日本学術振興会:科学研究費助成事業
研究期間 : 2020年04月 -2025年03月
代表者 : 森田 明美; 小出 真由美; 我謝 美左子; 中原 美惠; 野城 尚代; 上田 美香; 唐田 順子; 相馬 直子; 杉田 記代子; 朴 志允; 麗 麗; 宮崎 静香
2023年度に入り、2022年度調査計画として実施できなかった海外調査と意見交換について繰り越した予算を使って、少しずつ日本と韓国と豪州で当事者への調査を実施した。その結果、韓国では9人、日本では5人の当事者たちの協力を得てインタビュー調査をすることができた。
コロナ禍を経て、少子化や出産傾向は大きく変化した。同時に急激な少子化が日本と韓国で顕著になったことも影響して、若年女性の妊娠出産子育て支援の変更が日本や韓国で始まった。そこで、この年は、妊娠出産の現状を継続して情報提供が得られ、かつ10代での妊娠、出産子育て支援制度の利用実態調査と、今後の取り組みについて制度設計について協力を得る可能性のある地域を訪問調査することに取り組んだ。一方、10代親の被災体験が出生に影響を及ぼすという調査研究仮説をもつ関西医科大学大川聡子教授との共同研究を進めた。その一環として7月20日には被災体験と10代での出産に関するシンポジウムを開催することができた。報告は大川聡子「被災体験と10代での出産」宮城学院女子大学教授足立智昭「東日本大震災が子ども・家族に与えた心理的社会的影響」東北福祉大学清水冬樹「中高生時代の被災経験がある保護者の子育てに関する調査結果」東北福祉大学柴田理瑛「気になる子の愛着形成とアセスメント」の報告をうけ、森田が司会と討議をおこなった。この討議のなかでACE調査から出された被災体験と10代出産をどのような関係性で説明するのか、今後、実践的な継続的相談支援を行いながら検証することになった。7月、10月には東日本大震災で厳しい被災体験した石巻市での児童館や地域子育て支援団体と共同研究もはじまり、3月末には石巻市の妊娠出産担当者との事例研究もおこなうことができるようになった。