研究者総覧

服部 徹也 (ハットリ テツヤ)

  • 文学部日本文学文化学科 准教授
Last Updated :2024/04/23

研究者情報

学位

  • 博士(文学)(慶應義塾大学)

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科研費研究者番号

  • 80823228

J-Global ID

プロフィール

  • 夏目漱石『文学論』を中心に日本近代文学と文学理論の関係を研究しています。


    現在の主な研究テーマ

    1.初期漱石における文学理論形成と創作との相互作用

        漱石『文学論』の成立過程と同時期の創作との相互作用を検証しています。現在までに、留学期の草稿群(いわゆる「文学論ノート」)から帝国大学での『文学論』講義を経て刊本『文学論』出版に際しての加筆増補に至るまでの過程を調査し、理論的変更箇所を特定し、小説『草枕』『野分』との関係を明らかにしました。調査の一環として、漱石の授業を受けた学生の受講ノート調査を行っている点にオリジナリティがあります。現在までに、現存する漱石受講ノート群を整理、紹介を行いました。


    2.日本帝国主義時代の東アジアにおける文学理論の受容

        『文学論』の東アジアでの受容について調べています。今後他の文学理論についても調査範囲を拡げたいと考えています。


    3.『漱石全集』の編纂と「文豪」漱石像・岩波文化の形成


    その他、文学理論、文芸批評、国語教育の接点に関心があります。


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研究キーワード

  • 日本近代文学   文学理論   物語論   夏目漱石   

研究分野

  • 人文・社会 / 日本文学 / 日本近代文学

経歴

  • 2023年04月 - 現在  東洋大学文学部日本文学文化学科准教授
  • 2020年04月 - 2023年03月  東洋大学文学部日本文学文化学科講師
  • 2020年04月 - 2021年03月  共立女子短期大学文科非常勤講師
  • 2018年04月 - 2021年03月  フェリス女学院大学文学部非常勤講師
  • 2019年04月 - 2020年03月  近畿大学文芸学部非常勤講師
  • 2018年04月 - 2020年03月  大谷大学任期制助教
  • 2017年04月 - 2018年03月  慶應義塾大学大学院文学研究科助教(有期・研究奨励)(非常勤)
  • 2017年04月 - 2018年03月  大妻女子大学非常勤講師
  • 2016年04月 - 2018年03月  慶應義塾志木高等学校国語科非常勤講師
  • 2013年04月 - 2015年03月  浅野学園浅野中学・高等学校国語科非常勤講師

学歴

  • 2013年04月 - 2018年03月   慶應義塾大学大学院   文学研究科   国文学専攻博士課程
  • 2011年04月 - 2013年03月   慶應義塾大学大学院   文学研究科   国文学専攻修士課程

所属学協会

  • 日本近代文学会   昭和文学会   近代文学合同研究会   三田國文の会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 高橋, 幸平; 久保, 昭博; 日高, 佳紀 ひつじ書房 2022年08月 ISBN: 9784823411625 342, xiiip
  • 戦後日本文化再考
    坪井秀人; シュテフィ・リヒター(Steffi Richter; 成田龍一; 林志弦; 訳; 渡辺直紀; 野上元; 十重田裕一; 紅野謙介; 石川肇; 大原祐治; 辛島理人; 渡辺直紀; 佐藤泉; 鳥羽耕史; 木村朗子; 五十嵐惠邦; 北浦寛之; 増田斎; 河原梓水; 片岡美有季; 田村美由紀; 光石亜由美; 服部徹也; 北中淳子; 高榮蘭; 五味渕典嗣 (担当:分担執筆範囲:【コラム】日本におけるエイズ文学)三人社 2019年10月 ISBN: 9784866912295 600 526-530 
    http://3ninsha.com/sengonihonbunka
  • 服部, 徹也 (担当:単著範囲:)新曜社 2019年09月 ISBN: 9784788516434 398p 
    「難解で知られる漱石『文学論』だが、講義を聴いた学生たちのノートから考察すると、公刊されたものはかなり不完全であることがわかる。そこから『文学論』の実像に迫り、『草枕』などの初期創作との影響関係を探る。『文学論』初めての本格的研究書。」(出版社HPより) https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b471296.html
  • 小平麻衣子; 小平 麻衣子 (担当:分担執筆範囲:[第一部 作家とメディア]『若草』から林芙美子『放浪記』へ――初期作品雑誌初出形からの変容)翰林書房 2018年02月 ISBN: 4877374183 351 26-47
  • 小森陽一; 飯田祐子; 五味渕典嗣; 佐藤泉; 佐藤裕子; 野網摩利子; 小森 陽一; 飯田 祐子; 五味渕 典嗣; 佐藤 泉; 佐藤 裕子; 野網 摩利子 (担当:分担執筆範囲:「鷹揚」,漱石文学地図(東京市内),漱石文学地図(日本列島・満鮮その他))翰林書房 2017年05月 ISBN: 4877374108 832
  • 文学研究から現代日本の批評を考える—批評・小説・ポップカルチャーをめぐって
    西田谷洋; 西田谷洋 (担当:分担執筆範囲:[Ⅲ 表現史と批評]ジャパニーズ・セオリーの「発明」――亀井秀雄『増補 感性の変革』を起点に)ひつじ書房 2017年05月 ISBN: 4894767708 368 268-288
  • オンライン版 三田文学 (編集協力)
    三田文学会; 五味渕典嗣 (担当:その他範囲:広告データベース編集協力)丸善雄松堂株式会社 2016年02月

