研究者総覧

中嶋 和弘 (ナカシマ カズヒロ)

  • 理工学部機械工学科 准教授
Last Updated :2021/08/31

研究者情報

学位

  • 博士(工学)(2007年03月 九州大学)

科研費研究者番号

  • 70315109

研究キーワード

  • ハイドロゲル   人工軟骨   境界潤滑   摩擦   蛋白質吸着   人工関節   バイオトライボロジー   

研究分野

  • ものづくり技術(機械・電気電子・化学工学) / 機械要素、トライボロジー / バイオトライボロジー
  • ライフサイエンス / 生体医工学

経歴

  • 2021年04月 - 現在  東洋大学理工学部 機械工学科准教授
  • 2017年10月 - 2021年03月  帝京大学福岡医療技術学部 医療技術学科准教授
  • 2007年04月 - 2017年09月  九州大学大学院工学研究院助教
  • 1999年04月 - 2007年03月  九州大学工学部助手

学歴

  • 1997年04月 - 1999年03月   九州大学   大学院工学研究院   機械工学専攻
  • 1993年04月 - 1997年03月   九州大学   工学部   機械エネルギー工学科

所属学協会

  • バイオトライボロジー 研究会   日本臨床バイオメカニクス学会   日本トライボロジー学会   日本機械学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 医療系技師のための微分・積分・微分方程式
    (担当:単著範囲:)DTP出版 2020年04月

MISC

産業財産権

  • 特開2015-063126:ハイブリッドゲル、及びハイブリッドゲルの製造方法  2015年04月09日
    鈴木淳史, 佐々木沙織, 村上輝夫, 中嶋和弘, 鎗光清道, 坂井伸朗  国立大学法人横浜国立大学, 国立大学法人九州大学, 国立大学法人九州工業大学
  • 特開2008-290398:金属表面に四フッ化エチレン樹脂転移膜を形成する方法、及びそれを用いた摺動部材  2008年12月04日
    澤江義則, 中嶋和弘, 山口晃, 伊藤竜馬, 村上輝夫  国立研究開発法人産業技術総合研究所

受賞

  • 2011年02月 International HYDROGENIUS and I2CNER International HYDROGENIUS and I2CNER Joint Symposium Distinguished Presentation Award
  • 2007年03月 日本生体医工学会 九州支部 研究奨励賞
  • 2004年11月 日本トライボロジー 学会 日本トライボロジー学会 2004 秋 鳥取 ベストプレゼンテーション賞

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 関節軟骨表面における高機能潤滑システムの自己形成・自己修復メカニズムの探究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 澤江 義則; 山口 哲生; 森田 健敬; 中嶋 和弘
     
    前年度までに行ったPVAハイドロゲルを関節軟骨組織のモデル材料として用いた実験の結果より,関節液に含まれる生体高分子成分のうち,ヒアルロン酸(HA)とリン脂質(DPPC)の協調効果により,摩擦が著しく低減されることを確認したものの,共存するタンパク質がゲル表面に吸着することで低摩擦状態が破綻してしまうことが明らかとなった.そこで本年度は,化学構造の異なる複数のハイドロゲルを軟骨組織モデル材として準備し,軟骨モデルの化学組成と関節液成分による潤滑効果との関係を評価した.新しいモデル材料は,親水性モノマーと疎水性モノマーを組み合わせた共重合ポリマーをゲル化したものであり,従来のPVAハイドロゲル同様,柔軟で含水性と透水性を備える.実験の結果,市販のコンタクトレンズ等に使用されるHEMAとブチルアクリレートからなるモデル材では,PVAと同様にタンパク質の吸着により摩擦が顕著に増加したのに対し,親水性モノマーをHEMAからGLMAに変更することによりタンパク質存在下においても低摩擦が維持された.これは,より多くの親水基を持つGLMAによりタンパク質の吸着が抑制され,HAとDPPCによる潤滑効果が顕在化されたものと考えられる. 軟骨組織から単離した初代軟骨細胞を播種した培養軟骨モデルを用い,軟骨細胞により産生された細胞外マトリックス(ECM)による潤滑効果を評価する試みも継続した.これまでの研究では,培養後の軟骨モデルの機械的強度が不足し,充分な摩擦測定の再現性が得られなかったことから,足場材料を再検討することした.ここでは,分子量と分子構造が異なる二種のアガロースゲルと,アテロコラーゲンゲルについて,ゲルの粘弾性特性および機械的強度を測定するとともに,培養後の培養細胞の生存率とECM産生量を評価した.ゲル濃度についても,細胞培養と摩擦測定の両者に適した至適濃度を探索した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2016年04月 -2020年03月 
    代表者 : 工藤 奨; 世良 俊博; 佐々木 沙織; 中嶋 和弘
     
