研究者総覧

竹田 麻里 (タケダ マリ)

  • 食環境科学部フードデータサイエンス学科 教授
  • 食環境科学研究科食環境科学専攻 教授
Last Updated :2025/04/25

研究者情報

学位

  • 博士(農学)(2008年03月 東京大学)

J-Global ID

研究分野

  • 人文・社会 / 食料農業経済

経歴

  • 2025年04月 - 現在  東洋大学食環境科学部 フードデータサイエンス学科教授
  • 2024年04月 - 2025年03月  東洋大学食環境科学部 フードデータサイエンス学科准教授
  • 2022年10月 - 2024年03月  東京大学大学院農学生命科学研究科特任研究員
  • 2017年09月 - 2024年03月  学習院女子大学国際コミュニケーション学科非常勤講師
  • 2016年04月 - 2023年03月  神奈川大学経済学部非常勤講師
  • 2015年10月 - 2022年09月  東京大学大学院農学生命科学研究科助教
  • 2015年08月 - 2015年09月  東京大学大学院農学生命科学研究科特任助教
  • 2013年07月 - 2015年07月  独立行政法人日本学術振興会特別研究員(RPD)
  • 2008年08月 - 2012年02月  東京大学大学院新領域創成科学研究科助教
  • 2004年04月 - 2007年03月  日本学術振興会特別研究員(DC)

学歴

  • 2004年04月 - 2008年03月   東京大学   大学院農学生命科学研究科博士後期課程
  • 2002年04月 - 2004年03月   東京大学   大学院農学生命科学研究科農業・資源経済学専攻修士課程
  • 2000年04月 - 2002年03月   東京大学   農学部 開発政策・経済学専修
  • 1998年04月 - 2000年03月   東京大学   文科三類

所属学協会

  • 日本農業経済学会   日本フードシステム学会   農村計画学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 中山間地域フォーラム; 佐藤, 洋平; 生源寺, 真一 (担当:共著範囲:第三章 新技術の活用、日本型直接支払制度)農山漁村文化協会 2022年03月 ISBN: 9784540212376 177p
  • The Cultural Dynamics in Water Management from Ancient History to the Present Age
    Mari Takeda (担当:共著範囲:Agricultural Water Management Customs in Japan: Adaptive Changes, Recent Trends, and Future Issues)IWA Publishing 2021年05月
  • 17-19 リンケージデータによる地域分析 『農業経済学事典』
    (担当:共著範囲:)朝倉書店 2019年11月 ISBN: 4621304577
  • 農林水産省 (担当:共著範囲:第3章第2節農村政策と農業集落・農村地域)農林統計協会 2018年04月 ISBN: 4541041863 416
  • 荘林, 幹太郎; 木下, 幸雄; 竹田, 麻里 農林統計協会 2012年01月 ISBN: 9784541037985 ix, 236p
  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系 (担当:範囲:竹田麻里「3.3 水配分の制度設計:比較制度分析の視点」)朝倉書店 2011年03月 ISBN: 9784254185331 vii, 204p
  • 現代のむら
    坪井伸広; 大内雅利; 小田切徳美; 共著者; 大内雅利; 工藤清光; 川手督也; 小田切徳美; 田邊和佳子; 有本寛; 竹田麻里; 図司直也; 山下詠子; 山浦陽一; 金子いずみ; 宮西郁美; 中嶋晋作; 氏家清和; 竹本太郎; 齊藤昌彦 (担当:範囲:第8章 水利とむら)農山漁村文化協会 2009年03月 ISBN: 9784540071355
  • 愛知用水土地改良区誌「研究編」
    中嶋康博; 竹田麻里 (担当:範囲:第5章 愛知用水と地域対応)愛知用水土地改良区 2005年01月