講演・口頭発表等

  • ユートピアの掌握――『Atomic Heart』(2023)を中心に
    服部徹也
    第6回「時間・空間と想像力」研究会 2023年07月 京都産業大学 町家 学びテラス・西陣
  • 韓国学若手研究会コメンテーター  [招待講演]
    鄭基仁; 金景彩; 閔東曄; シム・ミリョン
    第4回福大韓国学シリーズ_若手研究会 2020年10月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) Zoomミーティング 柳忠熙
  • 金欑(訳述)『絶世奇談 羅賓孫漂流記』(1908)における重訳と再翻訳
    服部 徹也
    日韓大衆文学の翻訳と変容 2020年01月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) 高麗大学校 青山MK文化館 201号室 高麗大学校日韓協力事業チーム
     
    ラウンドテーブル「『ロビンソン・クルーソー』の翻訳と重訳をめぐって」 服部のほか、以下二名の発表を行ない、他の出席者をふくめた全体討議を行なった。 鄭惠英(ジョン・ヘヨン) 『ロビンソン・クルーソー』翻訳と近代朝鮮に向かった夢――崔南善の「ロビンソン無人絶島漂流記」を中心に 高橋修 『ロビンソン・クルーソー』の表象をめぐって
  • フィクション論で問い直す近代日本文学  [通常講演]
    服部 徹也; 日高佳紀; 久保昭博; 高橋幸平
    日本近代文学会・昭和文学会・日本社会文学会合同国際研究集会 2019年11月 シンポジウム・ワークショップパネル(公募)
  • 漱石のフィクション論  [通常講演]
    服部徹也
    フィクションと日本文学の研究会 2019年09月 口頭発表(一般) 同志社女子大学 
    漱石は『文学論』などの一連の論考において、「虚構」や「フィクション」という概念を今日使われるような意味で使いこなしてはいない。しかし、漱石が「文学」のしくみを「虚言」「騙す」「欺く」「催眠」などの言葉を用いて説明しようと試みているとき、そこではフィクション一般に通ずる議論が行なわれているようにみえる。そこで本発表では近年のフィクション理論との比較を通して、漱石にみえるフィクション論的思考の特徴を取り出そうと試みた。
  • Transplanting Kanji from Japanese: Secondhand Translations of Robinson Crusoe in Korea  [通常講演]
    服部徹也
    Japanese Studies Association of Australia Biennial Conference: Celebrating Diverse Perspectives 2019年07月 シンポジウム・ワークショップパネル(公募) モナッシュ大学 オーストラリア日本学会
     
    ダニエル・デフォー『ロビンソンクルーソー』の日本語訳、井上勤訳『絶世奇談 魯敏孫漂流記』(1883)にもとづく朝鮮語訳、金欑訳述『絶世奇談 羅賓孫漂流記』(1908)を例に、東アジアのポストコロニアルな翻訳状況における、漢字語を可能な限り移植しながら行う翻訳を論じた。 高橋修(共立女子大学)、朴珍英(成均館大学校)とのパネル「Postcolonialism and translation」中の口頭発表(20分間)。
  • 漱石『文学評論』における「興味の加速」――木下利玄の受講ノートを視座として  [通常講演]
    服部徹也
    第429回 国文学研究会 2019年06月 口頭発表(一般) 慶應義塾大学三田キャンパス 第一校舎124教室 慶應義塾大学文学部国文学専攻
     
