日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
研究期間 : 2012年 -2013年
代表者 : 金原 大植
昨年度の研究で求めた, パテント競争と水平的R&Dを組み合わせた内生的成長モデルに外生的に効率労働量増加を仮定したモデルの(成長率が結果として外生的に定まる)準内生的な均整成長経路の大域的安定性が中間財需要の弾力性が無限大のケースでは満たされないことを証明し, さらにそのような均整成長経路が存在する際には経済のdynamical systemがエルゴードカオスになることを示した. これはこれまでの知識の外部性に立脚したJones (1995) Arnold (2006)の均整成長経路と経路上の性質は酷似しているものの安定性に関しては対極的な結果と言える. また外生的に効率労働量増加の下でもR&Dが生じず, 経済が停滞する貧困の罠均衡が存在することが示された, さらにあるパラメーター範囲の下で均整成長経路以外の全ての初期点で経済が貧困の罠に至る経路が存在することも示された.
2部門3要素Leontiefモデルにおけるエルゴードカオスの存在証明に関しては, 要素の完全利用経路が一意に最適政策対応になっていることを証明したうえで, エルゴードカオスが存在するための十分条件に関して導出を終えている. なおこちらの研究は共同研究者佐藤健治氏により13th SAET Conference on Current Trends in Economics MINES Paris TechでComplex Dynamics in a Two-Sector Optimal Growth Model with Three Production Factorsのタイトルで研究報告が行われた.