講演・口頭発表等

  • フードデータサイエンスって何?
    竹田麻里
    東洋大学公開講座2024
  • フードデータサイエンスの魅力と可能性
    竹田麻里
    東洋大学朝霞キャンパス開設式
  • PESの類型と動向
    竹田麻里
    多様な主体による生態系サービス支払いの可能性を探る 2023年11月 シンポジウム・ワークショップパネル(指名)
  • 農業集落調査問題を考える
    竹田麻里
    農村計画学会2022年度秋期大会ミニシンポジウム 2022年12月
  • 農地周辺の水環境保全や水資源の効率的な利用を促進する経済的手法  [招待講演]
    竹田麻里
    第 37 回日本農業工学会秋季シンポジウム 「地球環境の持続性に向けた人と自然の新たな関係性」
  • A Social Experiment of Auction for Water Conservation Contracts: Lessons from Japan
    Mari Takeda; Daisuke Takahashi; Mikitaro Shobayashi
    法政大学比較経済研究 所主催「生物多様性のための農業環境支払い 国際シンポジウム」(講演) 法政大学(東京) 2019年03月
  • 農村地域資源政策の定量的評価の現状と課題
    竹田麻里
    農業農村工学会 農業農村整備政策研究部会 2018年01月
  • Recent Innovations in agricultural water management in Japan  [招待講演]
    Mari Takeda
    Korea Water Forum (KWF), 1st Asia International Water Week, Gyeongju, Korea 2017年09月
  • DIDを用いた多面的機能支払のプログラム評価-政策効果の多面性・地域性に着目して-
    竹田麻里
    2018年度日本農業経済学会大会 2017年05月
  • 奥野はるな・竹田麻里・中嶋康博「環境保全型農業の取組みの動向と規定要因に関する定量的検討 -農林業センサスを用いたパネルデータ分析-」
    竹田麻里
    農村計画学会2017年度春季大会学術研究発表会(ポスターセッション) 2017年04月
  • Water portfolio and land lease contract: Evidence from Upper East Bank of Chao Phraya Delta, Thailand
    Mari Takeda; Kazunari Tsukada
    Proceeding of Asian Society of Agricultural Economics, The 9th ASAE International Conference, Bangkok, Thailand. 2017年01月
  • 需要主導型水管理方式の導入による取水安定効果の実証分析
    高野真広; 竹田麻里; 西原是良; 中嶋康博
    農村計画学会春期大会学術研究発表会要旨集 2017年
  • 集落による末端農業用排水路の維持管理の義務者の選択構造 -農業集落カードを利用したパネルデータ分析-
    竹田麻里
    2015年度日本農業経済学会.(個別報告) 2015年03月
  • チャオプラヤデルタ農村における出入作と灌漑管理の共同行動
    竹田麻里
    農村計画学会2016年度春季大会学術研究発表会(ポスターセッション) 2015年03月
  • Long-term characteristics of dry season water allocation in the Chao Phraya River basin, Thailand: Implications for comparative institutional analysis of water governance
    2014 Asian Symposium on Water, Sanitation and Hygiene (Hiroshima, Japan) 2014年08月
  • 農業水利の社会ネットワーク分析 -GIS を活用した数量的手法の提案-
    竹田麻里
    2011年度農村計画学会秋期大会.九州大学(福岡) 2011年11月
  • 一元的用水配水システムの成立要因に関する考察-長野県飯山市外様地区の水掛人システムを事例に-
    竹田麻里
    2005年度日本農業経済学会.北海道大学, (北海道) 2005年
  • 水資源の部門間再配分に関する経済学的考察
    竹田麻里
    2004年度日本農業経済学会(日本大学) 2004年03月

