ドラッグ問題に対するリスク社会論的考察 : ハーム・リダクション政策の権力構造を焦点として(II 自由論文), 本田 宏治, 犯罪社会学研究, (31) 88 - 100, 2006年10月18日, ハーム・リダクションと呼ばれるドラッグ政策が,西欧の一部の国々において展開されている.この政策ではドラッグ使用者の摘発や検挙を一義的とせず,治療面においてもドラッグ使用者に断薬を強制しない.当該政策では,公衆衛生や社会,経済に及ぼす害を「リスク」という抽象的な変数として扱うことが一義的な課題となる.本稿では,リスク社会論の立場から当該政策を検証する.そこで着目するものが,「数え上げ」と「空間」という二つのテクノロジーである.「数え上げ」とは,全体的なドラッグ使用者の中から「リスク」グループを割り出し,プロスペクティブに介入するテクノロジーである.「空間」とは「ドラッグ」や「ドラッグ使用者」に直接関わるのではなく,それらの「リスク」が相互に折り重なる地点に介入を集約するテクノロジーである.ハーム・リダクション政策とは,この二つのテクノロジーの連動が構成する権力構造によって成り立っていると考える.
ドラッグ・アディクションからの「回復」が意味するもの--ドラッグ・コートが可視化させる「回復する主体」像, 本田 宏治, ソシオロジ, 51, (1) 87 - 101, 2006年05月
ドラッグ・アディクションからの「回復」が意味するもの 「意志」をめぐる「回復」のあり方と社会統治, 本田宏治, 保健医療社会学論集, 16, 2005年05月14日
書籍等出版物
ドラッグと刑罰なき統制―不可視化する犯罪の社会学
本田 宏治
単著生活書院 2011年03月
講演・口頭発表等
- ドラッグ使用を容認する政策と「リスク」の統制, 本田 宏治, 日本犯罪社会学会, 2015年11月22日
受賞
- 2012年10月, 日本犯罪社会学会, 奨励賞
- 2008年10月, 日本社会病理学会, 研究奨励賞
- 2007年10月, 日本犯罪社会学会, 奨励賞