    寒冷血管拡張反応は,古くから知られていたにもかかわらず,依然としてその発生メカニズムは不明な点が多い.本研究は上記メカニズム解明のため,マクロ・ミクロの両側面から研究をおこなった.ヒト個体の血流信号解析から,神経,および血管内皮細胞の一酸化窒素以外の要因が寒冷血管拡張の主要因であることを新たな知見として得ることができた.さらに,細胞実験から,一酸化窒素以外の血管拡張因子である過酸化水素が低温下で上昇することを新たな知見として得ることができた.また,被検者から採取した遺伝子情報から血管収縮機能に関係することで知られるROCK2遺伝子などが寒冷血管拡張反応に寄与する候補にあがった.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 村上 輝夫; 中嶋 和弘; 澤江 義則; 坂井 伸朗; 鈴木 淳史; 岡崎 賢; 鎗光 清道
     
    生体関節の巧みな潤滑機構に着目し、関節軟骨における固液二相潤滑機構や関節液成分の吸着特性を明らかにし、多種の潤滑モードの協調作用に基づく生体関節の超潤滑機構を明確化した。そのような生体関節超潤滑機構を規範にして、高機能ポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲル人工軟骨を開発し多様な作動条件下でのロバスト性の向上に取組んだ。高含水ハイドロゲルにおいて間隙流体圧や摩擦挙動を評価し、繊維強化の効果を固液二相有限要素解析と実験により検証し、積層ハイブリッドゲルにおける滅菌処理と架橋強化のためのガンマ線照射の最適条件を明示するとともに、高面圧下での耐摩耗性を有する単層複合化ハイブリッドゲルを開発した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 中嶋 和弘
     
    生体関節液に含まれる蛋白質であるアルブミン及びγ-グロブリンの協調的な吸着膜が人工関節材料の低摩擦を発現する事から,それぞれの摩擦特性と吸着特性について調査を行い,得られた結果から低摩擦維持機構について考察した. アルブミンが低せん断性を,γ-グロブリンが強固な吸着膜を形成する特性を有することが明らかとなった.この特性の差異からアルブミンが低せん断性(低摩擦性)の効果を発揮し,γ-グロブリンが低摩耗を発揮することが明らかとなった.これらの特性が人工関節表面に吸着した蛋白質膜で発揮されることで低摩擦を維持できることを明らかにした.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別推進研究
    研究期間 : 2011年 -2015年 
    代表者 : 村上 輝夫; 澤田 廉士; 澤江 義則; 山口 哲生; 中嶋 和弘; 岡崎 賢; 松田 秀一; 坂井 伸朗; 鈴木 淳史; 鎗光 清道; 田中 良巳; 平島 由美子; 廣川 俊二; 小俣 誠二; 佐々木 沙織
     
    生体関節の巧みな潤滑機構についての理解を深め、その成果を反映させた高機能ハイドロゲル人工軟骨の実用化に取組んだ。摩擦下の関節軟骨の摩擦・可視化試験や吸着膜評価試験により関節液成分の吸着特性を明確化し、固液二相有限要素解析により液相荷重支持や摩擦の評価を可能にした。高含水ハイドロゲルの製法と構造・物性の関係を明確化し、最適構造の積層ハイブリッドゲルにおいて極低摩擦・極低摩耗を実現した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2012年04月 -2014年03月 
    代表者 : 中嶋 和弘
     