MISC

  • 談話室 世代を超えて農業の基盤を受け継ぐために
    竹田麻里 農林金融 77 (5) 40 -41 2024年05月
  • 竹田麻里; 井上果子 農村計画学会誌 41 (4) 188 -190 2023年03月
  • 書評 黒沼善博著 『地下ダムと島の環境経済学』
    竹田麻里 農業経済研究 94 (2) 2022年06月
  • Francesco Di IACOVO; Bettina B. BOCK; Jeremy PHILLIPSON; Mikitaro SHOBAYASHI; Miki NAKANO; Mari TAKEDA; Kako INOUE 農村計画学会誌 = Journal of rural planning / 農村計画学会 編 40 (2) 86 -108 2021年09月
  • 書評 福与徳文著(2021)『災害に強い地域づくり 地域社会の内発性と計画』
    竹田麻里 農業経済研究 93 (1) 102 -104 2021年06月
  • 第5章 集団的オークション社会実験成果の分析と評価
    竹田麻里,高橋大輔,荘林幹太郎,木下幸雄, 農林水産政策科学研究委託事業報告書 農業分野における資源・環境保全のための総合的政策の構築にかかわる研究 2012年03月
  • 第3章 農業環境・資源政策分析枠組みの構築
    荘林幹太郎; 木下幸雄; 竹田麻里; 高橋大輔 農林水産政策科学研究委託事業報告書 農業分野における資源・環境保全のための総合的政策の構築にかかわる研究 2012年03月
  • 第2章 先進諸国実態を踏まえた横断的比較
    荘林幹太郎; 木下幸雄; 竹田麻里; 高橋大輔 農林水産政策科学研究委託事業報告書 農業分野における資源・環境保全のための総合的政策の構築にかかわる研究 2012年03月
  • 社会的ネットワークの活用による効果的な合意形成手法
    中嶋康博; 竹田麻里; 西原是良 農業水利施設の機能保全のための研究成果の活用の手引き 75 -85 2012年02月
  • 都市・農村間の協調による農村共有資源の保全・管理:わが国における水利転用の事例分析
    伊藤順一; 竹田麻里 『農業・農村における多面的機能の評価と保全(続編) 多面的機能プロジェクト研究資料』農林水産政策研究所 (第3号) 1 -37 2007年03月
  • 農業用水路を利用した環境用水水利権の取得過程
    竹田麻里 『農業水利基本調査 農業水利問題検討調査「地域用水」』((財)日本水土総合研究所 67 -88 2006年03月
  • 地域住民主体の用排水路管理体制の再編と課題
    竹田麻里 『農業水利基本調査 農業水利問題検討調査「地域用水」』((財)日本水土総合研究所 34 -51 2006年03月
  • 機能集団としての集落ぐるみ型生産組織の諸側面:外様・柳原地区の比較研究
    中嶋晋作; 竹田麻里; 林薫平 『農業生産の構造変化と農村地域資源マネジメント(後編)』(農業共済総合研究所) 67 -78 2006年03月
  • 一元的用水配分システムの形成
    竹田麻里; 林薫平; 中嶋晋作 『農業生産の構造変化と農村地域資源マネジメント(後編) 』農業共済総合研究所 45 -63 2006年03月
  • 集落の組織と実態
    竹田麻里; 中嶋晋作 『農業生産の構造変化と農村地域資源マネジメント(後編)』(農業共済総合研究所 31 -43 2006年03月
  • 中山間地域農業の構造変化と水利用調整・水利施設管理
    竹田麻里 『農業生産の構造変化と農村地域資源マネジメント(前編)』農業共済総合研究所 51 -80 2005年03月
  • 農業用水路を利用して通水する環境用水水利権の取得と維持管理体制の構築
    竹田麻里 『農業水利基本調査 農業水利問題検討調査「地域用水」』((財)日本農業土木総合研究所 313 -354 2005年03月
  • 地域用水の開発の歴史と保全組織の多様性
    竹田麻里 『農業水利基本調査 農業水利問題検討調査「地域用水」』((財)日本農業土木総合研究所 299 -312 2005年03月

受賞

  • 2008年03月 東京大学大学院農学生命科学研究科 東京大学大学院農学生命科学研究科 研究科長賞
     水資源をめぐる管理・配分システムの制度分析 -農業セクターを中心に-

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(A)
    研究期間 : 2020年04月 -2025年03月 
    代表者 : 中嶋 康博; 中谷 朋昭; 飯田 俊彰; 海津 裕; 橋本 禅; 竹田 麻里; 村上 智明; 佐藤 赳; 中嶋 晋作
     
