日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
研究期間 : 2021年07月 -2024年03月
代表者 : 斎藤 里美; 木村 元; 額賀 美紗子; 堀本 麻由子; 山名 淳; 高橋 史子
本研究は、公教育における先端技術の導入がマイノリティの子どもや教師・学校、家族・地域・市民社会に及ぼす影響(構造変容等)を理論的・ 実証的に明らかにし、マイノリティの包摂可能性を明示することを目的としている。2021年度はとくに、次の3つのサブテーマを掲げ、研究を行った。
第1は「移民の社会統合における公教育の役割-ウィズ/ポストコロナ時代における包摂的な政策と実践を展望する-」(額賀美紗子と高橋史子が担当)、第2は「コミュニティ形成における協同と教育の再検討」(堀本麻由子と山名淳が担当)、第3は「技術革新とエンハンスメントの時代における教育学の課題―「個別最適化された学び」は公教育に何をもたらすか―」(木村元と斎藤里美が担当)である。いずれも日本教育学会第80回大会(2021年8月)において課題研究を組織し、シンポジスト、指定討論者、および多数の参加者をまじえて討議を行った。これらの成果については、日本教育学会の『教育学研究』において公開予定である。
また、移民の社会統合プロセスを解明するため、移民第二世代の若者たちの経験がどのような教育・職業達成にむすびついたかを、とくに移民第二世代の中の多様性に着目しながら考察した。具体的には、このテーマで膨大な調査データを報告した先行研究『日本社会の移民第二世代―エスニシティ間比較でとらえる「ニューカマー」の子どもたちの今』をグループ全体で分析考察し、研究の枠組みを深めた。
さらに2021年度後半には、公教育における先端技術導入とマイノリティの包摂可能性に関する実証的研究として、離島におけるICT活用が及ぼす公教育とコミュニティ形成への影響に関する調査を実施した。具体的には、山名および堀本が隠岐島前教育魅力化プロジェクト関係者へのインタビュー調査と関係各所への訪問調査を行った。またその調査結果を本研究グループで報告し、共有をはかった。