    人工関節の摩擦摩耗挙動に大きな影響を与える蛋白質吸着膜について電気化学的手法を用いて挙動について調査を行った.蛋白質にはアルブミンとγグロブリンを用いた.超高分子量ポリエチレン(GUR1050)とCoCrMo合金(ASTMF75)の組み合わせにおいて,CoCrMo合金の表面電位を摩擦試験中に測定することで合金表面での蛋白質吸着膜の挙動について調査を行った.アルブミンは摩擦による剥離が観察された.γグロブリンは摩擦を受けても剥離しないことが観察された.これら2つの蛋白質には吸着力に差があることが明らかとなった.この吸着力の差が摩擦摩耗を増減する蛋白質吸着膜の構造形成に影響していると考えられる.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2011年04月 -2014年03月 
    代表者 : 澤江 義則; 中嶋 和弘; 渡辺 正夫
     
    軟骨組織から取り出した軟骨細胞をアガロースゲル内に分散し3次元培養した再生軟骨モデルの表面に,プラスチックローラーを用いて摺動(摩擦)負荷を加え,再生組織表面への潤滑機能の構築と,組織の健全性に及ぼす影響を評価した.その結果,組織表面に加わる適度な摺動負荷は,組織形成を促進するだけで無く,組織内に生体軟骨に見られるような構造的異方性の形成を促すことが示された.また組織表面の潤滑性は確認できなかったものの,潤滑の破綻により5%程度のせん断ひずみが組織に生じると,細胞の一部が死んでしまい組織がダメージを受ける可能性が示された.
  • 極低摩擦・極低摩耗生体関節に学ぶ多モード自律潤滑機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 村上 輝夫; 澤江 義則; 中嶋 和弘; 澤田 廉士; 坂井 伸朗
     
    生体関節は、定常歩行運動時にはマイクロレベルを含む弾性流体潤滑により低摩擦・低摩耗を維持し、摩擦増大や表面損傷の発生をもたらす局所的接触が発生しうる薄膜潤滑の場合には、巧みな多種のモードの潤滑機構を有することにより極低摩擦・極低摩耗を実現している。このような潤滑機構は、多モード適応潤滑機構と称されているが、詳細については未解明な点も多い。そこで、本研究では、軟骨表面の複雑な構造の実態を各種の手法で明確化するとともに、極性分子の吸着挙動と水和潤滑効果の相互関係と協調的潤滑機能への寄与を探求した。成果の概要を略述する。 1.水和潤滑に対する生体関節軟骨摩擦面吸着膜形成の影響の解明:除荷・再負荷摩擦試験により軟骨表面水和回復と関節液成分吸着膜の強調作用を明確化できた。2.生体関節軟骨と軟骨細胞の変形・摩擦挙動の実測と数値解析:固液二相体としての関節軟骨の可視化圧縮試験と圧縮及び往復動状態の有限要素解析により、モデル化を可能とするとともに,深さ依存弾性特性・透過の圧密特性・線維スプリング効果などの重要性を把握できた。3.軟骨細胞・滑膜細胞への摩擦刺激・力覚応答試験:圧縮刺激に対する軟骨細胞の応答を明確化した。滑膜組織からの滑膜細胞の単離と培養を可能とし、培養組織の評価を行った。4.軟骨模擬材料および軟骨のマイクロトライボ試験:ポリビニルアルコールハイドロゲル模擬軟骨と関節軟骨の比較試験により、ナノ構造特性の相違の影響を明らかにし、低摩擦化への指針を得た。5.マイクロ血流センサによる軟骨部流動現象の非侵襲計測:標準材料や軟骨におけるシグナルの計測を行い、計測手法の基盤を構築し、酵素処理などの影響を調査した。上述成果について統合的に評価を行うことにより、生体の巧みな多モード自律潤滑機構の未解明部分の複数事象を明らかにできた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2008年 -2009年 
    代表者 : 中嶋 和弘
     