    コロナ禍による活動の制限が緩和される中、以下の通り研究を行うことができた。①青果物流通機構の機能分化と再編の研究として、荷受業者や仲卸業者、市場外の物流業者の新たな活動と戦略について実態調査を行った。②WEBアンケートで収集した消費者調査結果の分析から、食の価値の重視度に個人の異質性が認められたので、個人属性とその重視度との関係についての解析を行なった。モデルの推定には大規模なシミュレーションが必要になり、膨大な計算機資源が求められることから、変数群の選択に工夫をしながら引き続き検討を行った。③農用車両の自動化に関する研究として、LiDAR-SLAM技術やGNSSを用いて、高精度な自己位置測定および自動運転が可能であるかについて検証を行った。また樹木を避けて走行できるルート設定を自動で行うアルゴリズムの開発を行った。④北海道の草地資源の測定を続け、リモートセンシングデータの解析による飼料用農地面積の推定や作付け、植生のデータを蓄積した。あわせて圃場データのデジタル化やロボット搾乳等のソフト・ハード両面での最新の酪農経営支援技術について聞き取り調査や意見交換を行った。⑤ICTをすでに導入している、もしくは導入の意向がある北海道・東北・北陸の300ha以上の土地改良区373地区を対象にアンケート調査を実施した。⑥換地モデルの検討において、実際のGIS圃場データを対象にシミュレーションした結果、DA(deferred acceptance)アルゴリズムが最も優れた農地集積マッチングの方式であることを確認した。⑦前年度に現地圃場に導入した遠隔操作システム(遠隔操作型給水栓および自動給排水栓)で明らかになった課題を踏まえて、給水操作方法を変更して、湛水水温の低減させることが可能かどうかの検証を行った。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 荘林 幹太郎; 田村 典江; 竹田 麻里
     
    本年度の実施を予定していた自治体職員に対するワークショップ及び英国調査がいずれもコロナ禍により実施できなかった。このため、昨年度に引き続き農林水産省の各種補助事業の外形的裁量度を補助交付金要綱等から分析する作業を行うとともに、自治体職員に対するインタビューをオンラインで行い、補助事業に関する業務内容をヒアリングし、ワークショップのための準備作業を行った。比較の対象とするEUについては、英国調査を実施できなかったことから、共通農業政策の見直しによる「中央」に対する「加盟国」という観点での地方裁量の増加に関しての調査を本研究を補足するために行った。新しい共通農業政策においては、第一の柱と第二の柱を包含した内容の戦略計画を各国は作成することとなっている。これまでは、第二の柱部分に対して農村振興計画を策定することとなっており、農村振興計画は国によっては自治体単位の作成となっていた。そのような点からは自治体単位での農村振興計画の策定を行っていた国にとっては、国単位の戦略計画の策定が、自治体と国との関係性を変化させる可能性はあるものの、その変化については各国が作成する戦略計画の内容に依存することから裁量度の変化の見極めが困難なことを把握した。
  • 情報を食べる消費者:エシカル消費の観点からの食文化論
    味の素食の文化研究センター:2020年度食の文化研究助成
    研究期間 : 2021年04月 -2022年03月
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2018年04月 -2021年03月 
    代表者 : 竹田 麻里; 荘林 幹太郎
     
    今年度は国内における①灌漑用水の従量課金制のパネルデータ分析に必要なデータセットの構築と②大規模経営体の区画選択行動の定量的分析のための予備調査および資料収集を行った。 ①については、調査対象の土地改良区での複数回の調査により、10年~30年におよぶ灌漑水量、降水量、農地1筆ごとの品種・作付、耕作者等のGISデータ、揚水にかかる電気料金の変動と土地改良区の収支状況に関するを収集・整理した。農地集積および作付品種の多様化が進展していることが判明し、これらの営農環境の変化を前提に、電気料金の変動が節水行動に結びついているかを実証的に明らかにするための予備的考察として、データの時系列特性の考察にとりかかかっている。 ②については、国内の圃場区画変更に関わる制度の整理および文献調査を行った。また、調査対象の土地改良区における区画形状のデータ保存状況および調査協力対象農家の選定に関する打ち合わせを行い、区画選択を決定づける要素として、区画変更の補助制度の利用状況、農地の立地条件、労働力保有状況などの条件が複合していることを確認した、また、次年度における調査計画を作成・共有し、具体的な調査対象農家のリストアップおよび土地改良区におけるGISデータベースでの土地利用データの借用に関する打ち合わせを行った。 海外調査については、イタリアおよびアメリカを対象に検討を行ったが、本調査は次年度に行うこととした。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2016年04月 -2019年03月 
    代表者 : 生源寺 眞一; 中嶋 康博; 鈴木 宣弘; 荘林 幹太郎; 茂野 隆一; 伊藤 順一; 渡辺 靖仁; 森田 明; 小野 洋; 小嶋 大造; 氏家 清和; 松井 隆宏; 中嶋 晋作; 竹田 麻里; 村上 智明; 西原 是良; 山田 七絵; 川村 保; 万木 孝雄
     
