研究者総覧

清水 文一 (シミズ ブンイチ)

  • 生命科学部生物資源学科 教授
  • 生命科学研究科生命科学専攻 教授
Last Updated :2024/04/23

研究者情報

学位

  • 博士(農学)(京都大学)
  • 修士(農学)(京都大学)

ホームページURL

科研費研究者番号

  • 50324695

J-Global ID

プロフィール

  • 和歌山生まれ、奈良県立郡山高校卒

    趣味:テレマークスキー、単車乗り、山歩き、ダイエット

研究キーワード

  • 植物/微生物/生体防御反応/二次代謝/生合成酵素/遺伝子   Plants/Pathogenic Fungi/Resistance Reaction/Secondary Metabolism   

研究分野

  • ライフサイエンス / 生物有機化学

経歴

  • 2013年04月 - 現在  東洋大学生命科学部教授
  • 2016年04月 - 2017年03月  Karolinska Institutet, Sweden,Department of Molecular Biophysics and Biochemistry,Visiting Professor
  • 2009年04月 - 2013年03月  東洋大学生命科学部准教授
  • 2007年04月 - 2009年03月  同上 助教
  • 2000年05月 - 2007年03月  京都大学化学研究所助手
  • 2000年  Institute for Chemical Research, KYOTO UNIV. Instructor.

学歴

  • 2000年07月 - 2000年07月   京都大学   学位取得 (農学)
  •         - 2000年   京都大学   農学研究科   博士後期課程修了(応用生命科学)
  •         - 2000年   京都大学   Graduate School, Division of Agriculture
  •         - 1995年   京都大学   農学部   農芸化学科
  •         - 1995年   京都大学   Faculty of Agriculture

所属学協会

  • American Chemical Society   植物化学調節学会   日本農芸化学会   日本農薬学会   

研究活動情報

論文

書籍

  • 基礎から学ぶ植物代謝生化学
    清水 文一 (担当:分担執筆範囲:第I部第1章 分類)羊土社 2019年01月
  • Identification of aroma components during processing of the famous oolong tea “Oriental Beauty”
    Ogura M; Kinoshita T; Shimizu B; Shirai F; Tokoro K; Lin ML; Sakata K (担当:共著範囲:ACS Synposium Series 988)American Chemical Society, Washington DC 2008年 pp 87-97

