日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
研究期間 : 2019年04月 -2023年03月
代表者 : 山崎 眞紀子; 石川 照子; 宜野座 菜央見; 須藤 瑞代; 江上 幸子; 中山 文; 渡辺 千尋; 山出 裕子
2021年度も『女声』を丁寧に読み込む研究定例会を偶数月において開催し、各自の論点による記事分析を行った。本年度はじめから毎回二期(月刊誌二か月分)分の分析から三期分(月刊誌三か月分)へとスピ―ドアップし、4月は第二巻六期、七期、八期の分析から開始した。6月は第二巻第九期、十期、十一期を、8月は第二巻十二期、第三巻一期、二期を分析。10月には第三巻第三期、四期、五期を、12月は第三巻第六期、七期、八期を、2022年2月は第三巻九期、十期、十一期を分析し終えた。新年度の4月には残りの三か月分を残すのみとなり順調に進んでいる。
年度当初による計画では、夏期に合宿を行い、各担当者によるテーマ別(論文で扱うもの)論文の中間発表会を行う予定であったが、新型コロナ感染症予防によって実現せず、奇数月の2022年9月と11月、2022年1月に振り替えて行った。9月に江上が関露論を山崎が田村俊子論を行い、11月は宜野座が映画論を、姚が子ども欄、特に日本人が著した童話作品欄の分析を、2022年1月には『女声』発刊当時の中国上海の国際状況を石川が、国際新聞欄の分析を渡辺が行った。同年3月は汪政権寄りの同時代の中国語女性雑誌と『女声』と比較する研究を須藤が、中山は演劇論の分析をした。
昨年度、研究会メンバーに諮り、合議されていた講演会を2回行った。2021年5月30日に『昭和文学の上海体験』を単著にもつ、関西学院大学の大橋毅彦教授を招き、当時、上海で中国語翻訳者として抜群の力を有していた室伏クララについて「室伏クララの『日記』から見えてくるもの」で講演。質疑応答を含め3時間実施。同年10月16日には東京大学の鈴木将久教授を招き、『女声』編集長の田村俊子とも親交が深く日本での長い留学経験をもち、『女声』にも多く投稿していた陶晶孫について、「日本占領下上海の陶晶孫」とのタイトルでの講演会を開催した。