    本研究では、戦後わが国の農政改革を対象にして、その形成過程における政治・経済的背景、国際的な農政改革、政策間の相互連関構造を参照しながら、改革の成果と限界を検証した。加えて、一連の農政改革が今後の日本農業にどのような影響を与えるかを考察した。そのために農政改革の評価に関する分析のフレームワークの見直しを進めながら、主要な農業制度・政策を網羅的に扱い、経時的な変遷や制度間の相互関係、政策形成過程を検討し、インパクト評価型の政策効果分析などの適用を試みた。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
    研究期間 : 2015年04月 -2018年03月 
    代表者 : 中嶋 康博; 村上 智明; 竹田 麻里; 西原 是良; 今井 麻子; 高野 真広
     
    わが国の農業は大きな転換期を迎えている。その中で注目すべき動きは農業サービス事業体の発展であり、生産プロセスの一部を経営から切り離し、外部の事業者に作業を請け負わせるビジネスモデルの創生である。新たな農業水利サービスの提供、酪農のコントラクター活動、サトウキビの収穫作業の受託事業者の実態をサービス科学の枠組みを利用しながら、定性的、定量的に分析を行った。これらの取り組みが真の構造改革に結びつくには、どのような経済的課題があるかについても一部検討した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2013年04月 -2016年03月 
    代表者 : 竹田 麻里
     
    平成27年度は,タイ王国チャオプラヤデルタ東北部の農村を対象に,農業水利の社会ネットワークを構築し,日本との比較を行った。その結果,日本でもデルタ農村でも,灌漑管理の基礎的単位は集落であるという共通性がある一方,デルタ農村では日本に比べて出入作が多く,圃場条件等を考慮してもなお,隣接圃場の耕作者によって結ばれる関係性の指標(密度,推移性,相互性)の値が低く,緩い紐帯であることが視覚的・定量的に明らかになった。 続いて同デルタ農村における灌漑管理について,コメ担保融資制度下の高米価かつ乾季の水不足という条件のもとで見られた以下の3つの集合行為(①幹線から支線水路へ配水する仮設ポンプ燃料代の共同負担,②末端水路の浚渫作業費用の共同負担,③県・郡が労賃を負担する集落単位の水路の草刈作業)の参加率を出入作率の高さとの関係から整理し,入作者は集合行為への参加率が低くフリーライドしている可能性が示唆された。 一方,灌漑水の利用可能性・作付意思決定に関する情報源の観点では,出入作率が高い農家は,近隣農家からの情報等のローカルな情報へのアクセスが相対的に少ないなど制限があることが示唆された。上記の出入作率の高さと農業水利のネットワークが粗であるという性質は,チャオプラヤデルタ農村における参加型灌漑管理において日本の経験を教訓とする際の留意点であると考えられる。加えて,RPD復帰前から継続して研究してきた日本における用水ブロック単位の灌漑水の従量料金制と節水行動について,モンスーン・アジアへの適用可能性を考慮して検討た結果,大規模耕作者の水管理労働費用の高さが本制度の活用のボトルネックである可能性が示唆された。 本研究は平成25年7月から開始された。現在は,最後の課題である中国における農業水利のネットワーク構造の解析を行っており,3年が経過する6月をめどに成果を発表する予定である。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(B)
    研究期間 : 2009年 -2011年 
    代表者 : 荘林 幹太郎; 木下 幸雄; 竹田 麻里
     
    本研究は、地球温暖化の環境下において増大すると懸念される経営リスクの軽減および水利施設の安定的な更新を行うための新たなかんがい政策を提示するとともに、その有効性を実証的に研究することを目的とした。具体的には、限界節水費用等の推定を行い、それにより、事後的料金制度の導入可能性を明らかにした。事後的料金制度が構造的に土地改良区財務を不安定にする課題については、耕作者の節水により生じた余剰水を改良区がリースする制度の創設が有効であることを示した。
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 竹田 麻里
     