講演・口頭発表等

  • 生息年数の異なるシラビソ(Abies veitchii)葉のテルペン類の分析  [通常講演]
    星野雄; 種子田春彦; 清水文一
    香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 2022年11月 口頭発表(一般)
  • シラビソ (Abies veitchii) のクチクラアルカンに対する生育環境の影響  [通常講演]
    星野雄; 柏田隼佑; 正木怜也; 種子田春彦; 清水文一
    第 6 5 回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 2021年10月 口頭発表(一般)
  • クマリン骨格形成鍵酵素における基質認識に必要な化学因子の探索
    関口 茉樹、清水 文一
    日本農芸化学会 2020年度大会 2020年03月
  • 亜高山帯に生息しているシラビソ葉におけるクチクラ成分の分析
    正木 怜也、生方 正章、岩渕 晴男、種子田 春彦、清水 文一
    日本農芸化学会 2020年度大会 2020年03月
  • 亜高山帯に生息するシラビソのクチクラ成分の分析とストレスで変化する成分について
    正木 怜也、種子田 春彦、清水 文一
    テルペンおよび精油化学に関する討論会 2019年09月
  • 酸化ストレスを受けたシロイヌナズナ葉のオキシリピン類の分析と検出感度の改善  [通常講演]
    西家弘真、清水文一
    香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 2019年09月 口頭発表(一般)
  • 酸化ストレスを受けたシロイヌナズナ葉からのオキシリピン類の分析  [通常講演]
    西家弘真; 清水文一
    日本農芸化学会大会、東京農大(東京) 2019年03月 口頭発表(一般)
  • Ortho-hydroxylases from Populus trichocarpa have a catalytic activity for caffeoyl CoA.  [通常講演]
    清水 文一
    日本農芸化学会2016年度大会(札幌市) 2016年03月 ポスター発表
  • Pseudomonas spp.によるクマリンの分解代謝-メリロト酸からの代謝追跡  [通常講演]
    田村 駿; 島崎 真実; 今井 政裕; 小野田 光希; 岡田 貴博; 清水 文一
    日本農芸化学会大会(岡山) 2015年03月
  • Scopoletin生合成に関わるPopulus trichocarpa遺伝子の機能解析  [通常講演]
    稲葉 暁佳里; 清水 文一
    日本農芸化学会大会(岡山) 2015年03月
  • 点変異導入によるサツマイモ桂皮酸オルト位水酸化酵素の基質認識アミノ酸残基の探索―C末端領域の検討  [通常講演]
    阿部 秀俊; 大河原 眞平; 永野 真吾; 水谷 正治; 清水 文一
    日本農芸化学会大会(岡山) 2015年03月
  • Coumarin metabolism by isolated microorganisms from cherry tree.  [通常講演]
    Shun Tamura; Bun-ichi Shimizu
    13th IUPAC International Congress of Pesticide Chemistry@San Franscisco 2014年08月
  • サクラ周辺環境より単離された Pseudomonas sp. の クマリンの代謝  [通常講演]
    田村 駿; 島崎真実; 今井政裕; 米山恵介; 岡田貴博; 清水文一
    日本農芸化学会(川崎) 2014年03月
  • サツマイモ桂皮酸類オルト位水酸化酵素の基質認識部 位の探索  [通常講演]
    岩田友子; 柴田行範; 槇田雄太; 和田瞭典; 清水文一
    日本農芸化学会(仙台) 2013年03月
  • クマリン生合成に関わるソライロアサガオの桂皮酸オ ルト位水酸化酵素遺伝子の機能解析とゲノム配列の解析  [通常講演]
    田辺綾野; 清水文一
    日本農芸化学会(仙台) 2013年03月
  • オオマリコケムシの産生するゲル状物質化学構造  [通常講演]
    関根美祈; 清水文一
    日本農芸化学会(仙台) 2013年03月
  • サクラ周辺のクマリン分解微生物の単離・同定とクマ リン分解代謝の追跡  [通常講演]
    田村 駿; 須永祐輔; 清水文一
    日本農芸化学会(仙台) 2013年03月
  • ソライロアサガオのクマリン生合成に関わるオルト位水酸化酵素遺伝子のクローニングと機能解析  [通常講演]
    田辺 綾野; 清水 文一
    日本農芸化学会(京都) 2012年03月
  • 点変異導入によるサツマイモ桂皮酸オルト位水酸化酵素の基質認識アミノ酸残基の探索―C末端領域の検討  [通常講演]
    岩田 友子; 柴田 行範; 清水 文一
    日本農芸化学会(京都) 2012年03月
  • ソライロアサガオのクマリン生合成に関わるオルト位水酸化酵素遺伝子のクローニング  [通常講演]
    田辺 綾野; 清水 文一
    日本農芸化学会(京都) 2011年03月
  • 新規ブラシノステロイド不活性化経路の解明  [通常講演]
    清水 文一; 水谷 正治; 川邉 綾美; 清水 文一; 嶋田 幸久; 藤岡 昭三; 坂本 知昭
    日本農芸化学会(福岡) 2009年03月
  • サツマイモにおけるクマリン化合物生合成  [通常講演]
    松本 征太郎; 水谷 正治; 清水 文一
    日本農芸化学会(福岡) 2009年03月
  • 植物由来アシル活性化酵素のケミカルバイオロジ- (その1) ― アッセイ方法の確立と酵素学的解析 ―  [通常講演]
    内藤 喜之; 斎野 廣道; 水谷 正治; 清水 文一; 平竹 潤
    日本農芸化学会(東京) 2008年03月
  • 植物由来アシル活性化酵素のケミカルバイオロジー (その2) ― オーキシン-アミノ酸合成酵素 (GH3) の新たな阻害剤の設計と阻害活性 ―  [通常講演]
    竹内 良徳; 内藤 喜之; 水谷 正治; 清水 文一; 平竹 潤
    日本農芸化学会(福岡) 2008年03月
  • クマリン化合物生合成における側鎖異性化およびラクトン化反応  [通常講演]
    清水 文一; 山本 亮太郎; 川村 直裕; 甲斐 光輔; 水谷 正治
    日本農芸化学会(東京) 2008年03月
  • サクラの香気成分クマリンの生成に関わるオルト位水酸化酵素およびグルコシダーゼのクローニング  [通常講演]
    山本 亮太郎; 酒井 英里; 甲斐 光輔; 水谷 正治; 清水 文一
    日本農芸化学会(東京) 2008年03月
  • サツマイモおよびタバコの桂皮酸類オルト位水酸化酵素遺伝子のクローニング  [通常講演]
    松本 征太郎; 田口 悟朗; 山本 亮太郎; 甲斐 光輔; 水谷 正治; 清水 文一
    日本農芸化学会(東京) 2008年03月
  • オーキシン不活性化を制御する化学的ツール―IAA-アミノ酸複合体合成酵素(GH3)阻害剤の in vivo 阻害活性の検討  [通常講演]
    水谷正治; Liz Tai; 平竹潤; 清水文一; 坂田完三
    日本植物生理学会/愛媛大(松山) 2007年
  • シロイヌナズナのクマリン生合成に関わる桂皮酸オルト位水酸化酵素の同定  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 水谷正治; 山本亮太郎; 川村直裕; 坂田完三
    日本植物生理学会/愛媛大(松山) 2007年
  • 東方美人茶の原料であるウンカ加害チャ葉から単離したシトクロムP450によるモノテルペン水酸化の解析  [通常講演]
    Jeong-Yong Cho; 水谷正治; 木下朋美; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/東京農大(東京) 2007年
  • カラスノエンドウ由来 vicianin hydrolase の単糖転移活性  [通常講演]