    軟骨細胞を有する人工軟骨材料の開発を行い,摩擦特性について調査した.人工軟骨材料にはポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲルを用い,その表面に軟骨細胞を播種した後に培養してPVAハイドロゲルの表面に細胞外マトリックスを有するハイブリッド型人工軟骨を開発した.ハイブリッド型人工軟骨は培養日数に伴い摩擦係数が低下することを示し,細胞外マトリックスを有するハイブリッド型人工軟骨材料の開発が可能であることを示した.
  • 軟骨組織のマイクロ・ナノ構造における軟骨細胞・周囲組織のメカニクス解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 特定領域研究
    研究期間 : 2003年 -2006年 
    代表者 : 村上 輝夫; 澤江 義則; 中嶋 和弘; 坂井 伸朗
     
    変形性関節症等の発症の事前防止策の提案や再生軟骨の機能向上をめざして,軟骨細胞と細胞外マトリックスの相互関係に着目しながら軟骨組織としてのマクロレベルと細胞を対象としたミクロレベルについて各種実験と数値解析を実施した.まず,サブミクロンオーダの位置精度と歩行周期レベルの高速荷重パターンを再現しうる共焦点レーザ顕微鏡据付型マイクロ力学試験機を用いて,軟骨細胞の形態や分布を観察するとともに,生体内のダイナミックな力学環境を再現しながら軟骨試験片の圧縮試験を行った.一定変位試験において蛍光染色した軟骨細胞をマーカとすることにより局所的ひずみの部位依存・時間依存の挙動の観察を行った.固液二相性理論に基づく有限要素解析を行い,圧縮実験における平衡状態の局所ひずみから平衡弾性率の深さ方向分布を推定し,有限要素解析の物性値として与えることにより実験における試験片の変形挙動との対応を得ることができた。接触荷重については計算値が小さめになったために,弾性率の時間依存性を導入することにより実測値の時間変化との合致を得た. また,軟骨細胞-アガロース複合体の培養試験では,周期的圧縮刺激が剛性の向上をもたらすことを確認し,細胞外マトリックスの産生増加を分析により定量的に評価した. 軟骨表面への関節液成分吸着膜形成については,高含水性人工軟骨PVA (ポリビニルアルコール)ハイドロゲルやラングミュア・ブロジェット膜形成ガラス板等の軟骨モデルにおける摩擦試験や観察により異種蛋白による低摩耗・低摩擦吸着膜の形成条件や膜構造を明確化できた.
  • 人工軟骨候補材料の蛋白質境界膜による低摩耗化のメカニズムの解明と潤滑液の最適設計
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 中嶋 和弘
     
