日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
研究期間 : 2018年04月 -2022年03月
代表者 : 彼末 一之; 内田 雄介; 桜井 良太; 小林 海; 永見 智行; 加藤 孝基; 村岡 哲郎; 依田 珠江; 中田 大貴; 大室 康平; 中島 剛; 樋口 貴俊; 坂本 将基; 水口 暢章; 中川 剣人
脳神経科学的な視点をス ポーツの指導/学習に取り入れることを目指し、その研究モデルとして日常にはない複雑な動作の習得が必要なスキーを取り上げる。先ずスキー滑走時の様々なパラメータを総合的に測定する系を確立する。そして、「運動イメ ージ」と「協調運動」についての知見に基づき、リアルタイムフィードバックを中心としたスキー技術の学習を 支援する手法を開発する。本研究はこれまで経験に頼りがちであったスキー指導に科学的根拠を与えてくれる。
本年度は冬に行う測定が雪や天候の影響を強く受けるので、夏にサマーゲレンデで測定を行い。冬のデータと比較することで、サマーゲレンデの特徴、また雪上でのスキーと共通する知見が得られるかを検討した。実験は,ウイングヒルズ白鳥リゾート(岐阜県)にて行われた.ここは樹枝状の突起物をマットを用い,スキー板のエッジに対して抵抗を作り出し,ターン動作を可能にするようになっている.使用コースは全長1000m,平均傾斜12 °,最大傾斜15 °の初心者コースであった。一流のスキーヤーを被験者として「小回り」を行ったときの脚筋電図、足圧測定とビデオ撮影を行った。本研究に先立って,冬季の測定を雪上にて行ったが,足圧に関しては雪上とサマーゲレンデで同様の結果を示した,筋活動についてはさらに検討していく必要があるが,サマーゲレンデで得られた本研究の知見は,雪上でのスキー指導に還元することができると考えられる.また,本研究を通して,サマーゲレンデという環境が測定実験として好ましい条件を多く持っていることが明らかになった。
本研究で,サマースキーゲレンデにおけるスキー滑走を多角的な指標から解析することができた.また,基礎スキーと競技スキーという異なる性質を持つスキーヤーの動作的特徴を検討するための指標の一つとして,足圧の変化が有用である可能性が示唆された.