    戸本浩央; 齊野廣道; 清水文一; 水谷正治; 平竹潤; 坂田完三
    農芸化学会大会/東京農大(東京) 2007年
  • オーキシン不活性化を制御する化学的ツール―IAA-アミノ酸複合体合成酵素(GH3)阻害剤の in vivo 阻害活性の検討  [通常講演]
    水谷正治; Liz Tai; 平竹潤; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/東京農大(東京) 2007年
  • シロイヌナズナのクマリン生合成に関わる桂皮酸オルト位水酸化酵素の同定  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 水谷正治; 山本亮太郎; 川村直裕; 坂田完三
    農芸化学会大会/東京農大(東京) 2007年
  • IAAホメオスタシスの会名を目指した化学的ツールの開発―IAA-amino acid synthetase阻害剤の合成と阻害活性  [通常講演]
    榊優子; 平竹潤; 水谷正治; 清水文一; 坂田完三
    日本植物生理学会/筑波大(つくば) 2006年
  • シロイヌナズナのスコポレチン配糖化酵素  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 山口晃; 水谷正治; 坂田完三
    日本植物生理学会/筑波大(つくば) 2006年
  • クマリン類縁体生合成に関与するメチル化酵素  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 川村直裕; 山口晃; 水谷正治; 坂田完三
    日本植物生理学会/筑波大(つくば) 2006年
  • 茶香気生成誘導因子の探索  [通常講演]
    木下朋美; 吉田克志; 清水文一; 水谷正治; 坂田完三
    農芸化学会大会/京都女子大(京都) 2006年
  • シロイヌナズナのスコポレチン配糖化酵素  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 山口晃; 水谷正治; 坂田完三
    農芸化学会大会/京都女子大(京都) 2006年
  • シロイヌナズナのクマリン類縁体生合成に関与するメチル化酵素  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 川村直裕; 山口晃; 水谷正治; 坂田完三
    農芸化学会大会/京都女子大(京都) 2006年
  • サクラ葉の香気成分coumarin生成に関わるβ-glucosidaseの精製  [通常講演]
    酒井英里; 清水文一; 水谷正治; 坂田完三
    農芸化学会大会/京都女子大(京都) 2006年
  • Biosynthetic pathway of coumarins in Arabidopsis thaliana.  [通常講演]
    清水文一; 甲斐光輔; 川村直裕; 山口晃; 渡辺健; 坂田完三
    11th IUPAC International Congress of Pesticide Chemistry, Kobe 2006年
  • カラスノエンドウ由来vicianin hydrolase擬似二糖配糖体加水分解活性  [通常講演]
    戸本浩央; 齋野廣道; 清水文一; 水谷正治; 平竹潤; 坂田完三
    日本農芸化学会関西支部大会/京工繊大(京都) 2006年
  • 18O2 を用いた植物のクマリン性化合物生合成経路上の酸化反応の分析  [通常講演]
    清水文一; 玉井道子; 甲斐光輔; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • シロイヌナズナを用いたクマリン類縁体生合成経路の解析  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 水谷正治; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • 植物および微生物由来の二糖配糖体加水分解酵素における基質認識の比較  [通常講演]
    吉田宏一; 清水文一; 鶴喰寿孝; 森茂治; 高田正保; 水谷正治; 平竹潤; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • 東方美人茶(台湾烏龍茶)の製造工程において特異的に発現する遺伝子の検索  [通常講演]
    CHO Jeong-Yong; 水谷正治; 木下朋美; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • オーキシンホメオスタシスの解明を目指した化学的ノックアウト―IAA-アミノ酸複合体 amidohydrolase 阻害剤の合成と阻害活性―  [通常講演]
    久保田恭広; 平竹潤; 水谷正治; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • オーキシンホメオスタシスの解明を目指した化学的ノックアウト―IAA-amino acid synthetase 阻害剤の合成―  [通常講演]
    榊優子; 平竹潤; 水谷正治; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/北大(札幌) 2005年
  • Floral Aroma of Oolomg Tea Are Results of Stress-Responded Reactions in Tea Leaves During The Tea Processing.  [通常講演]
    Sakata K; Mizutani M; Ahn YO; Shimizu B
    International Symposium on Innovation in Tea Science and Sustainable Development in Tea Industry, Hangzhou, China 2005年
  • Gene expression profiling during the fermentation process of "Oriental Beauty"  [通常講演]
    Kinoshita T; Cho JY; Mizutani M; Shimizu B; Tsai HT; Chen YL; Lin ML; Sakata K
    International Symposium on Innovation in Tea Science and Sustainable Development in Tea Industry, Hangzhou, China 2005年
  • シロイヌナズナにおけるクマリン類縁体の定量  [通常講演]
    甲斐光輔; 清水文一; 坂田完三
    農芸化学会大会/広島大(広島) 2004年
  • 植物および微生物由来の二糖配糖体加水分解酵素の基質特異性  [通常講演]
    吉田宏一; 清水文一; Young-Ock Ahn; Seung-Jin Ma; 水谷正治; 坂田完三; 鶴喰寿孝; 森茂治
    農芸化学会大会/広島大(広島) 2004年
  • Tracer analysis of the oxidation steps in biosynthesis of coumarins in sweet potato using 18O2  [通常講演]
    Tamai M; Kai K; Shimizu B; Sakata K
    Germany-Japan Seminar on Molecular Regulation of Plant Secondary Metabolism. かずさDNA研(千葉) 2004年
  • Chemical profiling in the manufacturing process of "Oriental Beauty".  [通常講演]
    Cho JY; Shimizu B; Kinoshita T; Mizutani M; Chen KR; Chen CL; Sakata K
    International Conference on O-Cha (tea) Culture and Science, Shizuoka 2004年