    前年度までの研究により蛋白質が摩擦面に吸着することで摩耗を低減させることが明らかとなった.ハイドロゲルの摩耗は潤滑液に含まれる蛋白質の種類・添加量・添加比に依存した.蛋白質として生体関節液に含まれるアルブミン及びγ-グロブリンを使用したが,それぞれ摩擦摩耗に対する役割が異なると思われた.蛋白質の吸着挙動は分子量・親疎水基の割合・電荷の状態等に影響されると思われる.蛋白質の立体構造は上記の蛋白質の特性に影響されるため,総合的に吸着に対する蛋白質の挙動の差異を調べることができる.本年度は蛋白質の立体構造に着目し,その影響について調査した.蛋白質の立体構造を知るために円二色性分散計を用いた。それぞれの蛋白質の円二色性を測定することで立体構造がどのようになっているかを把握することができる.その結果,アルブミンはαヘリックス構造を,γ-グロブリンはβシート構造をそれぞれ多く有することが明らかとなった.さらにそれぞれの立体構造の摩擦摩耗への影響を調べるため,往復動摩擦試験を行った.その結果、αヘリックス構造はβシート構造に比べ吸着力が弱く,せん断を受けると表面から脱落しやすいことが明らかとなった.前年度までの研究からアルブミンとγ-グロブリンが層状に吸着した境界膜において摩耗低減効果がみられたことから,吸着力の弱いαヘリックス構造を多く有するアルブミンと強固な吸着力を持つγ-グロブリンがそれぞれ摩擦低減、摩耗低減効果を有すると思われる.また,加熱により立体構造を変化させるとアルブミンでは摩擦が低減することが観察された.加熱によりαヘリックス構造が失われランダムコイルとなり吸着力が増加したために境界潤滑膜としての機能が向上したと思われる.
  • 生体関節における多モード適応潤滑と自己組織化・修復機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2003年 -2005年 
    代表者 : 村上 輝夫; 澤江 義則; 中嶋 和弘; 坂井 伸朗
     
    超高齢化社会における関節症患者の急増を防ぐために,変形性関節症等の発症の事前防止策の提案や再生軟骨の機能向上をめざして,関節の潤滑機構と変性・修復機構の関連を解明することを試みた.とくに,多モード適応潤滑機構の視点にたって関節摩擦面の損傷進行・修復を左右する吸着膜・ゲル膜形成における自己組織化現象や軟骨組織の圧縮ひずみ挙動に着目して,原子間力顕微鏡,共焦点レーザ走査蛍光顕微鏡,全反射(エバネッセント)蛍光顕微鏡を駆使して系統的な観察研究を行った.代謝挙動を支配する軟骨細胞の力学的環境に対する応答を探求するために,新鮮な軟骨組織の圧縮試験や,軟骨表面の摩擦や透過性を考慮した軟骨モデルに対する3次元有限要素応力解析とともに,軟骨細胞・アガロース複合体の培養試験を実施した. 軟骨組織用の圧縮試験機を開発し,固液二相体における応力のひずみ速度依存性や経時的ひずみ挙動を観察し,細胞をマーカとして軟骨内部における局所ひずみの変化を観測した.また,有限要素解析により表面境界条件の影響を評価するとともに,弾性率の局所物性値を導入し試料の変形への影響を確認できた. 生体軟骨の摩擦試験では,リン脂質や蛋白成分から構成される吸着膜およびプロテオグリカンから構成される表面層ゲル膜が低摩擦・低摩耗機能を有することを示した.混合吸着膜やゲル膜形成では,自己組織化が重要な役割を演じるものと推測され,LB(ラングミュア・ブロジェット)膜を作成し,潤滑液成分の最適組成による摩擦低減を確認するとともに,全反射顕微鏡により吸着状態の変化を観察できた.人工軟骨材料(PVAハイドロゲル)の往復動試験により関節液構成成分の有効性を探求した.とくにヒアルロン酸と蛋白成分の共存下で,アルブミンとγグロブリンの最適組成(1:2または2:1)時に最も良好な耐摩耗性を確認し,対応する吸着膜形成や脱離を蛍光観察動画により確認できた.
  • 高機能人工軟骨を有する人工関節の開発と実用化に関する研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 中嶋 和弘
     