    わが国では水資源の再配分において,市場が存在せず,組織的な調整が行われてきた.少なくとも,資源配分の効率性の観点から,水資源においても市場を介した配分が望ましいとする議論が世界レベルで展開される中で,わが国のこのような組織的な調整について,経済学的な観点から実証的に吟味を行う必要性が高まっている.多くの先行研究の中でも注目すべきは,転用水の取引は,転用水を供給する農業側と転用水を需要する都市側の双方独占的な構造であるという指摘である.諸外国に比べて,微地形かつ小河川をいう地理的特性と,水道事業が公共事業として行われているという制度的特性を考えれば,この指摘は現実的である.そこで,本研究では転用がダム建設などの新規水開発よりも効率的な事業であったか,さらに転用の際の分配の公平性について定量的な分析を試みた. 調査対象として,わが国で初めて農業用水の転用が行われ,その後,事業が制度化された経緯をもつ埼玉県を取り上げ,そこで行われた4つの農業用水合理化事業と関連するダム建設について,経緯や費用負担を詳細に調査した.これらのデータから,合理化事業によって生み出された余剰がどのように分配されたのか,また,双方独占的な構造にあると仮定した場合,両者の交渉力と余剰分配構造との関係を明らかにした.その際,余剰分配をめぐる交渉において,補助金が大きな影響を与えていることが推察された. そこで,ゲーム理論のフレームワークを利用して,補助金の役割を検討した.その結果,新規ダム建設が行われるより,転用によって水資源を再配分するほうが国民経済的観点から望ましい場合でも,補助金がなければ両者における交渉が決裂し,転用が行われなかった可能性もある事業においても,補助金が投入されることによって交渉が妥結されていたことが明らかとなった.

委員歴

  • 2024年12月 - 現在   千葉県庁   千葉県農業多面的機能発揮検討会委員
  • 2024年09月 - 現在   国土交通省   国土審議会専門委員
  • 2023年04月 - 現在   一般財団法人日本水土総合研究所   客員研究員
  • 2023年02月 - 現在   埼玉県   魅力ある農業・農山村づくり検討委員会 委員
  • 2020年07月 - 現在   農林水産省   「食料・農業・農村政策審議会 農業農村振興整備部会技術小委員会」専門委員
  • 2020年04月 - 現在   農村計画学会   理事
  • 2017年07月 - 現在   NPO法人中山間地域フォーラム   運営委員
  • 2025年04月 - 2026年03月   農林水産省   行政事業レビュー外部有識者
  • 2024年05月 - 2025年03月   農林水産省   農業用ため池の管理保全施策の施行状況の点検・検証に係る委員会 委員
  • 2020年06月 - 2025年03月   農林水産省   中山間地域等直接支払制度に関する第三者委員会 委員
  • 2022年07月 - 2023年03月   農林水産省   2025年農林業センサス研究会 委員
  • 2020年04月 - 2022年04月   日本農業経済学会   編集委員
  • 2021年07月 - 2022年03月   農林水産省   2020年農林業センサス結果の解説・分析検討会 検討委員
  • 2018年09月 - 2021年03月   農林水産省   農業用水の適正配分に向けた検討委員会 委員
  • 2016年04月 - 2020年03月   農村計画学会   査読委員
  • 2017年06月 - 2018年03月   農林水産省   2020年農林業センサス研究会 委員
  • 2016年08月 - 2017年03月   農林水産省   2015年農林業センサス総合分析 検討委員

メディア報道

  • 食支える資源を未来につなぐ
    報道 : 2024年07月
    番組・新聞雑誌 : 埼玉新聞
  • 論壇 案山子のタクト 農村の構成員の 異質化時代の合意形成(2) 協働による 灌漑管理の研究と現場
    報道 : 2011年01月
    番組・新聞雑誌 : 土地改良新聞
  • 論壇 案山子のタクト 農村の構成員の 異質化時代の合意形成(1) 農業水利 施設のストックマネジメントにおけるGIS の可能性
    報道 : 2010年11月
    番組・新聞雑誌 : 土地改良新聞

その他のリンク

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