MISC

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業
    研究期間 : 2021年04月 -2025年03月 
    代表者 : 福田 健二; 渡辺 敦史; 寺田 康彦; 清水 文一; 楠本 大; 種子田 春彦; 梅林 利弘
  • 日本学術振興会:科学研究費助成事業 基盤研究(C)
    研究期間 : 2020年04月 -2023年03月 
    代表者 : 清水 文一
     
    本研究は、植物が生産する抗酸化物質の生理機能の詳細を調べるため、種々の酸化ストレスに暴露された植物体内に生じる生体分子の酸化物を分析した。特に、抗酸化物質としてクマリン化合物の一つであるスコポレチンおよびその配糖体スコポリンに着目した。それらの生合成能を欠損したシロイヌナズナ株(f6'h1株:生合成鍵酵素AtF6'H1遺伝子欠損株)と野生株(WT)を比較することにより、抗酸化活性によって保護される生体成分の特定を目指した。2020年度より申請研究を開始、初年度には1)脂質酸化物の定量法の確立および2)酸化タンパク質の検索、および3)核酸酸化物の定量法の確立を進めた。これらの成果を踏まえ、種々のストレスを与えることによって生じた生体酸化物を定量した。 a)除草剤プリグロックス(有効成分:パラコートとジクワット処理:いずれも光合成系Iに作用し、スーパーオキシドアニオンラジカルを細胞内に発生させる)処理。2万~8万倍希釈物を葉面処理した際生じた脂質酸化物として、9-HODE, 13-HODE, 13-HOTrE, 9-KODE, 13-KODEが、処理後3日後に増加した。この増加量はWTに比べてf6'h1で、より高い蓄積が見られた。この実験で8万倍希釈物処理をした植物体は、処理葉で黄化症状が見られたが、枯死には至らなかった。 b)食塩処理による塩害ストレス(100~300mM)処理。処理後の植物体からDNAを抽出した。この抽出DNAにヌクレアーゼ処理およびホスファターゼ処理をした後、電気化学検出器を用いて8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-oxo-dG)を検出定量した。食塩処理により、葉に色素蓄積症状が見られた。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(若手研究(B))
    研究期間 : 2011年 -2013年 
    代表者 : 清水 文一
     
    本年度においては、サツマイモ(Ipomoea batatas cv. Kokei No.14)およびサツマイモのモデル植物としてソライロアサガオ(I. tricolor cv. Heavenly Blue)からのクマリン化合物生合成鍵酵素遺伝子のクローニングを進めた。サツマイモからは4種類、ソライロアサガオから2種類のアミノ酸配列の異なるクローンを取得した。さらにこれらのクローンを大腸菌にて発現し酵素活性を比較したところ、基質特異性の異なる2つのグループを取得できたことがわかった。すなわち、フェルロイルCoAのみを基質としてスコポレチン生合成に関与するものと、フェルロイルCoAだけでなくp-クマロイルCoAも基質とし、スコポレチンに加えてウンベリフェロンも与えるクローンの2種類である。植物界にはスコポレチンやウンベリフェロンに加えて、さまざまな構造を持つクマリン化合物が存在し、それぞれ化学的な反応性が異なる。クマリン化合物がもつ抗酸化活性、抗菌活性も構造の違いによって異なると考えられる。これらの酵素遺伝子配列を利用することで、組換え植物体内でスコポレチン、ウンベリフェロンの内生量をそれぞれ独立に制御できると考えられる。 また、AtF6'H1関連の組換え体を作成のためのプラスミドベクターを構築した(欠損株に関しては取得済みである)。具体的には35Sプロモーターの下流にAtF6'H1をつけたもの、AtF6'H1プロモータ配列下流にGUS/GFP配列をつないだものである。 さらに、サクラ植物体の周辺の土壌からサクラ葉に含まれるクマリン分解活性をもつ微生物の単離をすすめ、クマリンを資化する微生物の単離に成功した。微生物によるクマリン分解メカニズム、さらにはその分解中間体の構造解析をすすめることで根圏におけるクマリン代謝およびクマリンの生理機能の解明の一助となる。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2007年 -2009年 
    代表者 : 平竹 潤; 清水 文一; 水谷 正治; 渡辺 文太; 清水 文一
     
