日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2005年 -2007年
代表者 : 吉村 忍; 堀 宗朗; 塩谷 隆二; 山田 知典; 文屋 信太郎; 杉本 振一郎; 宮村 倫司; 大石 篤哉; 中林 靖
本研究では,原子力システムの耐震性能評価に焦点を絞り,先進計算科学に基づいた原子力システムの地震荷重負荷時の極限強度を高精度に予測する仮想耐震シミュレータの開発研究を行っている.具体的には,世界最高レベルの計算機である地球シミュレータ及び代表的なグリッド環境であるITBL上で,シュラウドや燃料集合体,制御棒などの炉内構造機器を含む原子炉容器本体及び配管系やサポート機器の応答から極限強度までを丸ごとシミュレーションできる仮想耐震シミュレータの構築を目的としている.
本研究は,東京電力・日立製作所から提供を受けた2億自由度沸騰水型圧力容器(BWR)モデルを対象に行い,地震応答解析から大規模解析結果の可視化までを地球シミュレータ上で一貫して高効率で行うシステムを開発した.また本研究では以下のことを行った.
・バランシング領域分割法に多点拘束条件を組み込む手法,及びプリプロセスで用いるツール群の開発
・非圧縮性流体解析コードの移動境界問題への対応,熱解析機能の追加
・陽解法衝撃接触解析コードの効率向上
・不均一な構造物の脆性破壊を行う数値解析手法の確立
・分離反復型連成アルゴリズムの研究開発
・流体,構造等の各単一現象解析ソフトウェアを接続するためのカップラーの開発
以上により,冷却水,熱の影響を考慮した地震応答解析をパラメトリックに行い,BWR設計開発に貢献するための一連のシステムが完成した.