習困難と評価されていない必要があるが,それらの点については,「処理可能性仮説」(Pienemann, 1998)や「ガーデンパス文のタイプ別理解困難度」(門田, 2007)等を参考にして検討を勧めた。また,Plausibilityの影響を受ける可能性がある統語構造という点についても,同様のテーマを扱っている先行研究(e.g., Roberts & Felser, 2011)を参考にして検討した。
結果的に現在までに,研究対象とする統語構造の候補として,関係節,補文接続,他動詞文の3種を考えた。これらの構造を持つ実験文の作成を開始しており、次年度には作成した実験文のPlausibilityについて紙面調査等により検討し,より精緻な実験文を作成した上で,読解実験および文法性判断課題を行う予定である。