    本研究は、生体内で、活性酸素種や生体異物の解毒、除去、代謝に中心的役割を担っているシステイン含有トリペプチド、グルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly)について、その生合成の律速酵素であるγ-グルタミルシステイン合成酵素(GCS)および、グルタチオン代謝の初発酵素であるγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)について、それぞれの酵素の反応機構にもとづいた特異的阻害剤(遷移状態アナログ)を合成し、生体内のグルタチオン濃度および酸化ストレスを化学的に制御する新規生理活性物質を得ることにより、グルタチオン代謝と生理現象(疾患)の解明に役立つ化学プローブや医農薬のリード、薬用化粧品等への応用の端緒をつかむことを目指したものである。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2006年 -2007年 
    代表者 : 坂田 完三; 水谷 正治; 水谷 正治; 清水 文一; 木下 朋美
     
    調査研究には、Tocklai Tea Experimental Station(TTES)の母体であるインドTea Research Association(TRA)の全面的協力が得られることとなり、2年間の共同研究契約を締結し、調査研究を下記のように実施した。1)ダージリン高級紅茶“Second flash"の実態調査06年5月末、日本側から3名の研究者がアッサム地方トクライにあるTTBSとダージリンを訪ね実態調査を行った。インド側2人の研究者とともにダージリンの代表的茶園を順次訪ねて、虫害の状況と製茶状況を視察した。また、2カ所の茶園では“Second flash"製造時の各製造段階でのサンプルの採取を行った。ダージリンではヨコバイ(英名:jassid(green fly):Empoasca flavescens Fabr.)の他にアザミウマ(英名: thrips: Taeniothrips setiventris Bagnall)の食害が多かった。いずれの虫害がダージリン茶の香気形成に重要かを明らかにする必要がある。07年6月、日本側から3名の研究者がTTESを訪問し調査研究を行った。ヨコバイとアザミウマを実験室で飼育できるよう指導し人工飼育に成功した。人工飼育した虫を用いて実験室レベルでチャ葉に虫害を与え、それを材料にして香気分析を行なうようインド側研究者に指導した。2)虫害チャ葉から作られる“Second flash"特有香気生成機構の解明06年にダージリン茶園試料をGC-MS香気分析に供した結果、台湾の東方美人の場合と同様に、ダージリン紅茶でもhotrienolなどのモノテルペンアルコールの生成に虫害が密接に関与していることが示唆された。07年にTTESにて人工飼育したヨコバイおよびアザミウマを用いた加害試験を行った結果、“Second flash"紅茶特有の香気生成には虫害の関与が大きいことが明らかとなった。また、日本のやぶきた種茶園にて採集した農薬処理を行ったチャ葉と虫害を受けたチャ葉とで香気成分を比較し、diolの生成にはヨコバイ吸汁刺激が引き金になっていることが示唆された。3)新しい簡易紅茶製造法開発に向けた調査研究高品質な紅茶を簡便に製造するための新しい技術として、烏龍茶の製造技術を応用することをTTESの研究者に指導し、TTESにてパイロット機器を用いた製茶を行った。萎凋工程および撹拌工程の追加改良により、紅茶香気の改善が期待された。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 平竹 潤; 水谷 正治; 清水 文一
     
    β-グリコシダーゼの特異的阻害剤として開発したβ-グリコシルアミジン誘導体をツールとして、グリコシダーゼの機能と生理学的意義を明らかにする生物有機化学的研究を行った。すなわち、酵素のグリコン基質特異性に応じた高い選択性で当該β-グリコシダーゼと結合する阻害剤の特長を活かし、β-グリコシルアミジン誘導体をリガンドとするアフィニティー吸着体を作製し、グリコン基質特異性を唯一の手がかりに未知のβ-グリコシダーゼを任意にアフィニティー精製する方法を確立した。これにより、二糖配糖体に高い基質特異性を示す新規グリコシダーゼを微生物より単離し、また、昆虫細胞に特徴的なN-グリカン糖鎖の生合成に関わる鍵酵素、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼを効率よくアフィニティー精製することにも成功した。そこで、植物の生体防御に重要な役割を果たしていると考えられる二糖配糖体特異的グリコシダーゼのβ-プリメベロシダーゼの酵素学的性質と植物における生理学的意義を明らかにするため、β-プリメベロシルアミジン誘導体を合成し、チャ葉よりβ-プリメベロシダーゼをアフィニティー精製し、その酵素学的性質を明らかにした。さらに、チャ葉から当該遺伝子をクローニングし、本酵素に代表される二糖配糖体特異的グリコシダーゼ類はfamily 1に属する立体保持型のβ-グリコシダーゼであり、単糖配糖体加水分解酵素から進化した一群の酵素であることを明らかにした。また、新たに考案したpH可変アフィニティークロマト法で高純度に精製した組み替えβ-プリメベロシダーゼを結晶化し、そのx線結晶構造解析を行ったところ、1.8Åの分解能で酵素の立体構造を解明することに成功した。リガンドであるβ-プリメベロシルアミジンの結合様式をもとに、非還元末端のβ-xylosyl部分を認識するアミノ酸残基が特定され、本酵素が二糖であるβ-プリメベロシドに対して高い基質特異性を示す構造基盤の全貌が明らかになった。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2004年 -2006年 
    代表者 : 坂田 完三; 平竹 潤; 水谷 正治; 清水 文一; 加藤 博章
     