    『文学評論』のもとになる「18世紀文学」講義の最終編ダニエル・デフォー論は、1907年2月頃、急に抽象的になり、「筋の組み立て」に及んだ。このテーマは、同時期に取り組んでいた『文学論』(大倉書店、1907年5月)の原稿で加筆を断念したテーマであり、講義の急な変調は朝日新聞入社とも関わると考えられる。受講ノートから講義の実態を分析し、1908年の田山花袋との論争までを視野に、新聞小説と「興味の加速」の関係を考える。
  • 逆輸入された生硬さ:張我軍訳・夏目漱石『文学論』/〈反向輸入的生硬翻譯――張我軍譯夏目漱石《文學論》〉  [招待講演]
    服部徹也
    「從帝國到冷戰的文化越境與生成」工作坊 2018年11月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) 台湾: 政治大學百年樓1樓文學院會議室 國立政治大學台灣文學研究所
     
    発表者 鄭鍾賢정종현(仁荷大學韓國語文學系教授) 李奉範이봉범(成均館大學東亞學術院教授) 鈴木暁世Suzuki Akiyo(金澤大學文學系副教授) 服部徹也Hattori Tetsuya(大谷大學文學系助理教授) 崔末順(政治大學台灣文學研究所副教授) 曾士榮(政治大學台灣文學研究所副教授) 詳細: https://tailit.nccu.edu.tw/app/news.php?Sn=868#
  • 認知物語論的テマティスム?:西田谷洋『村上春樹のフィクション』評  [招待講演]
    服部徹也
    公開読書会:西田谷洋『村上春樹のフィクション』を読む 2018年07月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等 同志社女子大学(今出川キャンパス)純正館S401 日本学術振興会科学研究費助成事業(基盤研究C)「日本近現代文学におけるフィクションの機能に関する総合的研究」(研究代表者 高橋幸平/研究課題番号17K02473)
     
    西田谷洋著『村上春樹のフィクション』(ひつじ書房、2017)についての公開合評会において、30分間の書評報告を行い、その後、著者を交えた討議に参加した。 ゲスト:西田谷洋 報告:中村三春・服部徹也 司会:高橋幸平・日高佳紀
  • 帝大講師小泉八雲――講義「読書論」「創作論」「文学と輿論」を中心に  [招待講演]
    服部徹也
    2017年度富山大学ラフカディオ・ハーン研究国際シンポジウム 日本におけるラフカディオ・ハーン 2017年12月 口頭発表(招待・特別) 富山大学 富山大学ヘルン(小泉八雲)研究会
     
    小泉八雲の帝大講義のうち、田部隆次が評伝『小泉八雲』に抄訳を掲載した三点「読書論」「創作論」「文学と輿論」に注目し、招聘にあたり外山正一が求めた「英文学を進化論の原理によって、情緒的歴史的に教えること」の内実を検討した。知識を身につけることの必要性を説くとともに、それが不可逆なものであり、知識によって損なわれてしまう「子供」のように新鮮な感性こそが芸術の理解に不可欠であるともいう八雲の文学論の撞着語法的な論理に注目し、八雲が学生に「新しい大衆文学」の作り手となるよう促した意味について考察した。
  • 日本エイズ文学論への補遺――『熊夫人の告白』を中心に――  [通常講演]
    服部徹也
    第15回共同研究会「戦後日本文化再考」 2017年12月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) 国際日本文化研究センター 国際日本文化研究センター坪井秀人研究班
     
