都市部における共生の危機と「内発的ソーシャル・ミックス」に関する仏米比較研究
日本学術振興会:科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
研究期間 : 2018年10月 -2022年03月
代表者 : 森 千香子; 村上 一基; 南川 文里; 宮田 伊知郎
2018年度は、本研究計画の基本となる作業として、フランス・パリと米国・ニューヨークにおけるソーシャル・ミックス政策の歴史的展開に関する資料の収集をすすめた。そして、同政策の多様性とともに時間的変化について、国ごとに明らかにすることを目指した。
具体的には a) ソーシャル・ミックス政策の具体的な内容とその変化、b) ソーシャル・ミックス政策が構想された時代背景・文脈、c) 他のマイノリティ支援政策、反差別政策とのソーシャル・ミックス政策の関係、という三点について、公文書、新聞・雑誌記事などの資料を収集すると同時に、先行研究の読解を進めていった。
全体的にはフランスの事例については森と村上が、米国の事例については森と宮田、南川が中心になって進めた。また年度末には、現地に赴かないと入手が困難である資料・データの収集にあたるため、2ー3月に村上がパリに、3月に森がニューヨークに出張し、現地での資料、関連する音声・映像データなどの収集にあたった。
資料の収集と並行して、その精読と分析をすすめた。こうした中で、パリ・ニューヨークでのソーシャル・ミックス政策の展開の「重なり」と「ずれ」についての整理を進めると同時に、一見、同じように見える政策が、それぞれのナショナルな文脈においてどのように異なる意味を持っているかという点について、より深い分析が必要になる、ということが課題として明らかになった。