研究者総覧

浅田 晃佑 (アサダ コウスケ)

  • 社会学部社会心理学科 准教授
  • 社会学研究科社会心理学専攻 准教授
Last Updated :2024/04/23

研究者情報

学位

  • 博士(京都大学)

科研費研究者番号

  • 90711705

J-Global ID

プロフィール

  • 公認心理師・臨床発達心理士


    神経発達症(発達障害:自閉スペクトラム症など)に関する研究を行っています。専門分野は、発達心理学です。


    人と関わる際に重要な社会性やコミュニケーション能力に関心があります。例えば、文脈を読む力、会話のルールの理解、パーソナルスペース・対人距離の取り方などがこのテーマに含まれます。このような能力が神経発達症のない定型発達をしている人たちではどのように変化がみられるのか、また、神経発達症がある非定型発達をしている人たちではどのようであるかに関心があります。加えて、神経発達症がある人がより暮らしやすくなるためには、世の中がどのように変わっていけばよいか、どのような支援が必要かについても関心があります。これまで、自閉スペクトラム症、ウィリアムス症候群の子どもや大人の研究を行ってきました。

研究分野

  • 人文・社会 / 教育心理学

研究活動情報

論文

書籍

  • これからの保育内容
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:発達心理学と保育)一藝社 2021年07月 122-129
  • 浅田晃佑 (担当:共著範囲:ウィリアムス症候群・絵画語い発達検査・K式発達検査・巡回相談・スクリーニング・ダウン症候群・知的障害・知的能力障害・発達相談・フェニルケトン尿症・レット症候群)有斐閣 2021年02月 ISBN: 9784641002661 996p, 図版 [18] p
  • 発達障害の心理学: 特別支援教育を支えるエビデンス
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:自閉スペクトラムと身体理解)福村出版 2019年10月 94-96
  • ソーシャル・マジョリティ研究:コミュニケーション学の共同創造
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:ちょうどいい会話のルールってどんなもの?)金子書房 2018年11月
  • 自閉スペクトラムの発達科学
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:自閉スペクトラムの社会性・コミュニケーション発達の独自性―他の発達障害との比較)新曜社 2018年03月 148-156
  • ベーシック発達心理学
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:障害と支援)東京大学出版会 2018年01月 223-237
  • 教育と医学
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:発達障害と共感性の新しい見方)慶應義塾大学出版会 2017年10月 876-882
  • 臨床心理学(みんなの当事者研究)
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:パーソナルスペース)金剛出版 2017年08月 200-202
  • 発達科学の最前線
    浅田晃佑 (担当:共著範囲:子どもの社会性の発達と障害―自閉症スペクトラム障害とウィリアムス症候群―)ミネルヴァ書房 2014年04月 169-187

講演・口頭発表等

  • 自閉スペクトラム児・者の社会性と身体感覚  [招待講演]
    浅田晃佑
    日本心理学会公開シンポジウム「自閉スペクトラムの科学的支援にむけて(2)」
  • 臨床発達心理士とエビデンス
    浅田晃佑
    日本臨床発達心理士会東京支部資格更新研修会「臨床発達心理士としての実践との向き合い方」 2021年12月
  • 自閉スペクトラム症と身体感覚 ~基礎研究を現場で活かす~  [招待講演]
    浅田晃佑
    日本臨床発達心理士会東京支部子育て・発達支援ネットワーク研修会 2019年01月
  • 発達障がいと個性  [招待講演]
    浅田晃佑
    足立区立小学校教育研究会情緒障がい・弱視部会 2018年02月

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
    研究期間 : 2021年10月 -2026年03月 
    代表者 : 平井 真洋; 浅田 晃佑; 木村 亮; 白野 陽子; 寺田 和憲
     
    我々の文化・社会の基盤となるヒトの社会性には広がりがあり,社会的環境に影響されうる.本研究では,社会性が異なるとされる自閉スペクトラム症(ASD)児者ならびにウィリアムス症候群(WS)児者を対象に,社会的認知特性が文化的背景によりどのように異なるのかを,質問紙・実験心理学的手法を組み合わせて多角的に解明する.本研究は,欧州において当該研究をリードしている英国ダラム大学と共同で研究を推進する.当該年度においては,まず研究計画のとおり,両群の社会的特性がどのように異なるかを明らかにするために,養育者を対象とした質問紙調査をとりまとめ,相違点について分析を行った.結果,両群の類似点ならびに相違点が明らかとなった.また,英国ダラム大学のグループが主導したオンラインによる国際アンケート調査に参画した.
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2021年04月 -2024年03月 
    代表者 : 葉石 光一; 八島 猛; 大庭 重治; 池田 吉史; 浅田 晃佑
     