    1.ジグリコシダーゼの基質認識と触媒機能の解明(1)チャ葉β-プリメベロシダーゼのX線結晶構造解析昨年度達成した阻害剤のβ-プリメベロシルアミジンを結合した状態での25Åの分解能に加えて、本年度はさらに結晶化条件の最適化を行ない1.8Åの分解能で解析することができた。その結果、二糖に直接相互作用するアミノ酸残基の同定、活性ポケット開口部の構造の詳細を明らかにし,本酵素の二糖認識機構の詳細を明らかにした。(2)6'-位修飾擬似二糖配糖体を用いた基質認識機構の解明p-Nitrophenyl β-D-glucopyranoside(pNP Glc)の6'-位の水酸基をS原子で置換してキシロースや種々のアルコール(C_<2〜4>)を結合した擬似二糖配糖体を合成し、ジグリコシダーゼの1つのビシアニンヒドロラーゼに対して加水分解活性を調べた。本酵素はpNP β-primeveroside(pNP Pri)に対して、高い加水分解活性を示す。しかしS原子で置換したpNP PriやpNP Glcはほとんど加水分解しない。直鎖C_3アルコールを結合した配糖体に高い加水分解活性が観察された。直鎖アルコールが二糖を認識するアミノ酸残基と相互作用しているものと考えられる。2.植物界におけるジグリコシダーゼの分布・分子進化の解析ジグリコシダーゼのアミノ酸配列を元に進化系統樹解析を行ったところ、ジグリコシダーゼはそれぞれ別のβ-グルコシダーゼから並行進化していた。さらにpNP Priを用いて、無作為に選んだ18種の植物について二糖加水分解活性を調べたところ、7種もの植物に活性が見られた。以上の結果は、β-プリメベロシダーゼと類似した酵素活性を示すジグリコシダーゼが、植物界には相当数分布していることを強く示唆している。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽研究)
    研究期間 : 2004年 -2005年 
    代表者 : 坂田 完三; 平竹 潤; 清水 文一
     
    申請者らは微生物由来ジグリコシダーゼと植物由来ジグリコシダーゼの基質認識の違いを明らかにするため,6-位に種々の修飾基を導入したp-ニトロフェニルグルコシド(6-modified pNPGlc)を合成し,これらに対する活性をそれぞれの酵素に対して測定した.申請二年目において,6-modified pNPGlcの植物由来ジグリコシダーゼに対する結合実験を行った.その結果,用いた3つの植物由来ジグリコシダーゼのうちプリメベロシダーゼおよびフルカチンハイドロラーゼは,6-modified pNPGlcに対して結合能を全く示さなかったのに対して,ビシアニンハイドロラーゼは炭素鎖長が3および4の6-modified pNPGlcに対して結合活性を示した.進行した反応は,活性は低いながらも,与えた基質の水酸基に対する糖転移反応であった.この転移反応系にグルコースを糖受容体として混在させても,転移反応はグルコースに対して進行せず,与えた基質の水酸基に対してのみ生じた.植物由来の3つのジグリコシダーゼのアミノ酸配列を立体構造を考慮して比較すると,活性ポケット入り口に位置するTrpが6-modified pNPGlcに対して結合・糖転移能を示したビシアニンハイドロラーゼのみに存在することが分かった.その他2つのこの位置はAlaであった.このことからこのTrpが芳香環π-π相互作用により基質認識,とくにアグリコンの芳香環認識だけでなく,糖転移反応における糖受容体の認識に関わっていることが示唆された.さらに用いた基質の水中での立体構造を1D-1H,2D-NMR,およびNOE, NOESYを用いて解析を行っている.
  • 植物二次代謝産物クマリン化合物の生合成経路および機能解明
    研究期間 : 2005年
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2003年 -2004年 
    代表者 : 坂田 完三; 清水 文一; 水谷 正治
     