    パネル:「セクシュアリティの戦後――〈出来事〉をめぐる想像力と欲望」 「パネル趣旨説明/セクシュアリティの戦後――〈出来事〉をめぐる想像力と欲望」光石亜由美(代表) 「ビキニ事件と『家畜人ヤプー』―」河原梓水 「核の時代における男性性へのまなざし―性的不能の表象をめぐって」田村美由紀 「日本エイズ文学論への補遺――『熊夫人の告白』を中心に」服部徹也
  • 受講生の日記からみる夏目漱石の帝大講義――受講ノート調査との接点を視座に  [通常講演]
    服部徹也
    2017年09月 口頭発表(一般) 「近代日本の日記文化と自己表象」研究会
  • 服部徹也
    Summer 2017 Workshop on Contemporary Japanese Literature and Culture at the University of Washington: Looking Back at the 1980s and 1990s 2017年08月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) Gowen 225, University of Washington, シアトル 98195 Asian Languages and Literature - University of Washington
  • 夏目金之助の「文学論」講義――漱石出発期の背景  [招待講演]
    服部徹也
    日本近代文学会2017年度春季大会 2017年05月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) 東京外国語大学 日本近代文学会
     
    夏目金之助の「文学論」講義について、受講ノートの検討により、「吾輩は猫である」(第一回)、「倫敦塔」、「カーライル博物館」を書いた1904年末から翌年初頭にかけて、すなわち作家・漱石出発期の背景でどのような講義が行われていたかを明らかにした。刊本『文学論』に収録されなかった講義箇所では、『ドン・キホーテ』や『オセロー』等の比較を通して悲劇・喜劇の受容体験に共通する、〈虚構〉に魅せられる読者の心理が論じられていたことを重視し、『文学論』の生成過程に位置付けた。
  • 漱石『文学論』の「超自然F」――「マクベスの幽霊に就て」を視座に  [通常講演]
    服部徹也
    怪異怪談研究会 2017年03月 口頭発表(一般) 明治大学駿河台キャンパス 
    「マクベスの幽霊に就て」で扱われる幽霊の「怪異/幻覚」という身分、「可視/不可視」性の問題を漱石旧蔵のFurness版、Deighton版『マクベス』の注に遡り、注にない情報も補った上で同論考の論理を取り出した。また同論考が東京帝国大学における漱石の『マクベス』講義期間中に執筆されたことを踏まえ、同時期の「文学論」講義との相互乗り入れ関係について「超自然F」を取り上げて論じた。
  • フィクションを怖がり続けるために――『怪異を魅せる』を読む  [通常講演]
    服部徹也
    『怪異の時空』合評会 2016年12月 公開講演,セミナー,チュートリアル,講習,講義等 首都大学東京 怪異怪談研究会
     
    一柳廣孝監修,飯倉義之編著『怪異の時空2:怪異を魅せる』(青弓社2016) http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-9240-7 同書シリーズ監修者・編者・執筆者ほかとの合評会セッションに招かれ、書評を行った。
  • 『倫敦塔』の写実と〈超自然〉――漱石初期評論及び『文学論』を視座に――  [通常講演]
    服部徹也
    フィクションと日本文学の研究会 2016年08月 口頭発表(一般) 同志社女子大学 
    超自然を描く『倫敦塔』にとって、初出掲載の筆者名(夏目金之助)や目次での扱い、本文末尾の「後記」とも呼べる部分などのパラテクストが果たす役割、およびテクストが劇場空間的な隠喩に導かれていることの意味を論じた。また、それらと「エイルヰンの批評」、「マクベスの幽霊に就て」、『文学論』における「写実」と「超自然」をめぐる議論との関係を論じた。
  • 張我軍訳・漱石『文学論』の底本推定とその意義――原著の本文異同調査を通して――  [通常講演]
    服部徹也
    日本文学協会 第36回研究発表大会 2016年06月 口頭発表(一般) 岩手県立大学 
    夏目漱石『文学論』(大倉書店1907)の張我軍による中国語全訳(上海:神州国光社1931。序文は周作人による)について、翻訳底本推定のために、従来未調査であった版も含めて原著の本文異同調査を行った。漱石の講義を元にした原著本文は、中川芳太郎による漢文訓読体化・日本語訳などを経た部分を含んで成立し、諸版で校訂・改訳による異同を生じている。訳文が縮刷版本文に基づいていることを示した上で、訳者・出版社についての先行研究の知見を紹介し、中国語圏における日本文学理論受容の一側面を描くための足がかりとする。
  • 〈移動する理論〉としての漱石『文学論』――張我軍による翻訳とそのコンテクストをめぐって――  [通常講演]
    服部徹也
    台日研究生工作坊:跨界與文學想像力 2016年02月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名) 台湾:國立中興大學 國立中興大學台灣文學與跨國文化研究所
     
