アライメント調整不良が大腿義足歩行に及ぼす影響-ソケット内転角について-
日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2018年04月 -2021年03月
代表者 : 郷 貴博; 東江 由起夫; 勝平 純司; 須田 裕紀
本研究の目的は、大腿義足歩行においてソケット内転角のアライメント不良の場合に現れる異常歩行および代償動作を客観的に分析し、その歩行特徴について報告することである。具体的には大腿切断者を対象に、ソケット内転角が適切な場合と角度がそれぞれ過大・不足の場合の3条件にて大腿義足歩行を三次元動作解析にて計測し、このときに現れる異常歩行および代償動作を客観的に明らかにすることである。これを達成するためには三次元動作解析装置を用い、一定の条件下において大腿義足歩行を計測する必要がある。また被験者は実際の大腿切断者を対象とし、個々の被験者に適合させた大腿義足ソケットの製作が必要であると考えていた。したがって本年度は確実に計測を実施するための機器設備および義足構成部品を整え、実験計測用の義足ソケットの製作を実施した。
計測システムは新潟医療福祉大学に所有される三次元動作解析装置および床反力計を使用するため消耗品以外の新たな購入や調整は不要である。しかし計測に用いる大腿義足は個々の被験者に適合したものを製作・調整する必要があったため、アライメント調整用部品と最低限の構成要素部品を購入し、実験計測の準備を進めた。また意図しない異常歩行・代表動作を避けるため、計測用義足は被験者に適合したソケットを用いる必要がある。そこで本研究への参加に承諾の得られた被験者を対象に義足ソケットを製作した。さらに本計測の際のソケット角度条件について、適切な角度および調整不良による不適切な角度を含む3条件の設定を予備実験にて決定した。
また本研究に関連する情報を収集するために国際学会へ参加し、学会発表を通じた情報収集と、有識者との意見交換を行い、今後の研究方策について検討した。