Date : 2020/05
Writer: Other than myself
Publisher, broadcasting station: 朝日新聞出版
Program, newspaper magazine: 最新刊行物
Internet ◆ヘルプマン!!-取材記-6巻
「介護現場1992」「インフォーマルケア」
ヘルプマン!!-取材記-6巻は、「介護現場1992」と「インフォーマルケア」の二部構成。
第一部「介護現場1992」では、介護保険法が施行された2000年より8年前、老人保健法が改正された頃の体験を元に描かれたエピソード。大学で社会福祉士を目指す女子大生・八木裕子は、当時“措置制度”と呼ばれていた介護現場を目の当たりにし、その後の人生を大きく変えたることに。
彼女の実習先となった施設内では、高齢者たちの手足は、ベッドに縛り付けられ身体拘束をするのが当たり前。施設職員たちは、認知症の高齢者たちを“痴呆”と呼び、オムツを外して便をつかんだり、食べたりしないよう、鍵付きの服を着せ、入浴の時は入所者の男女を丸裸にして放置。いくら記憶力や判断力が低下する病気とは言え、これまで八木が、学校で専門的に学んできた情報では到底言い表すことができない世界が広がっていた。
今では考えられないような常識がまかり通る介護施設は、まさに“地獄絵図”そのもの。夜勤では、スタッフも少ないため、職員たちは、実習生の八木にも遠慮なく仕事を振り、施設内でひとり歩きを続ける認知症の高齢者を寝かしつけるよう指示。
仕方なく、刑務所の独房のような部屋で老婆を寝かしつけることに。その時、共に横になっていた八木に、コミュニケーション不能な老婆が語りかけてきた。“痴呆の人は何もわからない人”と学んできた八木が聞いた「すごく寂しい」という老人の訴え。この施設の夜勤で、八木は、現場主義の教育者となる貴重な経験をする――。