奥村 拓朗 (オクムラ タクロウ)
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中国では、子どもの発育発達や体力・運動能力及び健康の実態を把握するために、1985年からほぼ5年に1度の割合で、「中国学生体質与健康調研」調査を実施している。その調査結果によると、近年は子どもの身長、体重、胸囲が伸び、低体重、栄養不足、貧血及び虫歯などが減少したものの、子どもの体力・運動能力の低下、肥満と視力の状況は悪化し続けている。その背景には、運動遊びの減少が要因であることが指摘されている。こうした課題に対して、様々な取組がなされているが、全ての子ども達が履修をする体育授業については、運動時間をはじめととしたその質が問題であり、運動習慣の確立に寄与するものにはなっていないと考えられる。そこで本研究では、中国・内蒙古自治区の小学校において、子どもによる授業評価を高め、運動習慣の実態を改善するため、高橋らが提唱する「子どもが評価するよい体育授業」の基礎的条件に基づいて介入実験を行った。対象は、小学校の体育教員1名、4年生205名であった。分析は、授業の期間記録・相互作用行動・授業評価・運動習慣調査票から行った。介入実験の結果、授業が改善され、子どもによる授業評価が高くなり、運動習慣が改善された。
国立教育政策研究による平成25年度学習指導要領実施状況調査では、小学校高学年の6年生を対象としたボール運動領域ゴール型における、攻撃に関する達成規準を通過した児童の割合はいずれも90%を超えていた。しかし、この調査は中学年段階については検討していない。そこで、本研究では2017年に小学校4年生2学級65名を対象としたフラッグフットボールの授業(8時間単元)のメインゲームにおいて発揮されたゲームパフォーマンスの達成度を学習指導要領に示された指導内容の例示に即して評価することで、学習指導要領に示された指導内容の例示の妥当性について検討した。分析対象は、8時間目のメインゲーム中のゲームパフォーマンスとした。2名の分析者間の分析結果の一致率は93.8%であった。その結果、中学年の内容として例示されている「ボール保持者と自分の間に守備者がいないように移動すること」を通過した児童の割合は84.6%で、学習指導要領実施調査で設定されている評価の基準と対応させると相当数の児童が通過しており、示されている内容が妥当であることが確認できた。