日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 河井 理穂子
日米欧の教育現場における教育データ保護に関する各種ガイドライン(例えば、情報教育セキュリティポリシーに関するガイドライン(文部科学省、令和4年3月一部改訂)、米国のFamily Educational Rights and Privacy Act (FERPA)に関する様々なガイドライン、Children's Data Protection in an Education Setting Guidelines(Consultative Committee Of The Convention For The Protection Of Individuals With Regard To Automatic Processing Of Personal Data Convention 108, 2020 Nov.)など)の比較検討を行った。教育データの取得、保持、利用についてその目的を明確にし、最小限の範囲に留める、保護者の同意が必要であるなどの事項は共通していた。米欧においては、教育データのコントローラーを明確にし、特に保護者が教育データについて確認、修正などを容易に要求できるようにすることが重視されている。また、米国においては、検索履歴、ログインデータ、検索ワードなどのデータを表す属性や関連する情報を記述したいわゆるメタ教育データのコントローラーが誰であるのか明確ではない、いわば責任者がいない状態が生まれる可能性があるという指摘もある。これは、子どもの教育データの利活用において、保護者の同意を得るタイミングに明確に伝えることが重要な要素であり、現行の法やガイドラインでは抜けている要素であることが明確となった。また、教育データ保護に関する法の執行については、特に米国のFERPAについて最近の動向を調査した。さらに、自身の子どもが学校等でICTを利用している際、どのような情報が取得され、その情報のコントローラが誰であるのか、どの程度把握できるのかなど、保護者向けのインタビュー調査項目についても検討を行った。