    東方美人茶(Oriental Beauty)はチャノミドリヒメヨコバイ(Jacobiasca formosana,通称ウンカ)に吸汁されたチャ葉から作られる香り豊かな烏龍茶である。この高級烏龍茶の製法の秘密の解明を目指し、天然物化学と酵素・遺伝子の両面から研究を進め、下記の成果を得た。1)本烏龍茶製造時のウンカの関与の詳細な実態調査を行い、実際にウンカの加害チャ葉が使用されていることを確認した。2)ウンカ食害有りと無しのチャ葉からそれぞれ烏龍茶を製造し、製造工程の各段階においてサンプリングを行い、官能検査、香気分析を行った。そして、加害葉から作られた茶は遙かに香気の豊かなものであることを確認した。さらにこの茶の香気特性も明らかにし、hotrienolおよび関連化合物の2,6-dimethyl-3,7-octadiene-2,6-diolはウンカ加害だけでも生成していることが明らかとなった。3)ウンカ加害および製造工程で誘導される遺伝子をMegasort法によるディファレンシャルスクリーニングにより網羅的に取得した。ウンカ加害および製造工程でのストレスにより非常に多くの遺伝子の発現が変動していることが明らかになり、その中にはストレス応答遺伝子が多数同定された。4)それらのうち、ストレス応答物質であるraffinoseやabscisic acidの生合成に関わる遺伝子に着目した。これらの遺伝子の発現量は製造工程中最初の日光萎凋で急激に増加した。それらの化合物の消長を明らかにするためHPLCにより定量的分析を行ったところ、これらは日光萎凋の段階で急激に増加することを確認した。以上のように本課題により、東方美人茶の香気特性を明らかにし、ウンカ吸汁および製造工程での様々なストレスにチャ葉が防御応答した結果、東方美人茶は香り高い茶となっていることを明らかにした。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽研究)
    研究期間 : 2003年 -2003年 
    代表者 : 平竹 潤; 清水 文一; 水谷 正治
     
    本研究は、グルコース、ガラクトースおよびキシロースから合成した一連のβ-グリコシルアミジン誘導体を、直接、植物(シロイヌナズナ)に与え、その結果観察される、植物の生育および形態上の変化を手がかりに、植物の生理現象にどのような種類のグリコシダーゼが関与しているか、その手がかりを得ることを目的としたものである。そこで、ベンジル基を共通のアグリコン部とし、グルコース、ガラクトースおよびキシロースをグリコン部とする3種類のβ-グリコシルアミジン誘導体(Glc-amidine,Gal-amidineおよびXyl-amidine)を合成し、それぞれの化合物を固形寒天培地(GM培地)に適量加えて、シロイヌナズナ(野生株)を播種あるいは幼植物体を培養し、植物の生育状況と形態を経時的に観察した。その結果、Xyl-amidineを加えた場合のみ、葉の色が黄色くなり、葉の厚みが薄くて垂れ下がった異常な形態を示すことが観察された。また、これらの変化には濃度依存性が見られ、アッセイに用いた最小濃度である0.1μMのXyl-amidine存在下でも、顕著な変化が見られた。一方、グリコン部の構造の異なるGlc-およびGal-amidineでは、このような異常な形態は観察されず、また、構造的に類似したβ-キシロシルアミド(Xyl-amide)でも、この変化は見られなかった。Xyl-amideにはβ-キシロシダーゼ阻害活性がほとんどないことから、シロイヌナズナに見られた形態上の変化はXyl-amidineに特徴的なもので、これら形態上の変化には、何らかの形でβ-キシロシダーゼの阻害が関与していることが示唆された。一方、植物から抽出した粗酵素液には、高いβ-グルコシダーゼ活性およびβ-ガラクトシダーゼ活性とともに、低いレベルではあるがβ-キシロシダーゼ活性が観測された。In vitroでの阻害実験により、それぞれの酵素活性は、対応するアミジン誘導体によって強く阻害され、特に、粗抽出液中のβ-キシロシダーゼ活性は、Xyl-amidineによって完全に阻害されることが判明した。この結果は、植物の形態異常を引き起こす原因が、β-キシロシダーゼの阻害にあるというin vivoでの結果を裏付けるものである。
  • 文部科学省:科学研究費補助金(基盤研究(B))
    研究期間 : 2001年 -2003年 
    代表者 : 坂田 完三; 清水 文一; 水谷 正治; 平竹 潤; 加藤 博章
     
    本研究では、植物界に"新しい二糖配糖体特異的グリコシダーゼ(ジグリコシダーゼ)ファミリー"が存在することを明らかにし、植物におけるこれらジグリコシダーゼの本来の機能解明を目指して研究を行い、下記の成果を得た。(A)ジグリコシダーゼの触媒機能の解明1)種々の基質を入手し、チャ葉β-プリメベロシダーゼ(PRD)、ムシカリのフルカチンヒドロラーゼ(FH)、カラスノエンドウのビシアニンヒドロラーゼ(VH)などのジグリコシダーゼの基質特異性を調べ、これらがβ1→6結合を有する二糖配糖体を良い基質と認識していることを確認した。2)糖鎖修飾が可能なバキュロウイルス昆虫細胞発現系により、PRDおよびVHの全長cDNAを発現させることに成功した。FHは大腸菌での発現に成功した。PRDは培地1Lあたり約30mgの生産が可能となり、X線結晶構造解析に向けて結晶化に取り組んでいる。3)新規グリコシルアミジン誘導体が各種糖に対して高い選択性で極めて強力な阻害活性を示すことを見いだし、これを利用してβ-primeverosyamidineをリガンドとするアフィニティー吸着体を調製した。本吸着体はPRDばかりでなく、他のジグリコシダーゼの大量精製にも応用できることが明らかとなった。(B)植物における"新しいジグリコシダーゼファミリー"の確立組み替えPRDを抗原として作製した抗体は高い感度と選択性を有し、若いチャ葉ほどプリメベロシダーゼ発現量が高く、細胞膜あるいは細胞間隙に局在していることが明らかとなった。また、二糖配糖体の存在が報告されている植物を中心に、PRD活性、二糖生成、PRD抗体との反応を指標にしてジグリコシダーゼの存在を調べた結果、ジグリコシダーゼは植物界に広く存在することが示唆された。さらに、全長cDNAが明らかとなった3種のジグリコシダーゼはファミリー1グルコシダーゼと高い相同性を示しPRDは予想どうり進化系統樹上FHとクラスターを形成し、VHはその隣に位置し、ジグリコシダーゼはファミリー1の中に新しいサブファミリーを形成することを明らかにした。
  • 植物二次代謝産物生合成酵素の探索
    研究期間 : 2003年
  • Cloning of Enzymes Related to Plant Seconary Metabolisms
    研究期間 : 2003年
  • 文部科学省:科学研究費補助金(萌芽的研究, 萌芽研究)
    研究期間 : 2001年 -2002年 
    代表者 : 坂田 完三; 清水 文一; 平竹 潤
     