    臨床応用されている人工関節の寿命は数年から十数年であり,特に若年の患者に対しては再置換術が必要となる問題がある.人工関節の寿命決定因子は摩擦面の摩耗による摩耗粉が原因となる報告が多く,摩耗の低減が人工関節を長寿命化させる上で最も重要な因子であることが指摘されている.人工軟骨にはPVA(polyvinyl alcohol)ハイドロゲルを使用し,潤滑モードを混合潤滑から流体潤滑主体とすることにより摩擦摩耗の低減を試みた.ゲルは含水性であるため,シビアな条件下でも内部からの水の滲出により直接接触を防ぎ,低摩擦とする効果が期待されている. PVAハイドロゲルを摩擦面に使用し直接接触が発生する厳しい試験条件においてその摩擦摩耗特性について調査した.PVAハイドロゲル同士を摩擦面にした場合,潤滑液に添加した蛋白質により摩耗の程度に差異が観察された.生体関節液に含まれる蛋白質のうち代表的なアルブミン及びγ-グロブリンを潤滑液(ヒアルロン酸溶液)へ添加したととろ,それぞれ単体で潤滑液に添加するよりも2種の蛋白質を混合した潤滑液を使用することで摩耗の低減が観察された.生体関節のようにA/G比を2/1とするとかなりの摩耗の低減が観察された.また,蛋白質を過剰に添加すると摩耗が促進された.すなわち,PVAハイドロゲルの摩耗特性は潤滑液に含まれる蛋白質に大きく依存することが明らかとなつた.AFMにより表面膜の観察を行い摩耗保護作用について調べた.ゲルは高倍率での観察が困難であるためPVAと同程度の親水性の表面を持つガラスを用いた.アルブミンのみを添加した場合では残留膜の吸着力が弱く,脱落しやすいことが明らかとなった.γ-グロブリンを単体で添加した場合には吸着力が強いことが観察された.このことから,2種を混合して用いた場合に膜内部に低せん断層をもつ潤滑性・耐摩耗性に優れた境界膜が得られることが明らかにされた.
  • 生体関節における多モード適応潤滑機構と自己組織化機構の解明
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2000年 -2001年 
    代表者 : 村上 輝夫; 中嶋 和弘; 澤江 義則; 大月 伸男
     
    超高齢化社会における関節症患者の急増を防ぐために,関節の潤滑機構と変性・修復機構の関連を解明することを試みた.とくに,多モード適応潤滑機構の視点にたって関節摩擦面の修復過程における自己組織化機構の総合的な解明をめざし,損傷進行・修復を左右する吸着膜・ゲル膜形成における自己組織化現象や軟骨組織の圧縮ひずみ挙動に着目して,原子間力顕微鏡や新規購入の走査型レーザ顕微鏡を駆使して観察研究を行った.代謝挙動を支配する軟骨細胞が力学的環境に対していかに応答するかを探求するために,軟骨細胞の存在を考慮した軟骨モデルを構築し,3次元有限要素応力解析を実施した. 生体軟骨の摩擦試験では,リン脂質や蛋白成分(とくにγ-グロブリン)から構成される吸着膜とプロテオグリカンから構成される表面層ゲル膜が低摩擦・低摩耗機能を有することに関して,AFM観察から構造との関連を評価した.混合吸着膜やゲル膜形成では,自己組織化が重要な役割を演じるものと推測された. 軟骨/人工軟骨材料(PVAハイドロゲル)の往復動試験により関節液構成成分の有効性を探求した.とくにヒアルロン酸と蛋白成分の寄与に着目して評価したところ,両成分の共存が最も良好な耐摩耗性を示した.成分別に評価すると,γグロブリンは軟骨の損傷防止に有効で,増粘性物質のヒアルロン酸はPVAハイドロゲルの損傷防止に有効であった.混合吸着膜の有効性や自己組織化と潤滑性との関連を総合的に考察した. 軟骨細胞の力学的応答の変化を調べる前段階として,共焦点レーザ走査型顕微鏡蛍光計測により軟骨内部と表層近傍の軟骨細胞の3次元画像再構成を試み,表層・中間層・深層における細胞形態や分布の相違を評価した.また,有限要素解析により軟骨細胞モデルに対する力学環境の影響を明らかにするとともに,ひずみ・応力応答と細胞の存在の関係を調べ,透過率や弾性率を考慮する必要性を示した.とくに,軟骨の一定ひずみ圧縮試験では,負荷直後に局所的に大きいひずみが発生し軟骨細胞への刺激を強めることが示唆された.
  • 人工軟骨・人工半月板を有する生体規範型人工膝関節の最適設計及び試作と評価
    日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 1999年 -2001年 
    代表者 : 村上 輝夫; 中嶋 和弘; 澤江 義則; 大月 伸男; 三浦 裕正; 岩本 幸英
     