    エドワード・サイードの〈移動する理論〉という概念を導きとして、漱石『文学論』が中国語圏で読み替えられていく事例を積極的に取りあげる必要を論じた。また張我軍訳『文学論』(神州国光社1931)について、翻訳底本についての調査の経過報告を行った。さらに翻訳動機の文脈として、中国新文学運動における漱石『文学論』の位置や岩波書店文化との関わりを視野に置く必要を示した。
  • 漱石『英文学形式論』における「Style」と「文体」  [通常講演]
    服部徹也
    日本近代文学会 国際研究集会「日本近代文学のインターセクション」 2015年11月 シンポジウム・ワークショップパネル(公募) 早稲田大学早稲田キャンパス 
    パネル発表「「Style」と「文体」の交差」 登壇者 服部徹也(パネル代表者)「漱石『英文学形式論』における「Style」と「文体」」 長瀬海「漱石が世界で読まれるとき――ジョン・ネイスン訳Light and Darkから考える 翻訳とStyleの問題」 クリス・ローウィー「『吾輩ハ猫ニナル』における文体を考える―横山悠太による文体の試み―」 栗原悠「島崎藤村を描く「感想文」/「嵐」から読む島崎藤村――一九二〇年代の「文体」の試み――」 (ディスカッサント)坪井秀人
  • 女工とモダン・ガール――林芙美子を視座に読者欄を読む  [通常講演]
    服部徹也
    「若草」研究会 2015年09月 口頭発表(一般) 
    発表概要 『若草』と林芙美子、両者の出発期を並べて見ることで、「女工」や「モダン・ガール」という表象を求める評価のモードと、読者達の投稿との関係について考察する。『若草』については橋爪健、南部修太郎が選者を務める一巻〜三巻の「感想」欄を中心とする。その他、『若草』における片岡鉄兵「モダン・ガアルの研究」、神近市子らによる「林芙美子論」についても参照する。
  • 声なき声が告げるもの――漱石『道草』における自己欺瞞としての学問――  [通常講演]
    服部徹也
    日本近代文学会 2014年05月 口頭発表(一般) 
    漱石晩年の自伝的長編『道草』を学者健三の歪んだ認知世界とその外部との交通と捉えることで、彼の陥った〈自己欺瞞〉の構造を明らかにした。とくに、『道草』には宙に浮いた誰のものともつかぬ「声なき声」がある。一つは、健三の「男らしくなさ」を責める声、もう一つは、「お前は何者なのだ」と存在理由を問う声である。健三が自らの血を啜る「書く行為」(文学)へ駆り立てられていくことを、自身を攻撃する「声なき声」を自己へ再統合することと意味付けた。

MISC

受賞

  • 2020年03月 やまなし文学賞実行委員会 樋口一葉記念第28回 やまなし文学賞(研究・評論部門)
     『はじまりの漱石ーー『文学論』と初期創作の生成』(新曜社2019) JPN publisher 
    受賞者: 服部徹也
  • 2015年11月 早稲田大学グローバルエデュケーションセンター「コリア研究」主催 韓国文学翻訳院共催 第七回韓国文学感想文コンテスト
     最優秀賞 
    受賞者: 服部徹也李光洙『無情』を対象とした小論文により受賞 http://www.waseda.jp/inst/gec/news/2015/08/26/1437/

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2020年04月 -2024年03月 
    代表者 : 菅原 祥; 木村 至聖; 番匠 健一; 田中 壮泰; 佐野 泰之; 服部 徹也; 佐々木 祐; 櫻井 悟史; 安井 大輔
     
