日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
Date (from‐to) : 2018/04 -2021/03
Author : 片岡 洋子; 瓦林 亜希子; 山田 綾; 佐藤 隆; LEROUX Brendan
フレネ教育実験プログラムのCLEF10周年記念行事が、2018年5月にラ・シオタ市のジャン・ジョレス中学校を会場に開催された。2013年から継続的に訪問調査をし研究交流をしてきた我々研究グループは、CLEFの試みについて日本の研究者の立場から記念シンポジウムにおいてコメントをするように予め求められていたため、コメントを準備して参加した。シンポジウムほか記念行事においては、フランス国内の研究者やCLEFの教員、生徒、卒業生、保護者などの発表をとおして、フランスの中等教育の現状分析と課題についての情報や知見を得ることができた。
また、同じ2018年5月に、マルセイユのロンシャン中学校で始まったフレネ教育(CCEF)を視察できた。CCEFは、CLEFに6年間参加していた地歴の教員が、2017年9月にマルセイユのロンシャン中学校に戻り、フレネ教育を実践したい教員を集めて、フレネ教育のクラス設置を実現して始めたものである。そのスタートから2年目の状況を訪問調査で参観した。
ロンシャン中学でのフレネクラス(CCEF)はどのようにして実現したのか、その背景にあるフランスの教育改革や管理職の判断等、フレネクラスの生徒はどのように振り分けたのか等について、管理職や教員から直接話を聞くことができた。また、保護者と生徒に集まってもらい、フレネ教育をどのように受け止めているかインタビューすることができた。
帰国後に、訪問調査を振り返り、地歴を中心に授業を記録したビデオを見ながら分析するための討議をおこなってきた。そうしたなかで、公立中学校に実験的に設置されている点では共通だとしても、CLEFとCCEFにはいくつかの重要な違いがあることもわかってきたため、2019年5月に、CLEFとCCEFの実践校を訪問し必要な情報を得てくる予定である。