日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年04月 -2023年03月
代表者 : 金 勲; 鍵 直樹; 小笠原 岳; 林 基哉; 柳 宇; Lim Eunsu
調査では、空気及びハウスダストの採取と、住環境アンケートを実施している。今までの研究により空気捕集法とフィルター選定、分析法などを確立している。COVID-19の影響により、1年目は現場での空気採取が殆どできなかったが、2年目(2021年度)は住宅で96試料(26軒+9軒)、オフィス6施設(11試料)を採取・分析した。空気試料とは別に、郵送で依頼できるハウスダスト試料を174試料(61軒)、またオフィスの空調ダクト内ダスト12試料を採取し分析を終えた。
①26軒(78試料)の調査からは、寝室(夏期1.99 [EU/m3],秋期1.56 [EU/m3])が居間(夏期0.25 [EU/m3]、秋期0.61 [EU/m3])より高かった。冬期の居間濃度は夏秋期より高かい傾向を示した。 ②9軒(18試料)からは、寝室0.03~0.19 EU/m3、リビングで0.06~0.33 EU/m3であった。ダスト濃度は寝室では4,365~20,651 EU/g、リビングでは2,285~48,265 EU/gであった。ダスト濃度の平均は寝室、居間、脱衣場の順に高く、3カ所平均は夏期(11,732 [EU/g])よりも秋期(17,211 [EU/g])の方が高い。 ③オフィスでは、平均濃度0.13 (S.D. 0.19)EU/m3、最大0.63 EU/m3であり、IO比は平均1.3、最大6.3と室内濃度が高い傾向を示した。 ④オフィスのダクト内ダスト濃度は600 (S.D. 1374) EU/gとハウスダストに比べると高くはないが、最大値は4,249EU/gと住宅並の汚染が観察された。
⑤今後、換気設備の有無や掃除頻度、建物構造と空気及びダスト濃度との相関分析を行う。