    人工膝関節の設計に生体膝関節の多モード適応潤滑機構を取り込み,ハイドロゲル製の人工軟骨や人工半月板を導入し,ソフトEHL(弾性流体潤滑)作用に基づく流体潤滑膜形成を促進させるとともに,薄膜潤滑時には,吸着膜やゲル膜による保護機能を付与するための研究を実施した. まず,生体膝形状モデルの3次元曲面形状データの曲面解析手法を開発し,モデリングマシーンによる試作の体制を構築し,主要な3次元的運動を再現する実態模擬関節シミュレータを開発した.本シミュレータは,人工関節置換患者の各種症例の接触状態を再現可能な2連式であり,関節力と屈曲・回旋運動の再現とともに,内外反の片当たり状態や脛骨板沈下進行時を再現可能である.このようにして,最適設計・試作・評価システムによる最適設計システムを整備した.また,生体関節軟骨の機能を代行しうる高機能人工軟骨の実用化をめざすために,各種のハイドロゲルの性能評価を行い,摩擦摩耗挙動の問題点を明らかにした.PVAハイドロゲルについては,凍結・解凍の繰返し回数における最適条件の存在を示した.また,適切な転がり・滑り運動や安定性を実現するために半月板を含めた最適形状設計の指針を検討した.また,電圧印加による始動摩擦の低減の可能性を提示し,含水性ハイドロゲルにおける低始動摩擦の優位性と,初期に高摩擦を示すポリウレタンにおける液中保存による経時的摩擦低減を見出した.さらに,ポリエチレン,セラミック,金属材料の摩耗挙動に対する材料特性・摩擦作動条件(とくに多方向滑り)・潤滑液組成の影響を明らかにした. 臨床的評価については,摘出例の損傷評価を行うとともに,有限要素弾塑性解析により形状・寸法・運動形態と弾塑性応力との関連を明確化した.人工関節コンポーネントの適正な設置法を検討し,パターンマッチング法による動態評価を行った.また,人工軟骨材料の生体適合性(無毒性・生体内安定性)を評価するために,動物関節内置換試験に必要な試験片作成と治具を作成し,試験条件を検討した.さらに,人工関節の緩みに関連して,破骨細胞による骨吸収に対する力学的伸張の影響を評価した.

委員歴

  • 2015年04月 - 2016年03月   日本機械学会   メカライフ編集委員
  • 2010年04月 - 2015年03月   日本トライボロジー 学会   英文ジャーナル編集委員

担当経験のある科目

  • 生体計測学実習帝京大学
  • 物性工学博多メディカル専門学校
  • 医用工学帝京大学
  • 医療情報システム帝京大学
  • 情報処理演習II帝京大学
  • 情報処理演習I帝京大学
  • 生体物性工学帝京大学
  • 機械工学II帝京大学
  • 機械工学I帝京大学
  • 応用数学帝京大学
  • 応用数学II帝京大学
  • 応用数学I帝京大学
  • 基礎数学帝京大学
  • 機械工学実験II九州大学
  • プログラミング演習九州大学
  • 機械設計法演習九州大学

学術貢献活動

  • The 11th International Biotribology Forum and The 40h Biotribology Symposium, Secretariat
    期間 : 2019年09月15日 - 2019年09月16日
    役割 : 企画立案・運営等
    種別 : 大会・シンポジウム等
    主催者・責任者 : バイオトライボロジー 研究会
  • 第9回 日中トライボロジー先端フォーラム 幹事
    期間 : 2018年04月12日 - 2018年04月14日
    役割 : 企画立案・運営等
    種別 : 学会・研究会等
    主催者・責任者 : 日本トライボロジー 学会

その他のリンク

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