    令和3年度は、知的・発達障害児・者を対象として予定されていた実験が実施できなかった。そのため、研究の進捗は遅れている状況である。ただ、必要な予備的実験を実施し、新型コロナウィルスの感染状況が改善されれば、実験の規模は縮小せざるを得ないものの、ある程度の遅れを回復することは可能である。また本年度は、知的障害児・者を対象としたジョイント・アクションの研究がほとんどないことから、知的障害児の学習活動におけるジョイント・アクションの効果を行動観察によって検討した。具体的には、知的障害を伴うダウン症児1名に対して9ヶ月間にわたって実施した書字学習支援での共同活動場面の再分析を行った。この学習支援の過程では、支援者が対象児に手紙を書き、それに対する返信を書いてもらうことを目標とする環境整備が行われた。ただこの支援は、対象児に対する個別の支援ではなく、同じく手紙をもらって返信を書く共行為者を存在させるようにしていた。その中で、対象児の書字行為は、周囲の様子を手がかりとしたものから、次第に自発的なものへと徐々に変化していった。また支援者からの手紙に対する返信を自発的に書くようになる中で、書こうとする内容をあらかじめ宣言して書く様子や、周囲の子どもの書字に見られた誤りを指摘し、正しい文字を教えてあげる様子などが見られた。これは知的障害児において課題とされるプランニング(書こうとする内容の宣言)や動機付けの問題を、共行為者がいる中でクリアするきっかけを掴んだと見られるものであった。一般に、知的障害児・者には、行動を自らプランニングし、調整する実行機能や、行動や自らの認知過程に対する信頼の低さからくる動機付けに課題があるとされる。本研究の結果は、共行為者が存在するジョイント・アクション事態が、知的障害児・者の認知・行動上の課題を克服する手立てとして有効である可能性を示唆していると考えられた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 浅田 晃佑
     
    本年度も、自閉スペクトラム児者と定型発達児者を対象に、ユーモアについて調査した。昨年度は、あるユーモアに関する文章が「自分にどの程度当てはまるか」を調査したが、本年度は、昨年度とは異なり、その文章が「どの程度よいか」を調査した。それにより、実際の自分の行動パターン(当てはまるかどうか)と自分の価値判断(よいかどうか)に違いがある場合、それを明らかにできると考えた。今年度も当初計画していた対面の心理実験ではなく、オンライン調査に方法を変更して行った。 中学生から成人の参加者を対象に、ユーモアに関する文章が「どの程度よいか」をオンラインアンケートにより検討した。①親和的ユーモア(冗談などを言って、周りを笑わせるユーモア)、②自己高揚的ユーモア(ストレスや困難に直面しても面白おかしくとらえ、自分を支えるユーモア)、③攻撃的ユーモア(からかいで、他者を批判するユーモア)、④自虐的ユーモア(他者に受け入れてもらうため、自分を過剰に低めるユーモア)について回答してもらった結果、親和的ユーモアは定型発達児者群において自閉スペクトラム症児者群よりもよいと評価されており、他の3つのユーモアにおいては自閉スペクトラム症児者群と定型発達児者群の間に差は見られなかった。昨年度の結果では、親和的ユーモアと自虐的ユーモアは定型発達児者群において自閉スペクトラム症児者群よりもよく行われていたことから、ユーモアの評価(よいかどうか)と行動パターン(自分に当てはまるかどうか)が親和的ユーモアにおいては一致しているものの(評価も行動パターンも定型発達児者群が自閉スペクトラム症児者群より高い)、自虐的ユーモアにおいては一致していないこと(評価は群ごとに変わらないが、行動パターンでは定型発達児者群が自閉スペクトラム症児者群より高い)が分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 平井 真洋; 浅田 晃佑
     
    本研究は、我々の社会・文化を形成する上で必須な社会的知覚・認知特性が「遺伝」「環境」要因によりどのような発達変化を遂げるかについて明らかにすることを目指す。このため、社会的知覚・認知特性が異なるとされる自閉スペクトラム症(ASD)ならびにウィリアムス症候群(WS)児を対象に、社会的知覚・認知特性を明らかにする課題を設計の上、社会的コミュニケーション様式が異なる日本と英国において同一課題を実施し、発達過程を直接比較する。本年度は、人物を含む自然画像を提示した際の視線計測を実施し、自発的な注意の配分がどのように異なるのか、さらには発達軌跡がどのように変化するかを検討した。結果,定型発達児は自人種の顔をよく見る傾向があるのに対し,ASD・WS児では異なるパターンを示した。今後は英国でのデータ収集の結果を待ち、日英ASD・WS児においてどのような傾向が見られるかを明らかにする。更に対人応答特性を調べるため、対人応答性尺度第二版などの質問紙調査を開始した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2017年04月 -2021年03月 
    代表者 : 葉石 光一; 大庭 重治; 池田 吉史; 浅田 晃佑
     