    本年度は、コロナ禍により海外渡航および国内調査等が制約を受けたことにより、主に資料・文献研究および基本的な理論研究を行うことにより各自の研究テーマについて研究を進め、成果公開をすると同時に、オンライン研究会を2回開催し、メンバー間の研究内容の共有に努めた。まず、11月の研究会においては科研費メンバーの田中と菅原が発表を行った。田中は「居留民の文学ー1920年代の東欧とドイツを中心に」というタイトルでベルリンという都市空間をウクライナからやってきたイディッシュ語作家を中心とした「居留民の文学」を通して捉える試みを行なった。また菅原は、「産炭地をめぐる記憶と表象――ポーランドの炭鉱住宅をめぐって」というタイトルで発表を行い、ポーランドの炭鉱団地をめぐる記憶と表象の分析を行なった。3月の研究会では、研究協力者の金瑛氏(関西大学)に「 集合的記憶論と空間論の接点――アルヴァックスを中心に」というタイトルで発表を行っていただき、本科研において最重要の理論的基盤の一つであるアルヴァックスの記憶論と空間論について有益な議論を行いつつ、理解を深めることができた。 また、本科研の目標の一つである(SFをはじめとした)文学的想像力と社会学的想像力の接続を目指すという試みの一環として、「トポフィクション研究会」と題したオンライン読書会を2回開催した。9月の読書会ではモリ・カイネイ氏に劉慈欣『三体』について、1月の読書会では科研費メンバーの佐野がJ・G・バラードの高層住宅SF『ハイ・ライズ』について発表を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業(若手研究)
    研究期間 : 2019年04月 -2023年03月 
    代表者 : 服部徹也
     
    夏目漱石がなぜ日本を代表する「文豪」とされてきたか。それは、熱心な弟子達が漱石を賞賛し、本格的な『漱石全集』を編纂してきたことと関わりがある。本研究は、1924・1935年版『漱石全集』を中心に据え、書籍の廉売、文芸学術の普及・大衆化が進んだ時代に、小宮豊隆らの編集意図がどのように具体化していったか、「文豪」漱石像と岩波文化がどのように支え合って形成したかを明らかにする。 研究にあたって、岩波茂雄・小林勇旧蔵『漱石全集』編纂関連資料を整理・撮影し、監修者小宮豊隆や1920~30年代の英文学研究者らの著述を参考に分析する。また、近代文学研究の成立と文学全集編纂との関わりを検討する。
  • 東アジアにおける翻訳ディスクールの様態と受容に関する文化研究
    日本学術振興会:科学研究費助成事業(基盤研究(C))
    研究期間 : 2019年04月 -2022年03月 
    代表者 : 吉田司雄
  • 日韓における翻訳大衆文学のディスクール研究
    日本学術振興会・韓国研究財団(NRF):二国間交流事業共同研究
    研究期間 : 2018年04月 -2020年03月 
    代表者 : 日本側研究代表者; 吉田司雄; 韓国側研究代表者; 兪在眞
  • 夏目漱石『文学論』の成立過程と本文の研究
    慶應義塾大学大学院:博士課程学生研究支援プログラム
    研究期間 : 2016年04月 -2017年03月 
    代表者 : 服部徹也
     
    従来未調査であった『文学論』原稿や講義の受講ノートなどを横断的に検討し、書物としての『文学論』の成立過程を明らかにするとともに、従来未調査であった『文学論』諸本の各版本を可能な限り入手または閲覧・複写し、本文の調査を行う。

委員歴

  • 2020年04月 - 現在   筑摩書房   国語教科書編集委員
  • 2020年04月 - 現在   昭和文学会   会務委員
  • 2014年04月 - 現在   近代文学合同研究会   運営委員

担当経験のある科目

  • 文学のスタイル
    近畿大学
  • 文芸特殊講義3・8
    近畿大学
  • 文章表現学1・2
    大谷大学
  • 近代小説の世界
    フェリス女学院大学
  • 近代表現史論
    近畿大学
  • 専門の技法〈文学〉
    大谷大学
  • 学びの発見(初年次教育)
    大谷大学
  • 日本語A(表現)
    大妻女子大学
  • 現代文学演習Ⅰ・Ⅱ
    大妻女子大学
  • 高校国語科 日本語各論
    慶應義塾志木高等学校
  • 高校国語科 現代文
    浅野学園浅野中学・高等学校
  • 中学国語科 文法
    浅野学園浅野中学・高等学校
  • 高校国語科 国語総合
    慶應義塾志木高等学校

社会貢献活動

  • 社会人向け講座「『文学論』―初期創作の学問的背景―」
    期間 : 2018年12月01日
    役割 : 講師
    種別 : セミナー・ワークショップ
    主催者・発行元 : 早稲田大学エクステンションセンター早稲田校
    イベント・番組・新聞雑誌名 : オムニバス講座「漱石文学の世界:漱石作品に親しむ」(中島国彦[企画]・藤尾健剛・石原千秋・服部徹也)
    社会人・一般 早稲田大学早稲田キャンパス7号館307 社会人向けオムニバス講座の一環として、以下の通りの趣旨で90分間の講義を行った。 『文学論』は「文学とは何か?」という大きな問題に取り組んだ理論書である。『文学論』の成立過程は初期の創作活動と時期的に重なっており、実は相互に関係しあっている。初期作品の背景に、どのような漱石の学問的知見が活かされているのか。創作活動に伴って、漱石の学問はどのように変化していったのか。『文学論』の成立過程と創作との相互作用を検討することで、「漱石」という希有な文学者が誕生した背景に迫りたい。

