ゼータ電位測定法に関しては過去数十年において数多く提案され検証されてきたが大型な装置が多く安価かつ簡易な測定はできない。また、個々の粒子のゼータ電位を測定できない。そこで本研究では、その問題の解決を図るべく電気泳動コールター法(Electrophoretic Coulter Method ; ECM)を独自に提案し、標準粒子としてポリスチレン微粒子を使用し、その有用性を確認した。更に、臨床医療応用への第一歩として、赤血球を用いることにより異種の生体細胞に対するECMの有用性の検証を行った。その結果、ゼータ電位の分布からも、サイズの分布からも、同一液中における異種の赤血球の判別が可能であることを実証することに成功した。これは赤血球だけでなく異種の生体細胞にも容易に敷衍できる原理であり、ECMの臨床医療検査機器としての有用性を充分に実証することができた。更に、このECMと電気的検出回路あるいは光学的電気的検出回路とをソーティング部と併せて集積化させるにはガラス基板に替わり、SOI(Silicon On Insulator)基板あるいはSOQ(Silicon On Quartz)基板をプラットフォームとして活用することが非常に有効であると考え、その実用化の為の基礎的な検討として、SOI基板やSOQ基板の基礎物性評価を精力的に行った。