日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2021年04月 -2025年03月
代表者 : 白井 順
明治の山崎闇斎派(朱子学者)である秋山罷斎がどのような交友関係を持ち、どのような講学活動をしていたのか、具体的な交流であったのかを書簡などの調査を行いながら進めている。
事前調査で入手した資料をもとに、2021年3月20日の白山中国学会にて【基調講演】「秋山罷斎―生田正庵との交流について」を発表し、その一部を【論文】「秋山罷斎―近代崎門学者の肖像」(『東洋思想文化』第8号、2021年3月刊行)として掲載した。更に2021年8月5日~7日に桑名市立図書館にて実地調査を行い、目下、書簡集である『東西雁魚』目録の作成作業を進めているが、不鮮明で解読不能な箇所も多く、難航している。秋山文庫に関する過去の目録を入手した。現在、そのデータに基づき調査を進めているが、新型コロナ感染防止による図書館訪問の制限などの影響もあり、大きな進展はない。書簡集『東西雁魚』は明治31年~大正9年に秋山罷斎に宛てたもので、書簡に登場する書名や事実の裏付けを入手したデータによって行っている。調査の途中ではあるが、『東西雁魚』は全冊完全に残っているわけではないことが分かったので、現存する部分の目録作成を優先した。書簡の一部は国士舘大学附属図書館所蔵の秋山罷斎書簡と対応すること、また長崎ミライON図書館所蔵の楠本海山資料と対応すること、この二点に関して確認が取れたことは大きな進展だと言える。またさらに、秋山罷斎に関する新資料も発見し、現在それらと『東西雁魚』・秋山文庫との関係を調査しているところである。