メディア報道

  • 書評(評者:石原千秋) 服部徹也著『はじまりの漱石――『文学論』と初期創作の生成』:「漱石」が生成される現場に立ち会う試み 受講生の講義ノートの調査から漱石の『文学論』講義を復元
    報道 : 2020年08月28日
    執筆者 : 本人以外
    発行元・放送局 : 株式会社読書人
    番組・新聞雑誌 : 週刊読書人
    5 新聞・雑誌
  • やまなし文学賞 人と作品 研究・評論部門「はじまりの漱石 『文学論』と初期創作の生成」服部徹也さん
    報道 : 2020年03月11日
    執筆者 : 本人以外
    発行元・放送局 : 山梨日日新聞社
    番組・新聞雑誌 : 山梨日日新聞
    11面 新聞・雑誌 受賞作品に関するインタビュー掲載。また、同紙2020年2月29日に受賞者決定(1面)、最終選考会の様子(12面)が報道されている。受賞者決定については『毎日新聞』2020年3月8日朝刊10面でも報道。
  • 19年下半期 読書アンケート
    報道 : 2019年12月21日
    発行元・放送局 : 武久出版
    番組・新聞雑誌 : 図書新聞
     新聞・雑誌 単著『はじまりの漱石』が石原千秋氏、佐藤泉氏により取り上げられた。
  • 書評(評者:中山弘明) 服部徹也『はじまりの漱石――『文学論』と初期創作の生成』(新曜社)を読む:硬直化していた議論に新たな広がりと流動性を付与 論述はスリリングで、若々しさにあふれ驚異でもある
    報道 : 2019年11月09日
    執筆者 : 本人以外
    発行元・放送局 : 武久出版
    番組・新聞雑誌 : 図書新聞
     新聞・雑誌 中山弘明氏による書評。
  • 大波小波 夏目漱石『文学論』論
    報道 : 2019年09月
    執筆者 : 本人以外
    発行元・放送局 : 中日新聞東京本社
    番組・新聞雑誌 : 東京新聞
     新聞・雑誌 筆名「子猫」氏により、単著『はじまりの漱石』が「当時の学生たちの受講ノート精査し、東京帝国大学英文科の講師として、生徒の前で講義しながら自らの文学論を練り上げていった漱石、という新たな面を浮かび上がらせる。(略)科学的方法を前提とした上で、文学や芸術に固有の意味を探ろうとする試みは、現在においてすら十分に刺激的だろう」などと取り上げられた。

