日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
研究期間 : 2021年04月 -2024年03月
代表者 : 石川 知一
本研究は,コンピュータグラフィックス分野の研究として,電磁流体のシミュレーションを行うことを目的としている。近年の宇宙物理学の知見から,電磁流体に起因する天体現象の映像化を行う場合に,プラズマ粒子の運動を捉えるスケール(以下,ミクロ)と,観測できるレベルの流体的振る舞い(以下,マクロ)を同時に計算に含むことが映像にリアリティを与えると考えられる。一般にプラズマ流体の数値計算法は大規模計算機環境の利用が必要になるが,現象の解析が目的で映像化のためにはモデルを適切に変更する必要がある。そこで本研究では,CG分野で広く用いられる階層型シミュレーションを取り入れ,ミクロな事象が映像というマクロなシーンに与える影響を考慮したリアルな映像を,商用利用可能な時間内で作成することを目的とする。また,観測手法をレンダリング計算に含めることで,提案法をレンダリングするだけでなく,同じ物理量を使用する宇宙物理学にも可視化の面で貢献する。
今年度は特に太陽のプロミネンスを再現するための電磁流体シミュレーションを開発することを目標としており,開発の目処は立っているが成果物の発表には至っていない。また,マクロシミュレーションからミクロな事象を検出するために機械学習の方法を用いることを検討しており,その実験を追加で行い得られた知見を報告した。その他,映像表現をVRやMRのコンテンツとして提供するための開発の過程でいくつかの研究発表を行っている。