    前年度の予備的成果をもとに、種々のアグリコンを有する配糖体からなる基質ライブラリーを混合物のまま各種グリコシダーゼに作用させ、遊離するアグリコンをGC-MS等で経時的に追跡・定量することにより、グリコシダーゼのアグリコン特異性を迅速かつ簡便に評価し、それをパターンとして特徴付けることができる画期的な新手法の開発に成功した。グリコシダーゼの基質特異性は速度論的パラメーターであるk_/K_m値によつて評価されるが、これを求めるのは大変手間がかかる。重要なのはk_/K_m値の比であることに注目し、ミカエリス-メンテンの仮定をもとに、2つの基質AとBが競合する時、v_A/v_B={(k_/K_m)_A/(k_/K_m)_B}([A]/[B])…(1)となることから、複数の基質を混合して酵素反応を行い、その反応初速度からk_/K_m値の比を迅速に決定できる可能性があることを見出し、β-グルコシダーゼをモデルにして、以下のように研究を行った。基質となるβ-グルコシドとして、C_<5〜8>の種々のアルコールをアグリコンとする6種のモデル化合物(1a-f)を合成した。まず、混合基質を用いた酵素反応により生成したアルコールの混合物を抽出し、GC-MSで一度に分離、定量する一連の方法を確立し、ここに提案した方法で真の基質特異性が評価が可能か検証した。アーモンド由来のβ-グルコシダーゼに対して、1a-fの基質それぞれを単独で反応させて速度論的パラメーターV'_/K_mを得た。次に、6種類の基質1a-fを混合して反応させ、それぞれの基質に対する初速度v'を求めた(V'_およびv'は、見かけのV_およびvを、用いた酵素単位(U)で割った値)。その結果、混合基質を用いて酵素反応を行った場合の、各基質のv'の相対値は、個々の基質を用いて測定したV'_/K_mの相対値によく一致し、この方法により酵素の相対的な基質特異性を簡便に求められることが確かめられた。反対に、1a-fの基質それぞれを単独で用いて酵素反応を行った場合、それぞれの基質の反応初速度v'の相対値はV'_/K_mの相対値と一致しなかった。これは、式(1)が示す通り、一定濃度の基質を単独で用いた場合、その反応初速度を比較しても真の基質特異性は評価できず、基質を混合して反応させた場合には、反応初速度から真の基質特異性が評価できることを示している。次に、Aspergillus niger由来のβ-グルコシダーゼに対して同様に調べた結果、v'の相対値はアーモンド由来のβ-グルコシダーゼとは異なるパターンを示し、この酵素固有のアグリコン特異性を示したことから、この方法で各β-グルコシダーゼのアグリコン特異性の特徴が表せることが明らかとなった。
  • 植物病原菌の病原性決定因子の解明
    研究期間 : 1996年
  • study on mechenism of pathogevests in plants.

委員歴

  • 2022年10月 - 現在   天然香気研究会   運営委員会委員
  • 2019年04月 - 現在   TEAC〈香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会〉   幹事役員(東洋大)

担当経験のある科目

  • 植物生化学
    東洋大学生命科学部
  • 機器分析 I
    東洋大学生命科学部
  • 生物有機化学
    東洋大学生命科学部
  • 基礎有機化学
    東洋大学生命科学部
  • 生命科学実験I
    東洋大学生命科学部
  • 基礎有機化学
    京都教育大学
  • 生物統計学
    東洋大学生命科学部
  • 生命科学英語II
    東洋大学生命科学部
  • 植物生理・生化学
    東洋大学生命科学部
  • 植物分子生物学
    東洋大学生命科学部
  • 植物細胞制御学
    東洋大学生命科学部
  • 生命科学史
    東洋大学生命科学部

その他のリンク

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