その他

  • 2017年10月 - 2017年10月  パネル発表「文学研究と言語研究のインターフェイス」企画・司会 
    2017年日本近代文学会 秋季大会2017年10月15日(日) 愛知淑徳大学 星が丘キャンパスhttp://amjls.web.fc2.com/PDF2017/taikai2017autumn.pdf 文学研究と言語研究のインターフェイス 西田谷洋・中村三春・橋本陽介・浜田 秀 (ディスカッサント)小澤 純 (司会)服部徹也
  • 2017年01月 - 2017年01月  公開研究会「研究の〈展き〉かた―日本近現代文学で博士論文を書く―」主催(共同)、司会 
    クリス・ローウィ「「文学」と「文学」の間:漢字を使わない言語で文体を考える」、佐藤未央子「谷崎潤一郎、「有機体」としての映画テクスト―戦前期映画小説/言説の文脈を再生する」、芳賀祥子「女性雑誌と文学する―雑誌の連載小説と女性読者をめぐって」、泉谷瞬「労働・異性愛主義・生殖―現代女性文学が照射する「結婚」の内実と相対化」、村上克尚「動物でつなぐ戦後文学―大江健三郎「奇妙な仕事」から出発して」、尾崎名津子「〈個〉から展く、あるいは〈編年体〉の憂鬱―織田作之助文学における〈大阪〉表象の意味付け」 司会:服部徹也・福尾晴香 主催:6070研究会、80年代の文学・批評・研究史を読む会
  • 2016年12月 - 2016年12月  近代文学合同研究会第16回シンポジウム「宮沢賢治――〈農〉という視座」、企画ワーキンググループ、司会 
    中村晋吾「「これから」の世界へ ―「グスコーブドリの伝記」における「美しさ」と自己犠牲」、構大樹「宮沢賢治における〈農聖〉イメージ ―松田甚次郎の役割―」、牧千夏「作家の見た産業組合 ―賀川豊彦・宮沢賢治・農民文学―」、村山龍「詩的アナキズムの文脈への布置 ―宮澤賢治と1920年代―」、ディスカッサント:大島丈志、司会:相澤芳亮・服部徹也
  • 2016年10月 - 2016年10月  近代文学合同研究会「第2回 若手研究者集会」、企画・司会 
    久保千裕「尾崎翠「こほろぎ嬢」論――語り手と視点人物に注目して――」(コメンテーター:小平麻衣子)、西貝怜「芥川龍之介「白」論――ご主人をめぐるたったひとつの冴えたやりかた?」(コメンテーター:副田賢二)、司会:服部徹也http://goudouken.blog66.fc2.com/blog-entry-41.html
  • 2016年07月 - 2016年07月  近代文学合同研究会 「若手研究者集会」、企画・司会 
    相澤芳亮「永代美知代「少女小説サマー、ハウス」考」 木下弦「色川武大『怪しい来客簿』の成立過程をめぐって――「私小説」と「私ノンフィクション」の接点――」 高田知佳「水村美苗『母の遺産―新聞小説―』における「横浜」のトポロジー」 山崎和 「『季刊思潮』と水村美苗――水村美苗『続明暗』試論――」 (ディスカッサント)内藤千珠子 (司会)服部徹也 研究集会趣旨等はこちら http://goudouken.blog66.fc2.com/blog-entry-40.html
  • 2015年12月 - 2015年12月  近代文学合同研究会第15回シンポジウム「昭和十年代の「芥川龍之介」――「文学のふるさと」を視座にして――」、企画ワーキンググループ・司会 
    登壇者 大原祐治「「芥川龍之介」の使い方―方法論としての「文学のふるさと」」 小谷瑛輔「普及版全集「〔題未定〕」に見る芥川龍之介の晩年」 小澤純「 昭和十年代の「芥川龍之介」と太宰治『お伽草紙』」 (ディスカッサント)副田賢二 (司会)服部徹也 シンポジウム趣旨等はこちら (http://goudouken.blog66.fc2.com/blog-entry-35.html)
  • 2015年12月 - 2015年12月  【鄭恵英の近代文学を読む】日本人研究者の『無情』感想文 
    韓国の新聞「大邱毎日新聞」のコラム【鄭恵英の近代文学を読む】にて、大邱未来大学の韓国文学研究者鄭恵英さんに拙文(第7回韓国文学感想文コンテスト最優秀賞受賞小論文「読まず嫌いという「眠り」について――李光洙『無情』を読んで――」)を取りあげていただきました(2015年12月12日,26日の二回)。 記事は以下。 http://www.imaeil.com/sub_news/sub_news_view.php?news_id=68602&yy=2015 http://www.imaeil.com/sub_news/sub_news_view.php?news_id=71223&yy=2015
  • 2014年12月 - 2014年12月  近代文学合同研究会第14回シンポジウム「大学生と文学」、企画ワーキンググループ・司会 
    登壇者 鈴木貴宇「大学生と文学――あるいは単身者たちと故郷喪失意識の変遷」 松村良「村上春樹「ノルウェイの森」の〈大学生〉と〈文学〉」 石川巧「手記のなかのヒロイズムと清らかな挫折を希求する読者たち――樺美智子『人しれず微笑まん』・奥浩平『青春の墓標』・高野悦子『二十歳の原点』――」 服部訓和「文学部生たちの冷戦――『国文学 解釈と鑑賞』・作品論・ニュークリティック」 (ディスカッサント)佐藤泉 (司会)鈴木彩・服部徹也 シンポジウム趣旨等はこちら(http://goudouken.blog66.fc2.com/blog-entry-36.html)

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