研究者総覧

堀内 俊郎 (ホリウチ トシオ)

  • 文学部東洋思想文化学科 教授
  • 文学研究科インド哲学仏教学専攻 教授
  • 東洋学研究所 研究員
Last Updated :2025/05/21

研究者情報

学位

  • 博士 (文学)(2007年03月)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 60600187

J-Global ID

研究キーワード

  • 経典解釈   大乗仏教   サンスクリット写本   

研究分野

  • 人文・社会 / 中国哲学、印度哲学、仏教学

研究活動情報

論文

書籍

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2017年04月 -2023年03月 
    代表者 : 上野 牧生; 堀内 俊郎
     
    [研究目的]本研究は、5世紀頃のインド文化圏で活動した仏教僧ヴァスバンドゥ(世親)の著作である『釈軌論』を対象とした総合的研究である。『釈軌論』は説一切有部に伝承された経典解釈方法論を体系化した大著であり、5世紀頃までの北西インド仏教圏域における経典解釈方法論の集大成に位置づけられる重要文献のひとつである。本研究の最終目標は、チベット訳『釈軌論』の批判的校訂テクストと、その邦語訳注を完成させることである。
    [研究実施状況]五ヵ年計画の最終年度にあたる2021年度は、『三啓集』をはじめとする新出サンスクリット仏教文献から、『釈軌論』『釈軌論注』に引用される阿含経典と、馬鳴詩をはじめとする引用韻文を数多く回収することができた。そのため、従来は未解明であった数多くの用例についてその出典を比定することができた。 なお、そうした新出サンスクリット仏教文献の登場により、本研究の目的をより精緻に達成するための研究の実施が可能となったため、研究計画を延長する。
    [研究成果概要]2021年6月30日、『釈軌論』第5章に引用される法滅偈のサンスクリット原文を『三啓集』から回収し、馬鳴から世親へと至る系譜の一考察を『仏教学セミナー』第113号にて公表した。2021年9月4日、『釈軌論』第5章に引用される無常偈の出典をアシュヴァゴーシャ(馬鳴)の『ブッダチャリタ』に特定し、さらに『釈軌論』末尾に引用される『荘厳経論』の2偈について、アサンガ(無著)『大乗荘厳経論』XII.6との関連性を指摘する発表を日本印度学仏教学会第72回学術大会(大谷大学・オンラインリモート会議システムによる開催)にて行った。2021年3月25日、先の研究発表の内容を英語論文として『印度学仏教学研究』第70巻第3号にて公表した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2016年04月 -2023年03月 
    代表者 : 堀内 俊郎
     
    『楞伽経』の最新のサンスクリット写本研究の成果にもとづいて本研究は多少の軌道修正を行ったが、遅れつつも、着実に研究を遂行している。すなわち、『楞伽経』については、最古の貝葉写本であるT1写本が最も重要であろうと思われたのだが、それ以外に年代が古く重要な写本が明らかとなってきたので、それらも参照する必要性が出てきたということである。 そのようななか、今年度は、第2章について、写本の再検討とチベット語として残る注釈書の再検討、吟味を行うことにより、従来未解明であった術語や思想を明らかにすることができた。その成果発表として、オンラインにより開催された研究会にて、『楞伽経』第2章のある一節についての研究成果を発表した。具体的には、本研究で主眼としている唯一の貝葉写本であるT1写本や、最近の研究で明らかとなった古いサンスクリット写本、チベット語訳、さらにはジュニャーニャシュリーバドラとジュニャーニャヴァジュラによるチベット語として残る2注釈書を参照することによって、当該箇所のテクストの読み直し、解読、思想の解明を行った。このように、年度内にはオンライン研究会での口頭発表を行ったが、来年度には論文として発表予定である。その他の箇所についても着実に作業を進めている。ただ、コロナ禍で実地での学会などの機会がないため、進捗は多少遅れていると言わざるを得ない。しかしながら、写本の読み直しによって着実に従来の校訂本への修正を行うことができてきていることは確かである。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2018年 -2022年 
    代表者 : 堀内 俊郎
     
    所期の目的に沿う形で『楞伽経』を基盤とした国際的なサンスクリット写本研究のネットワークの構築を継続している。ただ、コロナ禍のため今年度は海外共同研究者の研究機関に行って対面で共同研究を行うことができず、その点で研究は多少遅れているといわざるを得ない。しかしながら、海外共同研究者と連絡を取りつつ、『楞伽経』、『大乗荘厳経論』、『決定義経注』、『阿毘達磨集論』関連文献、『般若心経』注釈文献など、さまざまな文献について、主にサンスクリット写本に基づくテクストの読み直しを行い、着実な成果を上げた。 具体的には、3本の英語論文、1本の日本語論文、1回の国際会議での発表を行い、広く国際的に成果を問うことができた。オンラインで行われた「東方唯識学年会」では、『大乗荘厳経論釈』の翻訳問題について論じた。その成果は英語での論文として発表された。別の論文では『般若心経』注釈文献の吟味を行い、インド撰述とされる2つの文献はチベット撰述であることを論証した。さらにまた別の論文では写本に基づきつつ、『阿毘達磨集論』とその関連文献のテキストや術語の問題について論じた。他方、ヴィマラミトラによる『般若心経』注釈文献についても解読を継続した。玄奘訳で「菩提薩(土+垂)。依般若波羅蜜多故」とされる箇所のサンスクリットの読解には様々な議論があったのだが、ヴィマラミトラは菩薩を主語として理解していることを明らかにした。また、オンラインで何度か研究会を行い、成果を共有した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 堀内 俊郎
     
    世親(Vasubandhu)の手になる『釈軌論』第2章について、主に訳注研究を行った。世親は同章で103の経節を阿含(アーガマ)から引用して解釈するが、その103の経節のうち、ほぼすべてを現存の阿含・ニカーヤに出典を求めることができた。もっとも多いのが『雑阿含』で、次いで『中阿含』(前者の半分ほど)であり、『長阿含』からは二経のみであった。そして、その出典比定により、サンスクリット原語を想定しながらの正確な訳読を目指した。和訳注の全貌に関しては、2014年中にまとめて書籍の形で刊行する予定であり、それに向けて引き続き訳語や書式の統一や索引作成を行っている。

その他のリンク

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