    知的障害者の手作業の効率を高める上で、他者がそばにいることで課題の成績が上がる社会的促進効果の応用可能性を検討した。一緒に同じ作業をする共行為者がいる場合、知的障害者の手作業の効率は向上した。しかし、合わせて観察者がいる場合、作業効率は向上しなかった。知的障害者にとって、他者の存在が作業効率を高める意味をもつが、共同して作業を行い、取り組む課題を方向づけることが重要であることが明らかとなった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 若手研究(B)
    研究期間 : 2015年04月 -2019年03月 
    代表者 : 浅田 晃佑
     
    本研究計画では、自閉スペクトラムがある人について、社会性と身体性の領域にどのような特性があるのかを検討した。従来違いがあるとされてきた社会性の領域の中にも、ある発達の段階では、自閉スペクトラムがある人と定型発達の人の間で特性に差が見られない場合があることが示唆された。一方で、ボディイメージのような身体性の領域の中に、自閉スペクトラムがある人の特性が存在する可能性が示唆された。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 研究活動スタート支援
    研究期間 : 2013年08月 -2015年03月 
    代表者 : 浅田 晃佑
     
    研究1では、自閉スペクトラム症(ASD)者のパーソナルスペースについての研究を行い、ASD者は他者に対して及び人ではない物に対して取る距離が定型発達者よりも短いという結果が得られた。また、ASD者も定型発達者も他者とアイコンタクトがある時にそうでない時よりも対人距離を長く取る傾向が見られた。研究2では、ASD者のボディイメージについての研究を行い、ASD者も定型発達者も自分の肩幅を実際の大きさよりも大きく見積もるが、その傾向はASD者で大きいことが分かった。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2011年 -2012年 
    代表者 : 浅田 晃佑
     
    2012年度は、引き続き、ウィリアムズ症候群の子どもの「はい・いいえ」の質問への回答傾向の研究の、ウィリアムズ症候群児と健常児の追加データ取得を行った。 また、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもを対象とした語用論に関する研究のデータ取得を開始した。今後も継続して定型発達児のデータを含め取得し、今年度中に結果をまとめる予定である。成人の自閉症者については、東京大学の熊谷晋一郎先生との共同研究を進めたが、予備実験の段階までしか至らなかった。今後は、本データの取得を実施する。 研究実施に加えて、国際誌への論文投稿に必須である自閉症診断観察スケジュールという技法を習得するため渡豪した。 研究理論の構築に関しては、自閉症スペクトラム障害とウィリアムズ症候群の比較という研究テーマの基礎情報をまとめるべく、「Social phenotypes of autism spectrum disorder and Williams syndrome:similarities and differences」というレビュー論文を執筆し、Frontiers in Psychologyという雑誌に掲載が許可され、既に出版された。この論文では、今まで全く異なると思われていた両疾患が、社会的認知やコミュニケーションの問題では似た傾向を持つ可能性を指摘した。それにより、人との関わりへの積極性という社会性においては異なる特徴を持つ両疾患だが、そこから類似した障害を持つに至る可能性があるという発達理論を展開した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 浅田 晃佑
     
    本年度実施した主な内容は、1.ウィリアムズ症候群(WS)児のコミュニケーション特性に関する論文の執筆及び投稿2.WS患者のコミュニケーション能力及び言語能力に関する研究データの取得及び分析3.1.2.の成果の学会発表及び海外の研究室での研究発表であった。 1.では、WS児が相手の注意に合わせて会話する傾向が健常児とは異なること、そのことが彼らのコミュニケーションの問題と関わっている可能性を指摘した論文が採択され、Research in Developmental Disabilities誌に刊行された。加えて、WS児は会話の全体量としては健常児とは変わらないが、相手の誤解を修正して意思疎通を図ることが困難である可能性を指摘した論文を投稿し、その修正を行った。この論文は、新年度ではあるが、2010年4月3日に、Journal of Neurolinguistics誌に論文が受諾され、採録が決定した。 2.では、WS児が質問に対して適切に答えることが出来るか検討することをテーマとした研究、及び、WS児・者の文法理解能力の中で特に困難を示す領域があるかどうか検討することをテーマとした研究において、2008年度から引き続きデータを取得した。 3.では、研究成果を、第14回ヨーロッパ発達心理学会にてポスター発表、日米脳研究ワークショップにてポスター発表、ロンドン大学のKarmiloff-Smith博士の研究室を訪問し今までの研究のまとめを研究会で口頭発表した。 研究成果としては、一連の研究によりWS児が人と積極的に関わろうとしつつも、話題を共有しようという能力または動機に困難を抱えるという障害背景を理論化できた点が最も意義として大きいと考える。今後も、この理論が正しいかどうかを広く伝え研究し、検証していく必要がある。

その他のリンク

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