Development of Interprofessional education to enhance moral reasoning
Japan Society for the Promotion of Science:Grants-in-Aid for Scientific Research Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
Date (from‐to) : 2020/04 -2023/03
Author : 勝山 貴美子; 加藤 憲; 撫養 真紀子; 朝倉 輝一; 真野 俊樹
本研究は、医療者がどのような場面で道徳的苦悩を感じているか、職種や状況によってそれらが異なるのかなど現状を明らかにし、これらを踏まえ、道徳的推論の能力を向上させる当事者を中心においた多職種連携の教育プログラムを構築することを目的としている。今年度は関連する先行研究、特にCovid-19に関連する道徳的苦悩およびその対処に関連する研究のレビューを行うとともに、関連するシンポジウムを行い、研究の基盤構築を行った。臨床における道徳的苦悩に関する研究は多くの国で行われており(Corley, Elswick, Gorman, & Clor, 2001, 2005; Hamric, & Blackhall, 2007; Lorella, Giuseppe and Luisa; 2017, Poikkeus, Suhonen, Katajisto and Leino-Kilpi;2020)関心が高い。これらの研究において道徳的苦悩が持続することで職務満足の低下、離職につながるなど明らかにしている。これらを解決するために個人としては道徳的苦悩が生じているかを気づくこと(AACN2021)、レジリエンスを高めることであり、組織としては制度の確認、ガイドラインの見直し、多職種での対話が有効であることなどが示唆された。今後、具体的な教育プログラムに向けた詳細なレビューが必要である。日本の急性期病院に勤務する医療従事者180名(医師80名、看護師80名、ソーシャルワーカー20名)の調査において道徳的苦痛と平均在院日数の短縮などとの関連を検討したが有意差がなかった。今後、さらに詳細に検討をしていく必要がある。「ポストコロナ時代の感染症や病気との向き合い方」とするシンポジウムを開催し、倫理学、患者、医療者、行政の立場から社会的偏見や自己責任論も含めた問題と課題について議論を行い、今後の研究の示唆を得た。